YS Journal アメリカからの雑感

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アメリカの外食産業に過労死がない理由は、圧倒的な体力と楽しむ精神

2012-03-06 18:16:52 | ブログ探索
尊敬する池田信夫先生のブログエントリー『「就社」社会の余命』で、冷泉彰彦氏のコラム『アメリカの外食産業に過労死がない理由とは? 』が話題になっていた。

アメリカを頭だけで理解している人に受けるというのが第一印象である。諸外国の事情を理解しようと日夜頑張っている人々が納得するのに好都合な内容だ。。 ニューズウィークを英語では無く、日本版で読む微妙な立ち位置の人々を対象にしているのだ。(それはそれで当たっているが)

冷泉彰彦氏は、アメリカ外食産業事情を正確に把握している。正確だからこそ、そこで働く人々は、解説のような難しいことは一切考えていない。

では、自説を展開してみよう。

(1)アメリカ人(この表現はちょっと不適当だが、You know I mean 的にご理解いただけると幸い)は、日本人に比べて圧倒的に体力がある

年齢にかかわらず、レストランだけでなく、単純労働、肉体労働の現場での持久力には驚くものがある。客商売では楽しそうに、製造現場では淡々と、辛そうな顔をせずにやっている。 勤務終了でぐったりという人を見かけた事も無い。根本的な体力の違いがある様に感じる。(例えば同じ内容の8時間労働をすると、日本人は80%の体力を使うのに、アメリカ人は50%といった感覚)

(2)アメリカ人は楽しくやっており、ストレスレベルが低い

基本的に楽しく働いている。 マイペースというか、自我が強いというか、ストレスレベルが低い。 上から強制的に仕事をさせられる事もあまり見受けられない。

そういえば、日本で学生時代にアルバイトをした時、楽しそうに働いていると、仕事ぶり(私はやる事はキチンとやる)に関係なく、「何がそんなに面白いのだ」と、アルバイトを管理する社員から怒られた事がある。日本の労働はたとえアルバイトであっても、修行、苦行であって、楽しくやってはいけないのだ。

アメリカで、時給数ドルのサーバーやディスパッチャーが正規雇用で契約書にサインしていたとしても、職務契約を理解しているとは思えない。なんとなく、そういうもんだという意識は社会常識的にある程度だろう。大リーガーの契約とは次元が違うというか、引き合いに出すことさえ不適当である。

日米で雇用形態も違う。アメリカのレストランで時給で働く人々は、日本のアルバイトに相当するだろう。よって、日本の飲食業のアルバイトの過労死と比較するのが妥当だと思われる。

では、日本の外食産業のアルバイトで過労死する人がいるのかどうかという根本的な疑問が沸いてくる。 日本の過労死認定総数で年間千人程なので、アルバイトに限定するとほぼゼロになるのではないかと思う。

贔屓の引き倒し気味ではあるが、池田先生が「就社」という問題に発展させて日本の労働事情問題に昇華させているのに、冷泉彰彦氏はいつものようにステレオティピカルな安易な日米の違いを契約を軸に羅列しただけだ。

冷泉彰彦先生におかれましては、日米相違論とかアメリカの契約社会という安易で陳腐な展開をしておいて「参考になればと思う次第」などど逃げを打たず、肉体レベル、精神レベルまで掘り下げた考察を期待しております。