鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

常勝軍団を蘇らせた石井監督の秘策とは?

2015年09月18日 | Weblog
【鹿島】就任以降、リーグ戦で6勝1敗。常勝軍団を蘇らせた石井監督の秘策とは?
サッカーダイジェストWeb編集部
2015年09月18日


初日の練習から激しさを求め、選手の戦う姿勢を呼び覚ます。


石井新監督の意識改革は見事に奏功。初陣の4節・FC東京戦から「戦う姿勢」が明らかに表われていた。写真:徳原隆元

 10節のG大阪戦で黒星を喫したものの、首位・広島と勝点差2で2位をキープ。第1ステージで8位に終わった鹿島が、第2ステージ4節から指揮を執る石井新監督の下では6勝1敗と”勝てるチーム”に変わった。ここでは、その功労者の言葉を拾いながら、常勝軍団復活の要因を分析する。

ポイント1)メンタル面の改善

 好調の要因として、真っ先に挙げられるのがメンタル面の改善だ。石井新監督が初めに手をつけたのも、まさにこの点だった。

「まず、なにを変えて行きたいと思ったかと言えば、精神的な部分。最低限、戦う姿勢を見せるのが、サッカー選手がやるべきことですよね。選手自身もそう思っていたはずですが、改めて最初に伝えました」。

 指揮官は、こうした意識改革の一貫として、トニーニョ・セレーゾ前監督が禁止していた練習中のスライディングを解禁。

「練習も試合と同じ状況でやらなければ戦う姿勢は生まれない。だから、スライディングを解禁し、しっかりゲームをしようと言いました。球際に激しく行ったりだとか、意識はガラッと変わりましたね。監督がなにかしてくれると待ちの姿勢でいるのではなく、自分たちから練習にしっかり取り組もうという姿勢がすごく見られました」

 実戦さながらの練習で厳しさを取り戻した選手たちは、新監督就任から2日後の4節・FC東京戦で石井監督の初陣に花を添えた。

 そこから前体制とは一線を画したタイトな守備をベースに、「練習での姿勢が試合で出ている。結果にもつながっているので、どんどん良い状態になっています」と連勝街道に乗ったのだ。

最終ラインのタックル位置が、前体制と比較して6メートルも前へ。


ファン・ソッコ(左)らCBが果敢に前へ出てアプローチすることで、より高い位置でのボール奪取が可能になった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

ポイント2)ボールを奪う位置の明確化

 守備戦術が明確になったのも、上昇気流に乗った要因のひとつ。とりわけ、変化したのが、最終ラインと中盤のアプローチの位置だ。

「どこでボールを奪うかが曖昧だったので、そこをハッキリさせました」と言うように、守備スタイルが大きく変わった。

 具体的には、石井体制下ではトニーニョ・セレーゾ時代よりも、最終ラインが6メートル上がり、ボランチが2メートル下がっている。この数値が示すポイントはふたつ。ラインを押し上げて高い位置でのボール奪取を狙っていることと、中盤をコンパクトにしてスペースを消していることだ。

 このふたつの変化に加えて、「相手にプレッシャーがかかる距離まで寄せようと伝えています。試合前のミーティングでは、それほど強調しませんが、練習の中で寄せさせるのはかなり意識させていますね」。局面での厳しさも磨かれており、あらゆる面で対戦相手に余裕を与えていないのである。

 さらに今後は「もうワンランク上を目指したい。引いて守るところはできているので、前からボールを奪うところに取り組んでいます」と、より高い位置からの守備を志向するという。

「最終ラインの裏に流れて押し込む」。2トップ採用で攻撃がスムーズに。


9節・川崎戦では右サイドに流れた土居のクロスから先制。指揮官の思惑がハマった形だった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

ポイント3)コンビネーションプレーの増加

 守備の再構築が進んだ後に、指揮官が手をつけたのが攻撃面の整備だ。

「深い位置にボールを運んで、そこからつなぐ形は元々できていた。今はそこに、コンビネーションを加えようとしています。2トップの連係はもちろん、そこに中盤やSBが絡む展開を増やそうと」

