鹿島アントラーズ原理主義

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清水戦レビュー

2012年05月04日 | Weblog
【J1:第9節 清水 vs 鹿島】レポート:好調同士の注目対決は、予想以上の清水の完勝。オレンジ戦士たちが自分たちの力を証明し、ホーム全勝で2位に浮上。(12.05.04)
5月3日(木) 2012 J1リーグ戦 第9節
清水 3 - 0 鹿島 (19:01/アウスタ/18,393人)
得点者:5' 伊藤翔(清水)、72' 高木俊幸(清水)、75' 大前元紀(清水)


「エスパルスが自分たちのサッカーをすれば、J1のどのチームとやってもゲームを支配して勝つことができる」。ゴトビ監督がつねづね口にしている言葉だが、この試合はそれを鮮烈に証明するゲームとなった。それにしても、調子を上げてきた鹿島に対して、清水がこれほど一方的に勝利することを予想できた人は、清水サポーターの中にも少なかっただろう。

清水の勝因のひとつとして、立ち上がりを完全に制したことも非常に大きかった。出場停止でアレックスとジミー・フランサを欠く清水は、河井陽介がトップ下としては4試合ぶりに先発、伊藤翔がセンターフォワードとしては今季初先発という形でスタート。その2人も含めて、全員がキックオフ直後から精力的な動きを見せ、DFラインを非常に高く保ちながら中盤にコンパクトなゾーンを形成。フランサが入ったときよりも前線からのプレッシングがよく機能し、鹿島に攻めのリズムをまったく作らせなかった。攻撃でも、最初からテンポ良くワイドにパスを回して、攻守に良いリズムを作っていった。
「立ち上がりが本当に大事」というのは、監督も選手もみんなが口にしていた課題だったが、その意味では先制点を奪う前から満点に近い入り方だったと言える。
そして開始5分、李記帝の大きなサイドチェンジで右サイドに起点を作り、一度中に入れてから河井がシュートと見せかけて再び右に。これで右サイドバックの吉田豊がボックス内から低いクロスを入れると、必死に足を伸ばした岩政大樹のクリアがゴールに向かい、GK曽ケ端準が何とか止めたこぼれ球を、抜け目なく前に詰めた伊藤が押し込むことに成功。清水がさらに優位な展開に持ち込む大きな先制点を奪った。
90分を通して清水のサイドチェンジが鹿島を苦しめていた試合だっただけに、それを象徴するような先制点であり、ひたむきな練習でのアピールによってチャンスをつかんだ伊藤がいきなり今季初ゴールを決めたという意味でも、この試合を象徴する1点だった。

一方、大勝した前節・G大阪戦とまったく同じスタメンでアウスタに臨んだ鹿島は、システムも中盤をダイヤ型にした4-4-2で同じ。ただ、中盤が外に開きすぎると機能しにくい今のシステムでは、両サイドバックと両ウィングがワイドに開く清水のやり方に対して、「相手のやり方にはまらない面があった」(岩政)ことは否めない。
清水が最後尾からきっちりパスをつなぎながらサイドを起点に攻めていき、一発で大きくサイドを変えるパスも何度か見せたことで、鹿島の中盤は左右に振られて、対応が後手後手になってしまう。その結果、鹿島はボールの奪いどころが絞りきれず、奪った後も選手間の距離が開いていて、清水にパスカットされる場面が目立った。ジョルジーニョ監督も「守備のところでなかなかサイドチェンジを遮断することできなかった」と、主導権を握れなかった一因を分析する。
また、DFラインを高く保って前から激しくプレスをかけてくる相手に対しては、裏へのパスを狙って徐々にラインを下げさせ、間延びさせていくというのが鹿島の常套手段だが、これも思うような効果を得られない。ひとつには、清水のDF陣がうまく対応してつけいるスキを与えなかったという理由もあったが、カシマスタジアムに比べるとかなり高速なピッチのアウスタで、裏へのボールが走りすぎてFWが追いつけない場面も目立った。

清水としては、先制した後で少し攻めを休んでしまった時間帯もあったが、上記のような要因が重なって主導権は一度も鹿島に渡すことなく前半を終了。そして、後半はさらに攻撃のギアを上げ、8分に高木俊幸が決定的なシュートをクロスバーに当てた場面や、10分の右クロスからの大前元紀の飛び込み、12分と14分の大前のシュートなど、惜しい場面を続けざまに作っていった。
ただ、ここでは清水に詰めの甘さが見られ、逆に鹿島のほうは徐々に落ち着きを取り戻して、20分には柴崎岳がGK林彰洋をヒヤリとさせる無回転ミドルシュートを放つなど、清水ゴールに迫る場面を少しずつ増やしていく。後半15分の2人の交代で中盤をボックス型に変えた鹿島が、鹿島らしいしぶとさを見せ始め、清水にとっては、決めるべき時間に追加点を決められず、イヤな流れになりかけていた。
しかし、ここで試合を決定づけたのは、前節・FC東京戦でも劇的な決勝ゴールを決めた高木俊幸。後半27分、少し間延びした左サイドで前向きにボールを受けた高木は、迷わずゴールに向かうドリブルを仕掛け、ワンフェイントで右に外して右足を振り抜くという自分の形からミドルシュート。きれいにカーブをかけて右ポストぎりぎりに決めるという決定力を今日も見せつけ、清水サポーターが待ちかねた2点目をチームにもたらした。流れをつかみかけていた鹿島の選手たちにも、精神的に大きなダメージを与える高木のホーム4戦連発弾だった。

さらに後半30分にも、高原直泰(後半21分~)がうまく起点を作ったカウンターから高木がピンポイントのクロスをゴール前に送り、右から裏に飛び出した大前が鮮やかなボレーシュートを突き刺して清水が3点目をゲット。守備陣も、最後まで組織を乱すことなく、セットプレーでも集中を欠くことなく、危なげなく守りきって3-0のままタイムアップ。好調同士の注目対決は、ジョルジーニョ監督も「今日はエスパルスを称えるしかない」と脱帽する清水の完勝に終わった。
もちろん、1万8千人以上がスタンドを埋めたアウスタの盛り上がりも最高潮。恒例の勝ちロコも、アウスタで清水を応援した人にしか味わえない、明日への活力となる最高のセレモニーになった。


以上
2012.05.04 Reported by 前島芳雄


後半の半ばには鹿島の時間帯があったと分析する清水番の前島氏である。
岳の無回転シュートがそれを代表しておる。
しかしながら、鹿島のゴールは生まれず、無念の結果となった。
ピッチに水を撒き、ボールが走るように仕向けたところを含めても、そこがアウェイというものであろう。
準備が足りなかった、相手にやり方に合わせさせられてしまった、といくつか反省点がある。
そこを修正し、一歩チームを前進させるのだ。
若き指揮官・ジョルジーニョの手腕に期待である。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-05-05 01:09:13
18000人の観衆ですか。

カシマスタジアムでは満入りで倍返し、2007年最終節の最終節を思い出させてやりましょう。
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Unknown (Unknown)
2012-05-05 11:54:06
神は、乗り越えられる試練しか与えない!

…再び。
修正力…。そして…、推進力。

ともに頑張りましょう。
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