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2023.2岡山 吉備津神社を歩く

2023年12月24日 | 旅行
日本を歩く>   2023.2 岡山 備中一宮吉備津神社を歩く


 吉備津彦神社を参拝した翌日の12:30、備中国一宮吉備津神社駐車場に車を止める。食事どきなので、名物桃太郎うどんと書かれた「桃太郎」に入った(写真)。桃太郎うどんは雉肉、きび団子、松茸を乗せたうどんだった。茸が苦手なのでにしんそばを食べた。吉備の鰊?、いまや全国の食材が手に入るようだ。
 「桃太郎」の先に吉備津神社の石碑が立ち、石段が南に上っている(写真)。石段左手前に、竹柵で囲まれた矢置石が置かれている。かなり大き古びた岩で苔むしている。
 大吉備津彦命による温羅退治の言い伝えがある。温羅は百済の皇子ともいわれ、目は狼のように爛々と輝き、髪は赤々と燃えるが如く、身長は一丈四尺(≒4.25m、さすがに眉唾と思う)、腕力は人並みはずれて強く、性格は凶悪そのもので、鬼ノ城に館を築き、吉備の人に危害を加えていた。10代崇神天皇は7代孝霊天皇第3皇子・五十狭芹彦命(ひこいさせりひこのみこと)=大吉備津彦命(=大吉備津日子命)を派遣する。大軍を率いた五十狭芹彦命は吉備の中山に陣を敷く。
 五十狭芹彦命が射た矢と温羅が投げた石が空中で衝突し、苦戦になる。五十狭芹彦命は一度に二矢を射ることができる強弓を準備させ、一度に二つの矢を射ると、一つの矢は温羅の石に当って落ちたが、もう一つの矢が温羅の左目に突き刺さる。温羅は雉に姿を変え山中に逃げたので、五十狭芹彦命は鷹となって追いかける。捕まりそうななった温羅は川に逃げて鯉に姿を変える。自分の左目の血で川は赤くなり、のちに血吸川と呼ばれた。
 五十狭芹彦命は鵜に姿を変え、血吸川を逃げる鯉=温羅を噛みあげて捕まえ、温羅は降伏する。以降、五十狭芹彦命は吉備津彦として吉備国を治める。
 矢置石は五十狭芹彦命=大吉備津彦命が矢を置いた石として伝わっていて、温羅が投げた石の落ちたところに矢喰宮があり、近くに血吸川が流れ、鵜が鯉を噛みあげたところに鯉喰神社があるらしい。温羅退治の言い伝えがおとぎ話の桃太郎の鬼退治として伝わった。


 吉備津神社の石段を上る。吉備津神社は山裾に位置し、本殿は南向きに、社は北から南に向かって配置されている。東は山で社林がうっそうとし、西は急斜面である。急峻な石段を上ると朱塗りの鮮やかな北随神門が参拝者を迎える。北随神門は室町時代中期の再建である(写真web転載、重要文化財)。
 北随神門で一礼し、息を整え、続く急峻な石段を上ると、素木の授与所が構えている(写真)。お守り、神札、守護矢などを授与する場所である。
 授与所の天井に吉備津宮の扁額が掲げてあるので、授与所の先の階段の上の素木の建物が拝殿と想像できる(写真、手前は授与所、奥が拝殿)。階段を上がり、拝殿を通して本殿が見える。祭神は大吉備津彦大神を主神とする。二礼二拍手一礼する。
 階段を下る。西側は後述の廻廊が隣りあっているので、東側に回り本殿を見る(次頁左写真、左側が本殿、右側が拝殿)。本殿・拝殿は連結していて、本殿は二つの入母屋屋根を結合した比翼入母屋造で、吉備では吉備津造と呼んでいる。
 本殿・拝殿ともに室町時代中期1425年の再建で、ともに国宝に指定されている。本殿は、桧皮葺の柔らかい質感、軽やかに伸びた入母屋屋根の形、控えめな装飾で優美である(右写真)。


 本殿奥を西に回ると廻廊に続く南随神門があるが、帰りに見ることにして、南の坂道を上り、一童社で一礼、社林のなかを歩き、えびす宮で一礼する。社が並ぶ梅林、社林のなかを歩いて行くと本宮社が建つ。ここが廻廊の南端になる。本宮社で一礼し、廻廊を北に歩く(写真)。
 廻廊は幅一間、瓦葺き切妻屋根で、地形にあわせ総延長360mの廻廊が延びているので、外から見ると雄大である(写真web転載)。戦国時代1579年の再建である。
 なぜ廻廊が作られたのかについては吉備津神社案内にも記されていない。吉備の中山を背にしてここに大和朝廷軍が集結し、西斜面を上ってくる敵を弓矢で射るために塀柵を築いたとしたら、廻廊では開放的すぎる。神事のために作られたのだろうか。謎のままの方が夢想しやすい。
 廻廊の途中で廻廊が枝分かれして下っていて、先に御竃殿が建つ。吉凶を占う鳴釜神事が行われそうだ。1612年の再建で重要文化財に指定されているが、吉凶占いはパスし、廻廊に戻る。
 廻廊を北に上ると南随神門が建つ(写真web転載)。1357年の再建で、重要文化財に指定されている。
 南随神門を抜け、廻廊を上る。廻廊は本殿の横を通り、拝殿横で終わる。拝殿で一礼し、授与所を通り、北随神門で一礼し、吉備津神社をあとにする。
  (2023.12)

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