 2トップの金崎と土居は、いずれもMFが本職でプレーの幅が広い。彼らが流動的に「最終ラインの裏に流れて相手を押し込む」仕事をこなし、そこから「コンビネーションでの崩しを入れて、ペナの中に侵入する回数を増やしていきたい」という狙いだ。

 肝になるのは2トップの連係だが、前線の選手のパス交換は増えており、9節終了時点で金崎→土居、土居→金崎ともにふた桁を超えていた。前体制以上に、前線での連係プレーが増えたのである。

 また、1トップから2トップへの変更で、守備の負担が減ったのもプラスに働いている。

「縦関係だとトップ下の負担がすごく高かった。2トップは横並びでプレスをかけられるし、ボールを奪った後に前にふたりいるので、スムーズに攻撃につなげられる」

 組み合わせも「いろんな選手を起用してきたが、それぞれが特長を出してくれた」とテスト済で、相手に合わせた起用ができているのも強みだ。

「弱点を突く」したたかさと大胆な決断で勝機を掴む


2点を先行された仙台戦では、35分にカイオを投入し、試合の流れを大きく変えた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

ポイント4)的確な試合運びと交代策

 常勝軍団と言われたかつての鹿島は、柔軟性に長けていた。相手の弱点を見極め、そこを突いてリズムを作る巧さがあった。今のチームには、そうしたしたたかさが戻ってきた印象もある。

「相手の弱いところは徹底的に突こうとミーティングでも話します。ただ、それを選手がピッチ上で表現できる判断力と技術が、なにより素晴らしい。監督がしっかり示せば選手は動いてくれるという実感は、かなりありますね」

 ここまでの7試合でリードされたのは7節・仙台戦と敗れた10節のG大阪戦のふたつ。他の多くの試合では、先制点を活かしながら上手く時間を進め、追加点を奪って勝ち切っている。

 また、仙台戦を巧みな交代策で逆転勝利に結びつけたのも見逃せない。2点を先行された35分にカイオ、ハーフタイムに金崎と突破力のある選手を入れて揺さぶりをかけ、80分に送り出した土居が決勝点を決める劇的なシナリオを演じたのだ。

「僕はまず0-1で負けている時を考えながらメンバーを選びます。そういう時にひとりで突破できる選手は武器になるし、起用のタイミングや時間帯も、いろいろシミュレーションしながらやっています」

 石井監督はそう言うが、前半の早い段階でカードを切るのは決断力がいる。まだ監督としてのキャリアは浅いものの、選手やコーチ時代に身体に染み付いた鹿島イズムが、勝負師としての勘を育んできたのだろう。

監督交代で生じた危機感が、チームの総合力アップを促進。


植田の身体能力は非凡だが、個人戦術は発展途上。「ポジショニングやコーチングを改善できるようにアプローチしていく」と石井監督は言う。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

ポイント5)若手を含めた選手層の底上げ

「今までは中心選手だけが声を出したり、チームを引っ張る形でしたが、若い選手も普通に声が出るようになりました。プレーにも遠慮がなくなって、ノビノビとやれている。全員の力が合わさっていると思いますね」

 石井監督がそう言うように、監督交代によって生まれた危機感や競争原理は、若手にも好影響を与えている。出場機会を得られていない選手もトレーニングに集中して取り組んでいるため、チームに良い雰囲気が漂っているのだ。

 タイトルを狙ううえでチーム全体のレベルアップは重要で、指揮官もこの点について「選手全員の総合力を上げるのが一番ポイントになると思っています。若い選手の意識は変わりましたが、まだ個人戦術が欠けている。練習から1対1で簡単に負けないという意識をしっかり持たせて、レベルを上げていきたい」と力を込める。

 警告累積や予想外の怪我人に見舞われた時に、「メンバーが代わって戦力が落ちてしまうようでは厳しい」。そうした苦境を乗り切るために、右SBの伊東やCBの植田といった準レギュラークラスの成長を促すだけでなく、「30人全員の総合力を上げること」に継続して取り組んでいくという。


石井監督下での戦術解析を行うサッカーダイジェストWebである。
非常にわかりやすく、納得する部分が多い。
勝利を積み重ねておることも当然のように感じる。
この路線を継続し、なんとしてでもタイトルを獲りたい。
石井監督を新指揮官に任命したクラブを信じておる。

最新の画像もっと見る