鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

ベン・メイブリー氏、2ステージ制に異を唱える

2013年09月20日 | Weblog
2ステージ制は No Thank You (ステージ1)
Text by ベン・メイブリー

毎度まいど。

ちょいとご無沙汰しててすんまへん。この国の方やったら誰だってあることやと思うけど、最近はほんまに、働き過ぎやわ。一週間のスケジュールでは基本的に、ゆっくり遊べる夜は(『Foot!』収録後に)東京の火曜日と大阪の金曜日やけど、その両日に夜の12時まで終わらない代表戦の取材が入って、ほんでその後も英国の新聞の仕事で向こうとの時差に合わせて、深夜対応も3日連続あった。

仕事は楽しくやらせてもらっているので、やってる間はあんまりしんどさを感じへんけど、溜まるときはやっぱ溜まるよな。先週の土曜日は、目覚まし時計を設定せずに寝てたら、結局午後の4時半過ぎに頭がまだまだ起動せえへんまま、「朝」飯食うてちょい情けない姿になってもうた。

あれだけ土曜日が短かったせいで、日曜日もほんま仕事が出来る状態やなかった。パソコンは一応、立ち上げたけど、目がまだとろんとしてて「もうええわ」と思った。月曜日が祝日なおかげで1つの仕事が休みやったので、日曜日にやるべき仕事を月曜日に回しても無理はないとの言い訳で、「爆発したい」という気持ちの溜まりに負けた。

早速着替えて、万博に向かった。

サッカー記者として、「仕事から逃げる為にスタジアムへ」ってのはかなり変な発想に聞こえるかもしれへんけど、もちろん、試合を「観る」為に行くわけやなかった。屋根無しの万博で台風の中ってのも、逆にある意味で頼もしいことやった。数秒以内にビショビショになる中、その場におった6559人はみんな、僕と同じく「ほんまにここに居たい」者ばかりやった。(わざわざ水戸から来はった皆さんも、偉いなぁと思ったで。)雨割りのビールを片手に、とにかく叫んだ。トラックがあると余計に一番見えへんというゴール裏のど真ん中で、5回もゴールを祝って、とにかく飛んだ。7月以来に会えた仲間とともに、とにかく発散した。

ほんまは、今日も前回に続いて「ガンバとセレッソの違い」のパート2を書くつもりやったけど、今のタイミングって、どうしてもそないな対立について書いては、僕自身でも宜しくない。このコラムの初回で説明したように、僕も含めて世界のサッカーファンは相手を馬鹿にしたりするけど、それは喧嘩を売るのではなく、むしろ同じサッカー好きに対して愛情の表現であるべき。その辺は、読者の皆さんは既に僕のスタンスを分かって頂いてるかと思う。

どこのクラブを応援してても、こんなに喜びと悲しみの涙が出るほどサッカーが大好きな僕らは実は、心の底で(ええ意味で)めっちゃアホやなって分かってるやろうから、視点や応援するチームが違くても、サッカー好き同士でお互いのアホらしい喜怒哀楽を冗談のネタにするしかない。どこのクラブを応援してても、僕の水戸ホーリーホック戦へ持っていった気持ちは、サッカー好きなら分かってくれると思う。

せやから、先週末はガンバサポの普通気に入らないセレッソ(今日は伏字無し)や浦和ファンも含めて、日本全国のサッカー好きの皆さんの姿に、人生で最も強く共感して感動しました。理由は言うまでもなく、例の「2ステージ制」に対する反対運動の熱さやった。

何故なら、僕もはっきり言うて、ほんまにほんまに反対してるから。

2ステージ制は No Thank You (ステージ2)
Text by ベン・メイブリー 

多くのJリーグファンと同じく、僕もはっきり言うて、ほんまにほんまに「2ステージ制」に反対してる。その根拠は既に、3ヶ月前にこのコラムで紹介しているが、要約すると、

「可能な限り、『一番=チャンピオン』を決めるのにホーム&アウェイ総当たりのリーグ戦が最もフェア且つピュアやねん。どこが優勝しても、誰も納得出来る。これは、サッカーの常識やねん。しかもね、J1の競争を盛り上げるニーズは今、どこにあんねや?!(中略)今となっては、Jリーガーだけやなくて、競争の激しくアンプレディクタブルなJリーグそのものも、そろそろ世界に売れるはずやねん。せやけど2ステージ制に後戻りすると、『日本はまだサッカーの国ではない』という逆のメッセージが伝わってまうだけや。」

何と言っても、サッカーの美しさはそのシンプルさにある。だって、旧大英帝国からサッカーは世界中に広がった一方、クリケットは一部の元植民地にしか定着せえへんかった理由が十分あんねん。(クリケットも好きな僕でも、それはすぐ認める。)この「首位=優勝」というのも、サッカーの分かりやすさの1つ。せやけど、火曜日のあのJリーグのリリース、見た?!優勝チームを決めるのに、フローチャートまで必要やなんて!これで、いきなり「客さん」集まんのかい?

