【2012Jリーグプレシーズンマッチ 水戸 vs 鹿島】プレビュー:ジョルジーニョ初陣に注目が集まる鹿島に対し、「J1昇格を目指す」水戸は本気で勝ちに行く。古巣相手に燃える鈴木隆行にも注目!(12.02.24)
今年で8回目を迎える「いばらきサッカーフェスティバル」が2月25日ケーズデンキスタジアム水戸で開催される。もはや茨城サッカーの新たなシーズンの到来を告げる恒例行事となったこの試合。過去の戦績は鹿島の7勝全勝であり、7試合合計得点20に対し、失点はわずか1。それもPKで与えたものであり、鹿島が歴然とした力の差を見せてきた。今年も鹿島が圧倒的な強さを見せるのか。それとも水戸が意地を見せるのか。“茨城の盟主”の名を懸けて、両クラブのプライドが激突する。
鹿島の注目は何と言ってもジョルジーニョ新監督の指揮だろう。茨城初陣となるこのゲームで、クラブの“レジェンド”がどんなサッカーを披露するのかに注目が集まる。新システムであるダイヤモンド型の中盤が機能するのか、期待の新戦力ジュニーニョはチームにフィットしているのかなどが主な見どころとなるだろう。17日に終えた宮崎キャンプではかなりハードなトレーニングを行ってきたという。それゆえ、まだコンディションは万全ではなく、戦術に関してもこれから詰めていく作業となるだろうが、チームとしての目指す方向性のベースは見せてくれるに違いない。
新チームの核として期待される代表組(増田誓志、岩政大樹、柴崎岳、大迫勇也、山村和也)は欠場となり、戦力ダウンを余儀なくされるが、同時に選手層を厚くするための絶好のチャンスととらえることもできる。長いシーズンを戦い抜くためにも高いレベルのポジション争いが行われなければならない。そういう点でもこの試合に出場する選手たちのプレーが今後の鹿島の命運を握っていると言っても過言ではない。中でも山村と岩政の抜けるセンターバックで先発濃厚の昌子源のプレーには期待したいところ。プロ2年目19歳の昌子がポジション争いに食い込んでくれば、チーム力向上につながることは間違いない。
新監督のもと、例年通りしっかりと水戸に勝ち切って、王者奪還へ好スタートを切りたい。主力組不在だろうと、どんな状況だろうと「勝つ」ことが鹿島のDNA。その伝統をプレーヤーとして築いたジョルジーニョが、今度は指揮官として新たな伝統を作る作業に入る。この試合が、その第一歩となる。
ただ、今年の水戸を昨年までと同じに見ていたら、鹿島は痛い目に遭うことだろう。
昨季、若手中心のチームを就任1年目の柱谷哲二監督が徹底的に鍛え上げ、驚異的な運動量と華麗なポゼッションを見せるチームへと変貌をさせた。それが結実したのが、天皇杯3回戦G大阪戦であった。J1屈指の攻撃力を誇る相手に対して、水戸は一歩も引くことなく、激しいせめぎ合いに持ち込んだ。その結果、延長戦の末にG大阪を撃破したのである。順位こそ17位に沈みながらも急激な成長を遂げたのであった。
原動力となったのが、鈴木隆行である。昨年7月に「被災地である故郷茨城を元気にしたい」という思いを胸に水戸でプレーすることを決断。プレーだけでなく、彼のサッカーに対する真摯な姿勢が若い選手たちに刺激を与えることとなった。「元日本代表」という肩書に甘んじることなく、90分間ピッチを走り回り、コンタクトプレーで全盛期を彷彿させる強さを見せるなど、35歳ながらも誰よりも体を酷使したプレーをピッチ上で見せた。試合だけでなく、日々の練習からすべての力を出し切る背番号30を見て、若い選手たちが何も思わないはずがなかった。「隆行さんがあれだけやっているんだから、僕らはもっとやらないといけない」(塩谷司)と若い選手たちの心に激しい火がともったのだ。
“闘将”柱谷監督からの檄と、鈴木隆の存在によって、“戦うチーム”に生まれ変わった水戸。今季はさらに元日本代表DF市川大祐をはじめ、各ポジションにJ1経験者が加わり、確実にパワーアップした姿を見せている。過去最強の陣容が整った。
そこで柱谷監督が掲げた目標が「J1昇格」である。昨季17位のチームが掲げるには、あまりにも背伸びしていると思われるかもしれないが、昨季のベースの上にしっかりと戦力の上積みができており、決して非現実的な目標ではない。あとは、すべての選手が“本気”で目指せるかどうか。1人1人のメンタリティーに懸っていると言えるだろう。
