鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

鹿島は未知数

2012年02月27日 | Weblog
J1本命は柏と名古屋、G大阪と鹿島は未知数
福田正博が展望するJリーグ2012シーズン

2012年2月27日(月)

 いよいよ開幕を迎えるJリーグ2012シーズン。今季も大混戦が予想される中、「Mr.レッズ」こと福田正博氏がさまざまな角度から今季のJリーグを展望する。現役時代は日本人選手として史上初めてJリーグ得点王に輝くなど、日本サッカー屈指の点取り屋として活躍した福田氏は、同時に論理的な分析力でも知られていた。開幕を間近に控え、福田氏が新シーズンのJリーグについて余すところなく語った。

■昨季王者の柏はレアンドロ・ドミンゲスがポイント

 間もなく今年もJリーグの開幕を迎えますが、今シーズンは柏レイソル、名古屋グランパスを中心に回っていくと思います。

 柏は去年、本命ではない中でスタートを切りました。リーグ序盤からネルシーニョ監督がチームをうまくコーディネートして、若手とベテランをうまく融合させてチームを成熟させました。今シーズンはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)もあって大変だと思いますが、那須大亮、リカルド・ロボと手薄だったポイントを的確に補強し、昨年優勝したことで自信もつけています。ネルシーニョ監督が2年半率いてチームの完成度も高くなっており、守備に関する規律もしっかりしています。役割も明確で、選手個々に対する評価もしっかり出すので、選手としてもやりやすいと思います。

 柏で焦点になるのは、やはりレアンドロ・ドミンゲスが1シーズン働けるかどうかというところ。彼はアシストもできて、チームの役割をこなしながら点を取ることもできます。柏にはジョルジ・ワグネルもいますし、前線には生きのいい若手や北嶋秀朗のような老かいなベテランもいますが、それでも柏はレアンドロありきという部分が強いと思います。もちろんレアンドロだけのチームではありませんが、彼が出ているかどうかでチームのパフォーマンスがだいぶ変わり、相手に与える恐怖、脅威が違ってきます。

 昨年のクラブワールドカップ(W杯)のテレビ放送で「レアンドロがいない5試合でも勝っています」と紹介していたのを聞いたことがありました。確かにその通りですが、僕が見たモンテディオ山形戦、サンフレッチェ広島戦では勝利したものの、柏はかなり苦しんでいました。レアンドロは特別な力を持っている選手ですし、Jリーグだけでなくクラブ(W杯)でも存在感が際立っていて、ああいう舞台でも頭一つ抜けている選手でした。だから、レアンドロがいるかどうかはかなり大きなポイントになるでしょう。

■名古屋は闘莉王、ケネディが盤石なら優勝争いの本命

 名古屋は基本的にここ数年変わっていません。去年のチームも優勝した一昨年のチームと違いはありませんでした。戦い方も同じだし、中心メンバーも一緒。昨シーズンは優勝できませんでしたが、柏とはわずか勝ち点1差で、戦い方は安定していました。力でねじ伏せていくスタイルははっきりしています。

 2年連続得点王のケネディは今シーズンも間違いなく得点ランク上位に来るでしょう。足元の技術も低くはないですが、やはり相手にとって最大の脅威になるのはあの絶対的な高さ。空中戦は他チームの日本人選手のウイークポイントですし、名古屋はその日本人の弱い部分を突いてきます。正直、Jリーグではあの高さを封じることはできないと思います。昨季の得点ランキングを見てもケネディ、ハーフナー・マイクと続いています。名古屋には田中マルクス闘莉王や増川隆洋もいて、対戦相手は本当に大変だと思います。

 上位に行くにはリスタートで点が取れるかどうかという点が重要なポイントになります。その点、名古屋には藤本淳吾という優れたキッカーがいますし、絶対的な高さもあります。闘莉王、ケネディの替えがきかないというのがウイークポイントですが、彼らが盤石なら優勝争いの本命でしょう。

 上位に来るチームというのは、うまくいかない時でも勝ち切れる力を持っています。よく「自分たちのサッカーをすれば勝てる」ということが言われますが、そういう考えは逆に「自分たちのサッカーができなければ勝てない」ということにもなります。本当に強いチームはどういう戦いでも勝てるチーム。名古屋は流れに関係なく勝ち星を稼げるチームです。また柏も「いいサッカーをしよう」という感覚ではなく勝つために戦うチームです。前半は相手のストロングポイントを思い切り消しにいくことで自分たちがリズムをつかみ、90分の流れを考えて戦う力をネルシーニョ監督が植え付けています。

