2023.3静岡 舘山寺を歩く
方広寺をあとにして、今日の宿である舘山寺温泉に向かう。県道303号を南に走り、龍潭寺で県道320号に右折する。都田川を渡ると浜名湖が右に見えた。ほどなく舘山寺温泉に着いた。方広寺から40分弱だった。
宿は浜名湖の入江の湖辺に建っていて、部屋から浜名湖を一望できる。風景が広々として気分がいい。
まだ明るいので、宿の隣の舘山寺に出かけた(写真)。由緒を詠む。平安時代弘仁元年810年、弘法大師空海(774-835)が仏道行脚の際に浜名湖沿いの舘山(たてやま)を訪れ、そのとき舘山寺(かんざんじ)を開山したそうだ。
鎌倉時代文治3年1187年に兵火により焼失したが、源頼朝が再建し、元中元年1384年に兵火により焼失、南北朝時代1362年、堀江城主として赴任した大沢氏が城主の祈願寺として再建する。江戸時代慶長3年1589年、徳川家康より御朱印判物を受け、繁栄した。
明治3年1870年の神仏分離令・廃仏棄釈により廃寺となり、明治23年1890年に再興が認められ、秋葉山秋葉寺(しゅうようじ)住職牧泰禅和尚を招請して再興した。そのとき、真言宗中嶺山(ちゅうれいざん)から曹洞宗秋葉山に改めた。
東海道は浜名湖と遠州灘のあいだを抜けていて、浜名湖沿いの舘山は交通の要衝であり、兵火のたびに舘山寺が焼失し、そのたびに再建、再興された歴史が濃縮されている。
本尊虚空菩薩像に合掌する。
由緒書きの隣の舘山寺案内図には、大梵鐘、西行岩、富士見岩、穴大師、高さ16mの聖観世音菩薩像などを巡る散策路が図解されていた(上写真)。
宿のあたりが標高数m、舘山寺が標高10mほどで、散策路は標高50mほどの高台の頂点を中心に一回りしていて、ところどころはうっそうとし、ところどころに段々坂がある(中写真)が、小さな岬なので距離は短い。
高台の西の散策路は浜名湖を一望できる(下写真)。広々とした水と緑と空の風景は気持ちを遠大にしてくれる。
高台北東の西行岩は、漂白の歌人といわれる西行(1118-1190)が岩の上で修行したと伝えられている。西行は「舘山の 巌の松の 苔むしろ 都なりせば 君もきてみむ」の歌を残したそうだ。西行は、名門の武士だったが、1140年、家門を捨て妻子と別れて出家し、陸奥に向かう。そのときに詠んだ歌とすると「君」は誰だろうか。火阪雅志著「西行 聖と俗」には恋の人・西行が描かれていて、恋の人をにおわせている(book486参照)。西行はその恋の人と浜名湖を眺め、悩みを語りあいたかったのかも知れない。
高台を30分ほど散策して宿に戻り、浜名湖を一望する部屋付きの露天温泉に入った。朝、伊良湖岬を出たあと、家康ゆかりの浜松城、井伊直虎ゆかりの龍潭寺、羅漢の並ぶ方広寺と与謝野晶子、空海開山の舘山寺と西行など、歴史との遭遇を思い浮かべながら温泉を楽しんだ。
宿泊に浜名湖遊覧船乗船招待券がついていたので、翌朝、チェックアウト後に30分浜名湖周遊の遊覧船に乗った(写真)。9かんざんじ港を出て内浦湾を東に進み、フラワーパーク港に寄って、内浦湾の北の奥浜名湖をぐるりと回り、かんざんんじ港に戻るコースである。かんざんじ港から乗ったのは10数名だが、フラワーパーク港からバスツアーの団体がどっと乗ってきて席はほぼ埋まり、大賑わいになった。
標高113mの大草山は、緑の木々のあいだに濃いめの桜と薄めの桜が混じり、斜面が華やいでいた。昨日の散策で下から見上げた高さ16mの聖観世音菩薩像が船からよく見える(写真)。穏やかな顔で平安を祈っているようだ。
