<日本の旅・埼玉を歩く> 2022.1 徳永真一郎ギターリサイタル
歩いて数分のさいたま市プラザノースでは、さまざまな催し物が企画されている。コロナ渦でコンサートや演劇から遠ざかっていて文化的刺激に欠乏していた2022年1月、ノース・ティータイム・コンサートvol.24「徳永真一郎ギターリサイタル」が開かれた(ポスターweb転載)。
コロナ渦のため座席数400余の半分以下の180名定員で、電話のみの事前予約だった。全席自由なので聴衆がまばらな2階最後部の席にした。
ノース・ティータイム・コンサートのコンセプトは「ウィークデーの午後のひと時、お茶を楽しむように音楽を聴きながら過ごす」で、演奏時間は45分と短い。応じて入場料も500円と格安である。
ティータイム・コンサートは欠かさず聴きに来ているが、45分は少し物足りない。コンセプトを尊重しながらあと1~2曲増やし、60分ぐらいがよさそうに思う。
徳永さんは徳島県生まれ、9歳からギターを学び、コンクールで優勝、フランスに渡り、パリ国立高等音楽院修士課程を首席で卒業、ヨーロッパ各地のコンクールで賞を受け、2015年に朴葵姫(2021年にギターリサイタルを聴いた)、松田弦、岡本拓也とタレガ・ギターカルテットを結成し室内楽の可能性も追求しているそうだ。
ポスターからもうかがえるように若く、気さくな感じである。
プログラムは
コラール前奏曲「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV645 J.S.バッハ/D.ラッセル編
プレリュード、フーガ、アレグロBWV998 J.S.バッハ
プレリュード第5番 F.タレガ
アルハンブラの思い出 F.タレガ
今朝の秋 武満徹/鈴木大介編
亜麻色の髪の乙女 C.ドビュッシー/J. ブリーム編
ニュー・シネマ・パラダイス E. モリコーネ/鈴木大介編
タンゴ・アン・スカイ R.ディアンス と続き、アンコールでアイルランド民謡のダニーボーイ が演奏され、幕となった。
小さなホールなので親近感がわくが、ギターのソロ演奏は寂しげに感じる。
フランシスコ・タレガ(1852-1909)はスペインの作曲家、ギター奏者で、20世紀のクラシック・ギターを基礎付け、ギターを独奏楽器として定着させたといわれる。名曲の「アルハンブラの思い出」「アラビア風奇想曲」「ムーア人の踊り」を作曲し、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ショパンらのピアノ曲をギター用に編曲しているそうだ。
タレガのギター曲はギター演奏会の定番のようで、徳永さんは「アルハンブラの思い出」を奏で、2021年1月にプラザノースで開かれた「デビュー10周年記念 朴葵姫ギターリサイタル」(H.P.日本の旅・埼玉を歩く参照)ではアラビア風奇想曲が演奏された。
・・1994年3月、2015年10月にアルハンブラ宮殿を訪ねていて、「アルハンブラの思い出」を聴くたびにアルハンブラ宮殿の壮麗な空間が思い出される・・。
タレガはベートーヴェン、ショパンらのピアノ曲をギター用に編曲しているので、タレガを目指して研鑽を積んでいる徳永さんもバッハのオルガン曲であるコラール前奏曲をギターで演奏したようだ。プレリュード、フーガ、アレグロもリュートや鍵盤楽器での演奏が多いが、ギター演奏も少なくないらしい。私は音楽の下地がないので、タンゴ・アン・スカイなどタンゴのギター演奏が好みである。とはいえ、音感の刺激には選り好みせずいろいろな演奏を楽しんだ方が良さそうだ。
亜麻色の髪の乙女、ダニー・ボーイは聴き慣れているため、気分よく演奏を楽しんだ。
CDやユーチューブでも音楽を聴きリラックスできるが、生の演奏は文化的刺激度が大きい。45分+アンコール+徳永さんの話で心身が元気づけられた。 (2022.1)