鹿島アントラーズ原理主義

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日本代表・昌子源、張り切った俺がアホみたいでした

2015年01月07日 | Weblog
【日本代表】練習試合で声を出し続けた昌子源 サブ組の突き上げがチームの士気を左右する
寺野典子
2015年01月06日

30分ハーフのゲームで60分間切らさずに声を出し続けた。


1月5日に非公開で行なわれた練習試合で、コーチングの声を出し続けた昌子が存在をアピール(写真は昨年4月の代表合宿)。(C) SOCCER DIGEST

 前日の強い日差しから一転、1月5日、シドニーから北に150キロほど離れた田舎町のセスノックは、朝から曇が広がり、過ごしやすい気温の一日となった。

 日本代表は午前10時半から地元のLambton Jaffas FCと30分ハーフの練習試合を非公開で実施した。

 先発はGK西川、DFは右から植田、吉田、昌子、太田。MFは中盤の底に今野、インサイドハーフは右に香川、左に遠藤、アウトサイドには小林と清武、1トップには武藤が起用されている。

 前半19分に遠藤がPKを決めて先制。後半開始時に遠藤に代わり中島、香川に代わり乾がピッチに立ち、清武がインサイドハーフの右へ移動し、乾が左のアウトサイドでプレーした。後半2分に中島のゴールが決まると、同4分に昌子、13分に清武、20分に乾、29分に小林、30分に再び乾とゴールラッシュ。7-0で快勝した。

 現地でチームに合流したばかりで、「時差や気温差があり、キツかったが、慣れていかないといけない」と語る吉田は、新たに代表に招集された選手とのプレーを「4年間固定メンバーでプレーしていたので、新しい選手とやれるのは新鮮だった」と振り返り、「(植田や昌子は)若くて潜在能力がある。自分のいいところは盗んでほしい」と話した。

 前日は終了間際に途中出場したものの、ほとんどプレー機会がなかった昌子は、初めてのスタメン出場を絶好のアピールチャンスと捉え、「60分間切らさずに声を出すのが自分の目標」と試合に挑んだ。

「麻也さんとか今さん(今野)とか真司くんに『昌子、しっかりしゃべって俺らを動かしてくれ』と言われた。CBはどちらも声を出さないといけない」と、吉田と並んでも気後れせずに声を出そうと決意していた昌子を、経験者たちが後押ししてくれた。そして、試合終了後には手倉森コーチから「60分間、しゃべり続けていたね」と声をかけられたという。

「『僕の声帯は120分用なんで、大丈夫です』って答えたら、『次は24時間やな』って言われて、『それは無理です』って(笑)。そんなしょうもない会話をしました。でも、テグさん(手倉森コーチ)にそう言ってもらえたということは、自分の目標が達成できたんだなと思えた」


試合後の昌子の言葉の端々から充実ぶりが感じられた。

 2014年、鹿島でレギュラーの座を掴み、10月には代表初招集。負傷により辞退せざるを得なかったが、11月には満を持して代表入り。物怖じしない明るい性格でチームにもすんなり溶け込めた。だからこそ、今度はプレーでチームメイトの信頼を勝ち得なければならない。しかし、攻撃的な選手とは違い、守備の選手が与えられるチャンスはそれほど多くはないと、昌子自身も自覚している。

「なかなか代表では試合に出られないし、こういう試合がアピールの場。60分間だったけど、手を抜かず、しっかりやれた」という代表初先発の試合で、ゴールまで決めることもできた。

「右CKから大外に行って、麻也さんが胸トラしてボレーを打ったら、GKが弾いて、僕の左足に来たんで、『おっしゃあ!』って。左足だからちょっと不安だったけど。決まった瞬間も『やった』と思ったら、麻也さんに『クソー』って言われました、ごっつあん(ゴール)でしたけど、まあ1点は1点。でも、周りのみんなは、なんかシレッとしていて。張り切った俺がアホみたいでした」

 大きなガッツポーズを決めるほどに喜んでいるだろう昌子の姿が想像できる。そして、高い集中力で声を出し続けるその姿も。60分間、小さなプレーも無駄にはできないとあらゆることに気を配り、先輩のプレーを意識し、吸収しようとしていたに違いない。

「途中、監督から、ボールをパスして前へ運ぶのではなく、ディフェンス全体で持ち運んで、全体を下げないようにと言われました、すぐに今さんに当てて、前へ運ぶより、俺らディフェンスラインがボールを持っていったほうが、ライン全体が上がるから、それを意識しろと。