そのためにも柱谷監督は「今年は結果にこだわる」と豪語する。昨季は内容にこだわり続け、上位チーム相手でも互角に持ち込めれば“よし”としていた。しかし、今年は違う。相手がどこだろうと、どんな戦いだろうと、勝つために戦うのである。それは、相手が鹿島であろうと同じである。
その指標を明確に示すためにも、この一戦はプレシーズンマッチとはいえ、勝利が求められるのだ。柱谷監督は「開幕に向けて最後の準備の試合」と前置きしながらも、「勝負事なので、勝ちに行く。公式戦と同じ気持ちで戦う」と意気込んでいる。
もし「鹿島に勝つ」ということとなれば、茨城県内での水戸を見る目は一気に変わることだろう。それが「J1を目指す」水戸の大きな力になることは間違いない。
鈴木隆はチーム始動からフルメニューをこなし、「コンディションはかなりいい」とのこと。古巣相手に最高のプレーを見せてくれることだろう。けがで出遅れた市川もコンディションを上げてきている。まだフル出場は厳しいかもしれないが、右サイドを勢いよく駆け上がって正確なクロスからチャンスを演出するはず。チーム全体としても練習試合を重ねるたびに状態は向上しており、自信を持ってこの一戦に挑むことができる。「J1昇格」を目指すシーズンに弾みをつけるためにも、鹿島から初勝利をどうしても挙げたい。それが水戸のこの一戦に向けての意気込みだ。
歴史は変えるためにある。さあ、自分たちの手で、力強く、茨城の歴史を塗り替えようではないか。
以上
2012.02.24 Reported by 佐藤拓也
欠場の岩政の代役は源となる。
昨季はオリヴェイラ監督の信頼を勝ち得ること無く終えてしまったが、二年目となる今季は源本人の気持ちも変わったと言えよう。
同じポジションに日本代表経験もあるU-23日本代表の主将を務める山村が加わり、自覚がより芽生えた様子。
年齢は山村よりも下とは言え、プロとしての先輩として手本を見せねばならぬ。
得意のヘディングとフィジカルで相手を吹き飛ばすのだ。
明日の水戸戦は昌子源に注目である。
今年で8回目を迎える「いばらきサッカーフェスティバル」が2月25日ケーズデンキスタジアム水戸で開催される。もはや茨城サッカーの新たなシーズンの到来を告げる恒例行事となったこの試合。過去の戦績は鹿島の7勝全勝であり、7試合合計得点20に対し、失点はわずか1。それもPKで与えたものであり、鹿島が歴然とした力の差を見せてきた。今年も鹿島が圧倒的な強さを見せるのか。それとも水戸が意地を見せるのか。“茨城の盟主”の名を懸けて、両クラブのプライドが激突する。
鹿島の注目は何と言ってもジョルジーニョ新監督の指揮だろう。茨城初陣となるこのゲームで、クラブの“レジェンド”がどんなサッカーを披露するのかに注目が集まる。新システムであるダイヤモンド型の中盤が機能するのか、期待の新戦力ジュニーニョはチームにフィットしているのかなどが主な見どころとなるだろう。17日に終えた宮崎キャンプではかなりハードなトレーニングを行ってきたという。それゆえ、まだコンディションは万全ではなく、戦術に関してもこれから詰めていく作業となるだろうが、チームとしての目指す方向性のベースは見せてくれるに違いない。
新チームの核として期待される代表組(増田誓志、岩政大樹、柴崎岳、大迫勇也、山村和也)は欠場となり、戦力ダウンを余儀なくされるが、同時に選手層を厚くするための絶好のチャンスととらえることもできる。長いシーズンを戦い抜くためにも高いレベルのポジション争いが行われなければならない。そういう点でもこの試合に出場する選手たちのプレーが今後の鹿島の命運を握っていると言っても過言ではない。中でも山村と岩政の抜けるセンターバックで先発濃厚の昌子源のプレーには期待したいところ。プロ2年目19歳の昌子がポジション争いに食い込んでくれば、チーム力向上につながることは間違いない。
