アイ・ラブ みどり

逆境にもめげず、けなげに生きるみどり達がいとおしくてなりません。

切腹

2018年02月16日 | みどりの雑記帖

高齢者クラブの研修バス旅行で、国立科学博物館で開催されている古代アンデス文明展と防衛省自衛隊市ヶ谷チャンプを見学してきました。500年前までベールに包まれていたアンデス文明は、現代に生きる我々にも大きな影響を与えていることを知りました。唐辛子、トマト、ジャガイモ、トウモロコシ、カボチャ、ピーナッツなど、現代の食生活を豊かにしてくれる食材は、長い時間をかけてアンデスで育種され栽培されていたものなのです。

写真は自分が切った首を持つ男性の土器です。右手に鋭い刃物を握り、右の頸動脈を切ったところです。斬り口からは太い血管が覗いています。自ら進んで人身御供の生贄に命を捧げたものと思われます。生贄の表情を見せるためでしょうか、顔が逆向きですが、構図上の技巧と思われます。アンデス地方の気候は厳しく、神の怒りを鎮めるため、人にとって最も大切な命を日常的に神殿に捧げられていたようです。それでも災害が収まるはずはなく、生贄の儀式はエスカレートし、インカ帝国では捕虜から取り出したばかりの、まだ動いている心臓を生贄にしたと言います。なんとも恐ろしい儀式ではありませんか。

日本の切腹は、不祥事のけじめをつける最も潔い行為と考えられています。自衛隊の市ヶ谷記念館は、極東国際軍事裁判(東京裁判)の法廷となった大講堂などを移設・復元したものです。その2階には、憲法改正のため自衛隊のクーデターを呼びかけた作家の三島由紀夫が切腹した総監室が移設されていました。部屋の扉には、彼が刀を振り回してつけた3か所の切り跡が生々しく残されていました。衝撃的事件でしたが、残念ながら切腹行為は完全な時代錯誤で、自らを生贄にしながら何事も起こらず、空振りに終わってしまいました。得意の文筆活動をいかして、もっと賢い方法があったのではないでしょうか。

アメリカでは銃乱射事件が頻発しています。何らかの不満分子が、自分ではどうにもならない夢を実現したいと、生贄を捧げて天に祈る行為とみることができます。経済大国のアメリカは、少数の勝者と多数の敗者を生む典型的な競争社会で、負け組が往々にしてこのような悲惨な事件に走るのです。これに対処するため銃規制が叫ばれていますが、車の暴走事件などがそれに代わるだけで、格差社会を解消しない限り、抜本的解決方法はないのではないでしょうか。

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