(吉田と組んだのは)初めてです。すごくいい経験になった。試合途中も、相手のレベルがあまり高くなかったので、『もうちょっとリスクを背負おってやろう、あえて2対2(CBふたり)で守ろう』と麻也くんが言ってくれた。両サイドが上がっても呼び止めずに守った。

 結局、相手は来なかったですけど、本番ではそういう状況は必ず起きると思うんです。昨日もそういう危ないシーンがあったし。そういうことを麻也さんは想定して準備しているんだと思う。そういう部分を自分も一緒に合わせてやっていければいいなと思います。
この暑さの中では、すべて前から行くのは無理だし、ステイするところはステイしなければいけない。そこはCBが声をかけて、スイッチを入れるべきだと思う。ちょっと全体的に高いなと思えば下げさせる。そういうところは、やっぱ、麻也さんがうまいことやってくれていたと思います」

 試合後の彼の言葉の端々から、その充実ぶりが感じられた。

上の世代が歩み寄り、下の世代は学びを得ようとしている。

 4年前のアジアカップでもそうだったが、決勝まで行けば6試合を戦う長丁場の大会。累積警告での出場停止や退場、負傷など、思わぬアクシデントで突然出番がやってくることも考えられる。もちろん、サブ組の存在はチームの士気を左右する。だからこそ、溌剌としたオーラを放つ昌子の“声”がピッチ内外で、アギーレジャパンの新しい力となることを期待したい。

「自分の役割が、先発か、途中からなのかは分からないけど、どっちでも、しゃべり続けることが大事。途中出場で活躍するラッキーボーイが出るというのは、チームにとってもいいこと。運を味方にしないと勝てない大会だと思うから。前回大会では、イノさん(伊野波)、李さん(忠成)がゴールを決めた。そういう存在を2、3人は作りたい。そういう話を具体的にすることはないけど、きっとみんな心の中では、思っているはずだから」

 2010年のワールドカップメンバーをベースとして戦った2011年のアジアカップ。その先発メンバーのほとんどがブラジル・ワールドカップを戦い、ポジションを守っている。しかし、サブ組の顔ぶれは大きく変わった。アジアカップで控えだった選手のなかで、その後の4年間を代表として過ごした選手はごくわずかだ。

 その理由はいくつもあるだろうし、ひと言では片づけられない。ただ、結果として、主力選手たちは経験を積み、進化が促され、それ以外の選手たちとの差が広がったことは、ひとつの事実だと考えられる。

「まずは経験のある選手たちがコニュニケ―ションをとり、それを若い選手たちへ伝える。そういうことをやらなくちゃいけないという話をし、それを普段からやっている」
 オーストラリア大会を前にそう話したのは長谷部だった。

 そしてこの日、練習冒頭には、本田と酒井高、そして塩谷が熱心に話し合っていた。上の世代が下の世代に歩み寄り、下の世代は上の世代から、ひとつでも多くの学びを得ようとしている。そういう空気はチーム内の競争を活性化するはずだ。指揮官に頼るのではなく、自主的に動き出したことの意味は大きい。

 若い選手たちのチャレンジャーとしての野心を支えるのは、自分の強みを押し出す自信と、貪欲で謙虚な姿勢だ。

 この試合では1トップで起用されたが、前日に続き得点を挙げられなかった武藤は、自身の現状を「自分との勝負」と語った。小林にしても太田にしても、そして慣れない右サイドでプレーした植田にしても、シーズン終了から間が空き、コンディションとの折り合いと新チームでの役割とをうまく消化できているわけではないだろう。もどかしさを感じているにちがいない。

 これからの約1か月間の大会中、もしかしたらプレー機会に恵まれないという不遇に陥る選手が出てくるかもしれない。たとえ、ネガティブな感情を抱えることになったとしても、チームの一員としての勤勉さを忘れず、どうすればここで活きるのかと積極的に模索する時間を過ごせば、それが成長の土台となるはずだ。

 日本代表の進化の原動力として必要なのは、若い彼らの成長だ。アジアカップでは、そのきっかけを掴んでほしい。

取材・文:寺野典子




非公開で行われた日本代表の練習試合をレポートするサッカーダイジェストWebの寺野女史である。
源の言動が伝えられる。
この練習試合では、ゴールも含めて、良い経験となった様子。
源はこの大会で大きく成長する、そう感じさせてくれる。
前向きな昌子源の活躍を期待したい。

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