鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

FC東京戦のジャッジについて

2012年04月21日 | Weblog
【J1第6節 F東京vs鹿島】
<読者からの質問>
「両チームに与えられた味方競技者からGKへのバックパスの判定は正しかったのでしょうか? 仮に正しい判定であったとしても、再開の手続きに誤りがあったと思います。2本とも守備側チームの選手はボールから10ヤード離れなければいけない、今回のケースは10ヤード離れる事ができないため、守備側の選手はゴールライン上にいなければいけなかったと思います。
 しかし両チームの選手とも後ろ足くらいしかライン上になく、前に飛び出せるように前がかりになり、前足、体ともライン上より前に出ています。そのコントロールがきちんとされていない状況でFKが行われ、鹿島の方だけ飛び出しが早かったとしてやり直しとはどうしても納得が行きません。しかも飛び出しが早くてやり直しであればその選手は警告されるべきではないのですか? 今回は審判の誤審が招いたイエローカード乱発のように見えました。
 今シーズン鹿島は3試合続けて試合結果に関わる大きな誤審に当たっています。前節あれだけの誤審をした木村主審が今節も担当していましたが、割り当てを外して研修等をしないのですか? これは審判委員会としてはどのように考えているのですか? このようなレフェリングが横行していたらとてもリーグが発展するとは思いません」

<松崎委員長からの回答>
「F東京は後半13分、ハーフウェーラインから約20m、右サイドからの味方のスローインを受けたチャン・ヒョンス選手が前方にいる高橋秀人選手に縦パスを入れますが、パスが弱くなり、すかさず鹿島の興梠慎三選手がプレッシャーをかけます。高橋選手は慌てて右足で大きく自分たちのゴール方向に蹴り、これをGKの塩田仁史選手が両手でキャッチ。塩田選手の周りには鹿島の選手もいなかったし、もしかすると意図的なバックパスとも思えるので、ビックリしましたが、吉田寿光主審はバックパス(GKへのパスの制限)のファウルとし、鹿島に間接FKを与えました。
 競技規則第12条『反則と不正行為』では、間接FKになる反則として『味方競技者によって意図的にゴールキーパーにキックされたボールに手または腕で触れる』ことが明記されています。
 バックパス。意図的にGKにパスしたものだったのかどうかが、ファウルかどうかの判断基準になります。興梠選手のチャレンジを受けた高橋選手はボールを奪われまいと、とにかく大きくクリアした。それがたまたまGKの塩田選手の方に飛んでいったとすれば、バックパスのファウルとは言えません。
 しかし、意識する、意識しないにかかわらず、GKの方に蹴っておけば、GKが処理してくれるだろうという意図が高橋選手にあったとすれば、それは“未必の故意”。意図ありとされ、ファウルになります。吉田主審はそう判断したのだと思います。ただ、映像で見る限りは、意図的にGKに戻そうとしたわけではなく、とにかく早く蹴って逃げようとしただけのように見えます。
 なお、意図的に“蹴る”というのは、足によるものです。足とは足首から先のこと(foot)で、スネや膝など“脚”は含まず、胴体や頭も対象外です。簡単に言ってしまえば、サッカーシューズの部分で意図的に“蹴った”ボールを味方のGKが手で触れたならば、間接FK対象のファウルとなります。

 吉田主審は鹿島に間接FKを与えました。その判定を受け、鹿島の大迫勇也選手がすぐに塩田選手のもとへ駆け寄り、塩田選手が持っているボールを奪おうとします。鹿島とすれば、相手の守備陣形が整う前に素早くリスタートして得点を決めてしまいたい。しかし、塩田選手としてはそうされてはならないので、ボールを保持したまま離しません。あとからやってきた小笠原満男選手が、強引にボールを奪い取ります。
 吉田主審は塩田選手を遅延行為で警告しました。笛が吹かれた時点で、鹿島のボールになったのです。ボールを保持したまま、プレーの再開を遅らせた塩田選手にイエローカードを示したのは妥当な判断でした。

 FKが行われる場合、すべての守備側競技者はボールがインプレーになるまで、ボールから9.15m(10ヤード)以上離れなければなりません。ただ、この場面では、FKの場所からゴールラインまでの距離が9.15mに満たないため、F東京の選手はゴールライン上に並んで立つことになります。F東京の選手は右足だけゴールライン上に乗せ、左足や体はゴールラインより前に出ていますが、これはライン上にいると判断されます。
 PKのとき、GKはキックが行われるまでゴールライン上にいなければなりませんが、これも片足だけでもゴールライン上にかかっていれば、体は前に出ていても構いません。キックオフの場合も、体はハーフウェーラインより相手ハーフ内に入っていても足だけがラインに残っていれば、それは自分のハーフにいることになります。それと同じ考え方です。 
 鹿島は小笠原選手が軽く出したボールを遠藤康選手が左足でシュート。そして、F東京の選手が体を張ってブロックしました。
 遠藤選手がシュートしたときには何人ものF東京の選手が前方に出ていたので、侵入の反則が犯されたと見えました。しかし、ボールは小笠原選手が触れたときインプレーになったので、その時点ではF東京の選手の足はゴールラインに残っており、ここに違反はなかったと考えます。