浜名湖周遊を終え、車をかんざんじロープウェイ乗り場まで移す。かんざんじロープウェイは、内浦湾の南に位置するかんざんじ駅から内浦湾北の大草山駅までの高低差およそ110mを4分で上り下りする。ロープウェイから浜名湖の全貌を見渡すことができるが、あっという間に大草山駅に着いた。浜名湖オルゴールミュージアムが併設されていて、屋上が展望台になっている。屋上には大小さまざまなカリヨンが並んでいて、毎時0分にメロディが流れるそうだ。屋上展望台から浜名湖を遠望する。
大草山山頂まで100mほどの遊歩道が設けられている。低木、中木が視界を邪魔し、浜名湖を見えない(写真)。Uターンしてオルゴールミュージアムに戻る。カリヨンの演奏までは30分ほどあるので演奏をあきらめ、屋上からもう一度浜名湖を展望し、かんざんじ駅に戻る。
はままつフラワーパークに移動する。1970年、浜松市制60周年記念事業で開園された植物園で、北隣は動物園になっている。フラワーパークは東西800mほど、南北400mほどと広大である。正面ゲートそばの第1駐車場に車を止める。14:30に豊橋駅でレンタカーを返すことになっているので、ランチを含め逆算すると12:30ごろには車に戻りたい、などと思いながら入園すると、目の前に園内を一周するフラワートレインが出発を待っていた。フラワートレインに乗り、花畑など見ながらフラワーパークを半周する(写真)。
途中のバス停で降り、池に沿って桜並木を歩く。家族連れが花見を楽しんでいた(写真)。見晴らしの丘に上って色とりどりの園内を眺め、クリスタルパレスで温室の花の香りを楽しんだりして、12:30過ぎに車に戻った。一路、豊橋駅へ、レンタカーを返し、遅めのランチを取り、新幹線で帰路についた。 (2024.2)
方広寺をあとにして、今日の宿である舘山寺温泉に向かう。県道303号を南に走り、龍潭寺で県道320号に右折する。都田川を渡ると浜名湖が右に見えた。ほどなく舘山寺温泉に着いた。方広寺から40分弱だった。
宿は浜名湖の入江の湖辺に建っていて、部屋から浜名湖を一望できる。風景が広々として気分がいい。
まだ明るいので、宿の隣の舘山寺に出かけた(写真)。由緒を詠む。平安時代弘仁元年810年、弘法大師空海(774-835)が仏道行脚の際に浜名湖沿いの舘山(たてやま)を訪れ、そのとき舘山寺(かんざんじ)を開山したそうだ。
鎌倉時代文治3年1187年に兵火により焼失したが、源頼朝が再建し、元中元年1384年に兵火により焼失、南北朝時代1362年、堀江城主として赴任した大沢氏が城主の祈願寺として再建する。江戸時代慶長3年1589年、徳川家康より御朱印判物を受け、繁栄した。
明治3年1870年の神仏分離令・廃仏棄釈により廃寺となり、明治23年1890年に再興が認められ、秋葉山秋葉寺(しゅうようじ)住職牧泰禅和尚を招請して再興した。そのとき、真言宗中嶺山(ちゅうれいざん)から曹洞宗秋葉山に改めた。
東海道は浜名湖と遠州灘のあいだを抜けていて、浜名湖沿いの舘山は交通の要衝であり、兵火のたびに舘山寺が焼失し、そのたびに再建、再興された歴史が濃縮されている。
本尊虚空菩薩像に合掌する。
由緒書きの隣の舘山寺案内図には、大梵鐘、西行岩、富士見岩、穴大師、高さ16mの聖観世音菩薩像などを巡る散策路が図解されていた(上写真)。
宿のあたりが標高数m、舘山寺が標高10mほどで、散策路は標高50mほどの高台の頂点を中心に一回りしていて、ところどころはうっそうとし、ところどころに段々坂がある(中写真)が、小さな岬なので距離は短い。
