鹿島アントラーズ原理主義

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柴崎岳は、ポジションの適性と適応の点で議論の余地があるMF

2015年06月03日 | Weblog
ハリルホジッチは柴崎岳の適性をどう見ているのか
2015.06.03
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 長田洋平/アフロスポーツ●写真

代表選手の「適性」と「適応」を考える(後編)

 6月1日、代表メンバー25名が発表された。ヴァヒド・ハリルホジッチ監督は、これから試行錯誤を続け、代表を形作っていく。それはパズルのようなモノで、誰をどこにはめ込むか、その作業は始まったばかりである。
 では、いかなるスカウティングで選手のポジション適性を見極め、適応させていくべきなのだろうか。


ハリルジャパンに定着しつつある柴崎岳(鹿島アントラーズ)

 サッカー選手の特性や能力を論じるとき、独断と偏見が混ざるのはどうにも避けられない。客観的視点を心がけたとしても、スカウティングは常に主観に沿っている。つまり、志向するプレイスタイルや観点によって、ピックアップした選手への評価は自ずと変わってしまう。
 しかし世界で功成り名を遂げた選手というのは、優れたスカウティング基準に照らし合わされ、躍進を遂げている。誰に見いだされるか? それも一つの天運と言えなくない。
 代理人として大きな成功を収めているジョルジュ・メンデス(契約選手にはクリスティアーノ・ロナウド/ポルトガルを筆頭に、ハメス・ロドリゲス/コロンビア、ぺぺ/ポルトガル、ラダメル・ファルカオ/コロンビア、チアゴ・シウバ/ブラジルなど)は、選手能力を見極める視点が鋭い。彼が見いだした選手は、その多くが成功を収めている。

「メンデスには未来視の能力がある」とも言われるが、17歳のジエゴ・コスタ(現スペイン代表FW)をスタンドでたまたま目にしたとき、彼はほとんど直感的にオファーを出している。その試合、前半でラフプレイにより退場していたにもかかわらず、である。

「インテンシティの高いディフェンスに対して、不自由なくボールを操り、パスを出し、持ち運び、決定的なシュートに持ち込んでいた。この基礎能力さえあれば、あらゆるプレイに適応し、あとは居場所を与えれば、進化を遂げていける」
 
 メンデスはゴールゲッターとしての価値を確信したという。本当に優れた指導者や代理人、スカウトは、数字やデータなどには頼らない。彼らの視点はもっと複雑で、どこまでも単純である。

 では、ハリルホジッチはどのように選手を見ているのか?

 日本代表の未来を背負うと言われる柴崎岳(鹿島)は、ポジションの適性と適応の点で議論の余地があるMFだろう。遠いところまで見渡せるビジョンとパスセンスは世界トップレベルでも通用する。なにより、攻撃エリアに入ったときのプレイクオリティは刮目すべきで、得点もしくは得点につながるプレイの精度が著しく高い。

しかし長所がクローズアップされる一方、「ビルドアップのときに不用意にボールを失う」という柴崎の難点はあまり指摘されない。Jリーグは守備の強度が弱く、大きな事故になりにくいが、アジアチャンピオンズリーグでのボールキープは軽率さが目立った。日本代表として戦ったブラジル戦でも、低い位置でボールを失い、失態を演じている。さらに言えば、ボール奪取能力も今野泰幸(G大阪)、細貝萌(ヘルタ・ベルリン)と比べれば平凡の域を出ない。

 はたして、柴崎はボランチに適性があるのだろうか? そんな疑問が浮かぶ。

 レアル・ソシエダで強化部長や育成部長などを歴任したスペイン人スカウト、ミケル・エチャリとの共著『日本サッカースカウティング127選手』(東邦出版)に、柴崎についての記述がある。

「ボランチ、もしくは攻撃的MF。体格は良い。右利き。ボールを運びながら相手のバランスを崩せる選手で、ボールを持ったときの落ち着きとアウトリダ(全体を掌握する威信)は特筆に値する。ボールを動かしながら、サイドバックとセンターバックの間に決定的パスを送るなど、ゴール前でのビジョンと技量には舌を巻く」

 そしてエチャリは核心を突く。

「しかしボランチよりも攻撃的MF、もしくはトップ下に適性を感じる。バイタルエリアで相手を混乱に陥らせる、非凡な才能を持っているからだ。後方からのゲームメイクもそつなくやるが、残念ながらディフェンシブな才能の持ち主ではない。ボールを奪い取る能力は凡庸。鹿島では、キャプテンの小笠原満男に遠慮してプレイしているように見受けられた。彼自身のビジョンがあるのに一歩譲っている印象。プレイメーカーとして大成するには、もっと強いパーソナリティを出すことが不可欠だろう。そして特記するが、トップ下でのオフェンシブな決断力と技術力は、誰もが持ち合わせるものではない」

 要するに、柴崎にはトップ下としての天賦の才がある、ということだろう。

 ハリルホジッチがウズベキスタン戦で、柴崎をボランチではなくトップ下で使っている事実は興味深い。この一戦、柴崎は連係や判断で未熟なプレイを見せたかと思うと、卓抜とした得点能力を披露し、目も眩(くら)むようなゴールを決めている。センターライン付近からのロングループシュートは、優れたトップ下選手だけが持ち得る決断力と技術力の賜(たまもの)だった。

 22歳にして攻撃的な能力を見せる柴崎は、代表に選出されて当然なのだろう。しかし、今の彼のどこを愛(め)でるか、短所を見極められるか。それによって、彼への評価は大きく変わってくる。

 サッカー選手に対する評価は、人間を語るのと同じく、一面的では見誤る。これは動きが常に流れ、集団の一員としてプレイする競技の特性だろうか。一人の選手への評価は、決して固着してはならない。


柴崎岳の日本代表での立ち位置について綴るSportivaの小宮氏である。
ミケル・エチャリとの共著『日本サッカースカウティング127選手』から引用し、岳の適正はトップ下にこそあると述べる。
「柴崎にはトップ下としての天賦の才がある」とまで言い切っておる。
確かに試合終盤に岳のポジションを一つ上げる采配は功を奏する。
このポジションにて固定してはどうかという意見も耳にする。
とはいえ、ボランチとしても日本屈指であり、替えが効かないこともまた事実である。
鹿島に於いては、この問題をどうクリアしていくのかが課題の一つであろう。
岳のポジションについて多く議論し、試合を観ることは楽しい。
日本代表での岳、そして鹿島での岳に注目である。

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2 コメント

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Unknown (三鷹鹿)
2015-06-03 23:59:30
凄い評価ですね。
確かにペナルティエリア付近のチャンスメイク、シュートは凄いですね。
個人的には柴崎選手こそが和製シャビなのかなと思います。
世界の舞台でも輝いてほしいです。
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むかしから (がく鹿)
2015-06-05 00:09:06
じょるじが監督やってる時からがくちゃんはトップ下でつかうべきと私も思ってました。特に去年、後半にルイスをボランチにしてがくちゃんを1列上げた時の攻撃力は秀逸でした!
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