しかも、「※各ステージの上位2位クラブの中に年間勝点1位クラブが含まれる場合や、当該クラブが重複する場合のスーパーステージの開催方法については、決定次第発表する」んやって。そらそやろ。重複ばかりやから、僕らだけやなくて、決めた方々すら分からんわけ。

僕は野球の国の人間ではない(名誉大阪人として、年に3回ぐらいは居酒屋代わりの感覚で阪神戦に行く)けど、2007年よりクライマックスシリーズが導入されたら、えらい違和感を覚えた。144試合もすんのに、トップハーフに入るように勝率5割ぐらいというテキトーな成績さえ残せば、最後だけ頑張っていわゆる「日本一」になれる。それやったら、その144から1つ1つの試合の価値が物凄く低いってしか言いようがないやろ。6年前にプロ野球がどないなったかを見たら、日本もベースボールを上回って、本格的にフットボールの国になる日がもうそろそろや、というふうに強く思ったわ。

せやけど、これで野球と似たような方向性をJリーグも取ったようで、悔しくてしょうがない。『Foot!WEDNESDAY』のチェーザレ・ポレンギも同いようなこと言うたけど、例え僕の大好きなガンバ大阪がギリギリな形でプレーオフに入ってから、最終的に優勝したとしても、心の底では「日本一」ではないことを痛感して、価値も喜びも薄くなってしまう。2005年は確かに土壇場で決まったが、順位表は嘘をつかへん。ほんで、競争が激しいというのが、Jリーグの巨大な魅力やけど、2010年の名古屋グランパスのように優れたチームが独走することもある。それでも、勝ち点差10で首位言うても、最後1試合だけ負けたら「リーグ」優勝はないって?無茶な話や。

とはいえ、もし2ステージ制「賛成」が日本人のサポーターの総意やったら、欧州からやってきた僕らが反対言う立場やなかった。サポーターが反対してるからこそ、おかしいねん。だから、僕自身の反対する気持ちも、熱狂的なものになんねん。

「客がめっちゃ減ってる」とか「2ステージ制にすれば客が増える」というビジネス臭い主張言われても、その証拠がどこにあるか分からへんけど、それよりも、ビジネスにすべからざるサッカーのビジネス面においても、サポーターが誰よりも大切というのも事実やろ。「ほんまにサッカー好きやったらどうせ来てくれる」ってような甘い見方はアカン。僕がガンバを愛するようになったのは、試合内容とかスタジアムとかやなくて、応援団がおもろかったからや。欧州人・南米人の如く、サッカーを社会的アヘンにして、本音を表に色々と熱く発散する、みんなの姿が立派やった。僕以外にも、その情熱についていく人が少なくない。つまり、サポーターにも大きな集客力がある。サッカーは、何よりも社会的なものやから。

その試合を超える熱さは先週末、各クラブのサポーターに表現されて、非常に感動させてもらった。日本で働く外国人はよく、日本の縦社会や建前に疲れて、「幾ら間違ったことでも『上』に言われたからと言って、何も文句を言わず、仕方なくそのまま受け入れて従えるって、いったい誰の為になるのか?!」と考えることがしばしばある。しかし、先週末のJリーグサポーターは、いわゆる「上」が決めたことやからしゃあないと諦めることなく、ストレートで素直に本音を出してくれた。その姿にこそ、Jリーグと日本サッカーの未来がある。

せやから、それが本音やったら、これからも諦めないで欲しい。2015年の開幕まで、あと18ヶ月もある。時間がたっぷり残っている。ほんまに反対やったら、これからも反対し続けて下さい。僕も、共に頑張るから。

こういうふうに言うてるのは決して、「とにかく『上』が嫌い」というパンク的な考え方ではない。むしろ、僕も本当にJリーグが大好きやから、上から下まで、サポートしたいと思っている。僕も心からJリーグの成長を祈ってて、自分の仕事でJリーグの力になりたい。もし機会があれば、Jリーグと手を組んで、共に努力したい。Jリーグの素晴らしさをどんどん、世界にも伝えたい。これほどJリーグを心から愛しているからこそ、僕も本音を言うしかない。

サッカーは社会の為に存在する、宝物である。その社会を成すサポーターの声を無視すれば、それは終わりの始まりやで。


Foot! TUESDAYでおなじみのベン・メイブリー氏によるコラムである。
Jリーグ2ステージ制への反対が熱く語られておる。
異国の者にまで愛された日本のJリーグが、こうも簡単に自己否定するようなことをしてしまう様を見ると悲しくなってしまう。
この国のサッカーに未来はあるのであろうか。
ここは静観せずに反対意見を述べ続けていきたい。

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