高台の西の散策路は浜名湖を一望できる(下写真)。広々とした水と緑と空の風景は気持ちを遠大にしてくれる。
高台北東の西行岩は、漂白の歌人といわれる西行(1118-1190)が岩の上で修行したと伝えられている。西行は「舘山の 巌の松の 苔むしろ 都なりせば 君もきてみむ」の歌を残したそうだ。西行は、名門の武士だったが、1140年、家門を捨て妻子と別れて出家し、陸奥に向かう。そのときに詠んだ歌とすると「君」は誰だろうか。火阪雅志著「西行 聖と俗」には恋の人・西行が描かれていて、恋の人をにおわせている(book486参照)。西行はその恋の人と浜名湖を眺め、悩みを語りあいたかったのかも知れない。
高台を30分ほど散策して宿に戻り、浜名湖を一望する部屋付きの露天温泉に入った。朝、伊良湖岬を出たあと、家康ゆかりの浜松城、井伊直虎ゆかりの龍潭寺、羅漢の並ぶ方広寺と与謝野晶子、空海開山の舘山寺と西行など、歴史との遭遇を思い浮かべながら温泉を楽しんだ。
宿泊に浜名湖遊覧船乗船招待券がついていたので、翌朝、チェックアウト後に30分浜名湖周遊の遊覧船に乗った(写真)。9かんざんじ港を出て内浦湾を東に進み、フラワーパーク港に寄って、内浦湾の北の奥浜名湖をぐるりと回り、かんざんんじ港に戻るコースである。かんざんじ港から乗ったのは10数名だが、フラワーパーク港からバスツアーの団体がどっと乗ってきて席はほぼ埋まり、大賑わいになった。
標高113mの大草山は、緑の木々のあいだに濃いめの桜と薄めの桜が混じり、斜面が華やいでいた。昨日の散策で下から見上げた高さ16mの聖観世音菩薩像が船からよく見える(写真)。穏やかな顔で平安を祈っているようだ。
浜名湖周遊を終え、車をかんざんじロープウェイ乗り場まで移す。かんざんじロープウェイは、内浦湾の南に位置するかんざんじ駅から内浦湾北の大草山駅までの高低差およそ110mを4分で上り下りする。ロープウェイから浜名湖の全貌を見渡すことができるが、あっという間に大草山駅に着いた。浜名湖オルゴールミュージアムが併設されていて、屋上が展望台になっている。屋上には大小さまざまなカリヨンが並んでいて、毎時0分にメロディが流れるそうだ。屋上展望台から浜名湖を遠望する。
大草山山頂まで100mほどの遊歩道が設けられている。低木、中木が視界を邪魔し、浜名湖を見えない(写真)。Uターンしてオルゴールミュージアムに戻る。カリヨンの演奏までは30分ほどあるので演奏をあきらめ、屋上からもう一度浜名湖を展望し、かんざんじ駅に戻る。
はままつフラワーパークに移動する。1970年、浜松市制60周年記念事業で開園された植物園で、北隣は動物園になっている。フラワーパークは東西800mほど、南北400mほどと広大である。正面ゲートそばの第1駐車場に車を止める。14:30に豊橋駅でレンタカーを返すことになっているので、ランチを含め逆算すると12:30ごろには車に戻りたい、などと思いながら入園すると、目の前に園内を一周するフラワートレインが出発を待っていた。フラワートレインに乗り、花畑など見ながらフラワーパークを半周する(写真)。
途中のバス停で降り、池に沿って桜並木を歩く。家族連れが花見を楽しんでいた(写真)。見晴らしの丘に上って色とりどりの園内を眺め、クリスタルパレスで温室の花の香りを楽しんだりして、12:30過ぎに車に戻った。一路、豊橋駅へ、レンタカーを返し、遅めのランチを取り、新幹線で帰路についた。 (2024.2)