 次は後半36分のシーンです。今度はF東京の攻撃。米本拓司選手からペナルティーエリア内でパスを受けたルーカス選手がボールを横に流します。そのボールを鹿島の新井場徹選手が右足で蹴ったところ、GKの曽ヶ端準選手が両手でキャッチ。ここで再び吉田主審はバックパスのファウルとし、F東京に間接FKを与えました。
 確かにボールは曽ヶ端選手の正面に飛びましたが、新井場選手にパスの意図はなかったと思います。新井場選手は、単にボールをインターセプトした。それがミスキックとなって、ボールがGK方向に飛んだだけのように見えます。
 新井場選手の背後からはF東京の石川直宏選手が走り込んでいました。ルーカス選手からのパスが通れば、決定的なピンチになります。何とかカットしようと、右足を伸ばしたに過ぎないのではないかと思います。
 また、後半16分のF東京のバックパスとは異なり、新井場選手と曽ヶ端選手の距離は近く、下手をすればオウンゴールになってしまうかもしれません。もし新井場選手に余裕があり、意図を持ってボールをコントロールしたのなら、GKの方向ではなく、ゴール横のゴールラインに向かって蹴り、CKに逃げようとするのではないでしょうか。

 吉田主審の笛が鳴ると、ボールを保持していた曽ヶ端選手のところへF東京の羽生直剛選手が近づきます。塩田選手への警告があったからか、曽ヶ端選手は簡単にボールを離し、羽生選手が素早くFKをしようとピッチにボールを置いたところ、強く大きくではありませんでしたが、岩政大樹選手がボールを突いてプレーの再開を阻止。吉田主審は遅延行為で岩政選手にイエローカードを示しました。
 今度は鹿島の選手たちがゴールライン上に並びます。石川選手がボールを軽く蹴って、それをルーカス選手がシュート。しかし、石川選手が蹴る前に鹿島の選手が4人程度、前に飛び出していたため、キックはやり直しとなります。
 飛び出た選手を警告するのが先だとは思いましたが、“やり直しはおかしいだろう”と何度も抗議したのだと思います。小笠原選手が異議で警告されました。
 そして、FKのやり直し。今度はジュニーニョ選手が一人大きく前に出たため、規定の距離を守らなかったことで警告されます。
 このような場面での壁のコントロール、難しいですね。どうしても守備側選手はラッシュしてしまう。ベテランの吉田主審でも苦労しているなと思いました。こういう場面、どうしたらうまくいくのか、もう一度研究してみたいと思います。

 今度こそ石川選手が出したボールをルーカス選手がシュート。DFのブロックに当たったこぼれ球をもう一度ルーカス選手がシュート。その跳ね返りを田邉草民選手が蹴り込み、F東京の得点となりました。
 この場面、間接FKはゴールエリアよりも1mほど外から行われましたが、本来ならばゴールエリアのライン上から行われるべきだったと思います。曽ヶ端選手が新井場選手のパスをキャッチしたのはゴールエリアの中。競技規則では『ゴールエリア内で与えられた間接フリーキックは、違反の起きた地点に最も近いゴールラインに平行なゴールエリアのライン上で行われなければならない』と書かれています。
 ゴール前の混乱を少しでも避けるために、距離を空けたかったのかは分かりませんが、ゴールエリアのライン上から間接FKが行われるべきでした。