■監督交代、戦力流出で未知数のG大阪と鹿島

 例年であれば、この2チームにガンバ大阪や鹿島アントラーズが絡んでくると思いますが、今シーズンは正直分かりません。G大阪は監督が代わり、メンバーも大きく変わりました。西野体制10年の中で、あの攻撃的なスタイルができ上がりましたが、あれは西野朗さんがいたからできたものなのか、それとも遠藤保仁がいたからなのか、それはこれから見てみないと分かりません。

 ただ、イ・グノの抜けた穴は大きいと思います。昨シーズンの成績は彼の活躍によって支えられていた部分が少なくありません。橋本英郎、平井将生、下平匠も移籍しました。遠藤が1年間いい状態で働くことができれば、そこまで大きくサッカーは変わらないと思いますが、やはりイ・グノの穴が埋まるかどうかという点が大きく響いてくると思います。

 その一方で今野泰幸が加入したのは好材料です。西野さんのG大阪で唯一のウイークポイントだったセンターバックに、西野さんがいなくなってから今野が入ったというのは少し気の毒な気もしますが、チームとしてはいい補強だったと思います。G大阪は失点が多いので、今野の加入によって守備が安定すれば、自慢の攻撃が勝利に結びつく機会も増えるでしょう。

 鹿島も監督が代わりましたし、何より野沢拓也の移籍には驚かされました。ここ数年、鹿島を引っ張っていたのは野沢だと思いますので、その穴を埋めるのは大変でしょう。鹿島の強さはしっかりとした守備からの速い攻撃、前線の決定力、そしてリスタートにあります。昨シーズンは前線の選手がなかなか点を取れない中、リスタートでゴールを決める割合が高かったですが、そのほとんどの場面で蹴っていたのは野沢です。流れの中でも攻撃の中心選手で、チームへの貢献度が高く、クラブにとって最高の戦力です。だから野沢の移籍はインパクトが大きいと思います。

 また昨シーズンはマルキーニョスが抜けた穴は埋まらないだろうなと思って見ていましたが、実際にその通りになりました。そこで今年はジュニーニョを取ったわけですが、鹿島のカウンター、スペースを有効活用するサッカーに合う選手だと思います。去年のジュニーニョは、ボールの受け方は相変わらず素晴らしかったですね。ただ、前を向いた時に自分で仕掛けることがあまりなく、以前の怖さは正直ありませんでした。コンディションに問題があり、ケガを抱えながらやっていたという話も聞いているので、体調が万全で、仕掛ける姿勢が戻ってくれば相当活躍すると思います。そこに野沢がいればもっと面白かったとは思いますが。


■注目の昇格組FC東京、J2は京都が楽しみ

 それから個人的に注目しているのはFC東京です。ここ3シーズンの流れでは、J2から昇格したチームが必ず上位に食い込んでいて、選手層からいっても昇格組の中でサプライズを起こせるのはFC東京でしょう。ただ、これまでと異なる大きなポイントは、広島やセレッソ大阪、そして去年の柏と違って監督を代えていること。それがどう出るか。ポポビッチ監督は大熊清さんと違う哲学を持っているので、彼のサッカーを体現できるようになるには少し時間がかかるかもしれません。

 J2では、京都サンガF.C.がかなりの確率で昇格争いに絡んでくるでしょう。昨シーズンは終盤に入って大木武監督のやろうとしていることが少しずつ形になってきているのが見え、個性のあるサッカーをしているところが楽しみなチームでもあります。成績が出ない中でもスタイルを貫き続けた成果がようやく出てきているので、2年目の今年はかなりやってくれると思います。

 今年はJFLからも2チーム(町田ゼルビア、松本山雅FC)が昇格し、また新しい監督を迎えているチームもたくさんあります。各チームがどのような戦いをしてくるか、J2も目が離せませんね。

<了>


今季のJリーグを展望する福田正博氏である。
監督が代わり、野沢の抜けた鹿島は未知数とのこと。
確かに安易に上位に挙げることは出来ぬであろうし、実績的に下位に沈むクラブではない。
この表現でお茶を濁すのが妥当といったところであろうか。
とはいえ、ジュニーニョの加入を前向きに評価しておる。
昨季のジュニーニョが衰えたわけではなく、負傷を抱えたために自分で仕掛ける機会が少なかったと述べておる。
ボールの受け方は素晴らしかったと語っており、事実PSM水戸戦でもその片鱗は魅せておった。
キャンプ情報や先日の水戸戦を見る限り、負傷を抱えておるようには思えず、今季は輝きを放つのではなかろうか。
野沢がおればと福田氏は言うが、そこは日本代表に招集されるほどに成長した増田誓志が十分に埋めるであろう。
そして、今季は運動量が復活した小笠原満男と、急成長を続ける柴崎岳が中盤に君臨する。
この中盤からジュニーニョにパスが供給されるとなれば、前線は活気づくであろう。
未知数と予想される中で、鹿島は旋風を起こすであろう。
楽しみである。

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