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新潟県村上の人形さまの町おこしは背景に文化の高さがあり黒塀プロジェクトに発展

2017年05月23日 | 斜読

book441 町屋と人形さまの町おこし 吉川美貴 学芸出版社 2004
 埼玉県幸手市は日光街道の6番目の宿場の歴史がある。幸手宿の歴史文化を発信する「NPO日光街道幸手を感じる会」から黒塀復活をテーマにした基調講演を依頼された。会長によると、新潟県村上市の黒塀プロジェクトがきっかけだという。
 さっそく村上を訪ね、黒塀プロジェクトの成果を見学した。前後の下調べで、町おこしの経緯をまとめた「町屋と人形さまの町おこし」が出版されていることが分かったので、見学後に読んだ。

 筆者は、黒塀プロジェクトの発起人である吉川氏の夫人美貴氏で、吉川氏が町おこしに取り組み始めた1988年から2004年までの経緯が美貴氏の軽妙な筆裁きで綴られている。
 目次を記す。目次から町おこしの経緯と筆者の言わんとする内容が推察できる。
「はじめに
第1章  一人ではじめた町おこし
 城下町村上マップ誕生
 村上町屋商人会結成
 署名活動事件で四面楚歌
 町屋に光を、町屋をスターに
第2章 「町屋の人形様巡り」大反響」
 「町屋の人形様巡り」開幕
 吉川は普通の若者
 ミニ美術館「旅籠門」オープン
 地域活性化大賞ベストオブベスト賞受賞へ
 陰での苦闘
第3章 町が動き出した
 第2回人形さま巡りでの変化
 行政との関係
 「十輪寺えんま堂の骨董市」の開催
 「町屋屏風祭り」誕生
 町に起こってきた様々な動き
 催し成功のポイント
 ウズベキスタンの人形さま登場で国際交流へ
 SL「村上ひな街道号」走る
 第2、第3の男登場
第4章 町おこしの秘訣
 初回が肝心
 二つの壁を突破せよ
 はかり事をするに密をもってすべし
 三つのリスクを引き受ける
 メンバーを活かす組織づくり
 信念と実行
 ・村上の佇まい
第5章 次のステップへ
 黒塀プロジェクトと「宵の竹灯籠まつり」はじまる
 BSNドキュメント賞受賞とテレビ番組化
 町が元気でならなければならない理由
 市民としての意識の芽生え
 多要素をさらに伸ばそう
 今後の課題
 村上における歴史的布石
 町屋の外観再生プロジェクト始動
 ・人形さま巡りボランティアの様子と生徒の感想文から
終わりにかえて
町屋を支える人たち年表」

 村上は城下町だった。市を流れる三面川は早くから鮭の人工増殖で知られ、瀬波温泉も人気で、与謝野晶子も歌を詠んでいる。そうした歴史が、芸術性、文化性を作り上げる力になり、p114町屋を舞台にした人形の魅力、屏風の魅力、道具の魅力をつくり出し、知的刺激、文化的刺激となって人形さま巡り、屏風まつりを成功に導いたようだ。
 p75で仕掛け人の吉川を普通の若者として述べているが、村上に思い入れがある熱血漢で、思い立ったら損得抜きで行動を起こす人物のようだ。だから、p29四面楚歌のように、しばしば古くからの組織、体制と衝突している。
 一方で、p22商人会結成やp132第2,第3の男のように、一人一人とよく話し合い、賛同者、仲間を増やし、町おこしを着実に進めている。いくつかの賞を受賞し、新聞、テレビ出取り上げられ、SLが走ったのは、吉川氏が仕掛けたとはいえ、大勢の力があったからこそであろう。まちづくりの進展を期待したい。

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