 前回のコラムで取り上げた木村博之主審が『なぜ今節も担当していたのか』というご質問。4月7日の第5節・鹿島対浦和の試合では、確かに副審を含めた審判チームとしての判定、対応にはミスもありました。では、判定のミスがあるたびに、その審判を次々と割り当てから外していく方法が良いのでしょうか? そうしたら、Jリーグの試合を担当する審判はいなくなってしまいます。
 選手が試合の中で決定的なチャンスを外したり、大きなミスをして失点したら、次の試合には必ず出場できないのでしょうか? もちろん、ミスを極力、減らしていかなければならないのは当然で、1級審判員研修会等を通じて同じようなミスが起きないように指導していかなければなりません。また、クラブと同じですが、シーズンを通してパフォーマンスが良ければJFL担当からJ2担当、J2担当からJ1担当への昇格、逆に悪ければJ1担当からJ2担当、あるいはJFL担当へ降格します(審判の場合、シーズンの中間にも昇降格を行います)。
 審判としての与えられた裁量を越える誤り、例えば手続き上の大きなミスや、間違って別の選手を警告した場合には研修期間が設定され、同じようなミスを繰り返さないように研修するとともに、その間の割り当てが停止になります。それ以外にも、審判員としてあるまじき行動、例えば選手に手をかける(そんなことは日本で発生しませんが)。そんなことがあれば、選手が出場停止になるのと同じように、審判も割り当て停止になります。
 しかし、試合の中で起きる選手のプレーのミス、審判の判断のミスというのは、それらを含めてサッカーなのではないでしょうか。そして、もしもそれが恒常的に発生するのであれば、選手が出場機会を失うように、審判もそのレベルの試合を担当できなくなるのだと思います」


FC東京戦の誤審に対するQ&Aである。
簡単に言うと、FC東京のバックパスのジャッジは正しく、鹿島のは誤審ということであろう。
偏ったジャッジであったと思って良いのではなかろうか。
レフェリーにも勝利した試合であったと改めて思う。

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6 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-04-21 09:37:06
かってプロ野球でアメリカ人審判が呼ばれてきた(数試合裁いたが星野監督を始め、抗議できるスタイルに嫌気がさして帰ってしまった)
しかし見方がわかる人は「さすがメジャーの審判」と唸ったようです
同じようにサッカーでも南米ヨーロッパの一流審判を呼んで手本にするべきでは?
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Unknown (Unknown)
2012-04-21 10:16:32
大きなミスをしたからといって次の割り当てをなくては審判がいなくなるので外せない。
審判がギリギリの数しかいないのか、みんなミスばかりという意味なのだろうか。

決定機を外したりミスをした選手は次の試合までに練習しているし、それを見た監督の責任で起用を決める。
審判も何が悪かったか反省して改善策を審判部へ提出し、それを受けた審判部の責任で次節割り当てを決めているのだろうか。
大きなミスでもひとつならサッカーファンだって仕方ないと思える。
しかし度重なるミスで明らかな技量不足を露呈した審判団が一週間で技術向上するのであろうか。
サッカーファンはそれを確認できないから、審判に憤りを感じる。

Jリーグの発展のために何とか審判技術向上させて観客に面白い試合を見せてほしい。
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Unknown (Unknown)
2012-04-21 11:55:17
得点にからむ誤審は論外、いっさいの弁解は許されない。それが金もらってるプロ審判だと思う
観客は金払ってチケット買ってる。審判も試合の一部なんだから、ある意味審判にも金払っているということがわかっていない
お役所仕事の審判なんかいらない。
「帳尻合わせ」って何?
人間だからミスはするが、ミスはしなくて当たり前
飲食店はミスして食中毒出したら営業停止だよ。審判はミスして勝敗狂わせても次節にのほほん、と出てくる
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Unknown (Unknown)
2012-04-21 14:08:54
あんなに大きなミスを続けた選手は試合中に代えられます。相手に対するファールの場合は退場で出場停止になります。では、審判は?
先日のコラムにもあったように審判の社会的地位の向上は不可欠ですが、仕事でした大きなミスは責任をとるものです。
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Unknown (PULP)
2012-04-22 01:14:57
木村の場合、単なる誤審では無く意図的にルールに逸脱した判定を下したと確信しています。

開幕仙台戦を見ても明らか。

1試合で3度。
得点に直結するミスをするなんてあり得ない。

反省なんて求めません!
その代り2度と鹿島戦では笛を吹いて欲しくない。
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Unknown (Unknown)
2012-04-22 16:19:54
このコメントですと、選手のミスと審判のミスを同等に載せていますが、違いますよね?
選手のミスは、監督が補い交代させるもので、直接かかわってくるのは自陣のみです。

審判は裁く立場上ミスがあってはいけないはずです。
比較する例えが間違っています。

だから、次の試合も我が物顔でレフリィングするようになるのです。
「審判は絶対!」みたいな感じで・・・。
勿論、そこには反省はないでしょうし、自分たちは裁かれないと思ってしまうのではないでしょうか?
PKなどは無理にしても、大迫のノーゴールは訂正して然るべきです。
ジョルジーニョのコメントは勇気あるものですし、審判団も自分たちの成長のために、柔軟な対応やバランス感覚を養ってもらいたいと思います。
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