新監督のもと、例年通りしっかりと水戸に勝ち切って、王者奪還へ好スタートを切りたい。主力組不在だろうと、どんな状況だろうと「勝つ」ことが鹿島のDNA。その伝統をプレーヤーとして築いたジョルジーニョが、今度は指揮官として新たな伝統を作る作業に入る。この試合が、その第一歩となる。
ただ、今年の水戸を昨年までと同じに見ていたら、鹿島は痛い目に遭うことだろう。
昨季、若手中心のチームを就任1年目の柱谷哲二監督が徹底的に鍛え上げ、驚異的な運動量と華麗なポゼッションを見せるチームへと変貌をさせた。それが結実したのが、天皇杯3回戦G大阪戦であった。J1屈指の攻撃力を誇る相手に対して、水戸は一歩も引くことなく、激しいせめぎ合いに持ち込んだ。その結果、延長戦の末にG大阪を撃破したのである。順位こそ17位に沈みながらも急激な成長を遂げたのであった。
原動力となったのが、鈴木隆行である。昨年7月に「被災地である故郷茨城を元気にしたい」という思いを胸に水戸でプレーすることを決断。プレーだけでなく、彼のサッカーに対する真摯な姿勢が若い選手たちに刺激を与えることとなった。「元日本代表」という肩書に甘んじることなく、90分間ピッチを走り回り、コンタクトプレーで全盛期を彷彿させる強さを見せるなど、35歳ながらも誰よりも体を酷使したプレーをピッチ上で見せた。試合だけでなく、日々の練習からすべての力を出し切る背番号30を見て、若い選手たちが何も思わないはずがなかった。「隆行さんがあれだけやっているんだから、僕らはもっとやらないといけない」(塩谷司)と若い選手たちの心に激しい火がともったのだ。
“闘将”柱谷監督からの檄と、鈴木隆の存在によって、“戦うチーム”に生まれ変わった水戸。今季はさらに元日本代表DF市川大祐をはじめ、各ポジションにJ1経験者が加わり、確実にパワーアップした姿を見せている。過去最強の陣容が整った。
そこで柱谷監督が掲げた目標が「J1昇格」である。昨季17位のチームが掲げるには、あまりにも背伸びしていると思われるかもしれないが、昨季のベースの上にしっかりと戦力の上積みができており、決して非現実的な目標ではない。あとは、すべての選手が“本気”で目指せるかどうか。1人1人のメンタリティーに懸っていると言えるだろう。
そのためにも柱谷監督は「今年は結果にこだわる」と豪語する。昨季は内容にこだわり続け、上位チーム相手でも互角に持ち込めれば“よし”としていた。しかし、今年は違う。相手がどこだろうと、どんな戦いだろうと、勝つために戦うのである。それは、相手が鹿島であろうと同じである。
その指標を明確に示すためにも、この一戦はプレシーズンマッチとはいえ、勝利が求められるのだ。柱谷監督は「開幕に向けて最後の準備の試合」と前置きしながらも、「勝負事なので、勝ちに行く。公式戦と同じ気持ちで戦う」と意気込んでいる。
もし「鹿島に勝つ」ということとなれば、茨城県内での水戸を見る目は一気に変わることだろう。それが「J1を目指す」水戸の大きな力になることは間違いない。
鈴木隆はチーム始動からフルメニューをこなし、「コンディションはかなりいい」とのこと。古巣相手に最高のプレーを見せてくれることだろう。けがで出遅れた市川もコンディションを上げてきている。まだフル出場は厳しいかもしれないが、右サイドを勢いよく駆け上がって正確なクロスからチャンスを演出するはず。チーム全体としても練習試合を重ねるたびに状態は向上しており、自信を持ってこの一戦に挑むことができる。「J1昇格」を目指すシーズンに弾みをつけるためにも、鹿島から初勝利をどうしても挙げたい。それが水戸のこの一戦に向けての意気込みだ。
歴史は変えるためにある。さあ、自分たちの手で、力強く、茨城の歴史を塗り替えようではないか。
以上
2012.02.24 Reported by 佐藤拓也
欠場の岩政の代役は源となる。
昨季はオリヴェイラ監督の信頼を勝ち得ること無く終えてしまったが、二年目となる今季は源本人の気持ちも変わったと言えよう。
同じポジションに日本代表経験もあるU-23日本代表の主将を務める山村が加わり、自覚がより芽生えた様子。
年齢は山村よりも下とは言え、プロとしての先輩として手本を見せねばならぬ。
得意のヘディングとフィジカルで相手を吹き飛ばすのだ。
明日の水戸戦は昌子源に注目である。