鹿島アントラーズ原理主義

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札幌戦レビュー

2012年10月21日 | Weblog
【J1:第29節 札幌 vs 鹿島】レポート:多くのチャンスを演出しながらも、札幌の粘り強い守備にノーゴールの鹿島。北の大地での緊張感あふれる熱戦(12.10.21)
10月20日(土) 2012 J1リーグ戦 第29節
札幌 0 - 0 鹿島 (16:03/札幌厚別/7,208人)


0-0のスコアのまま時計の針は進み続け、両チームの最初の選手交代は札幌が78分で鹿島が76分と試合終盤のこと。そしてそのベンチワークはどちらも選手同士を入れ替えただけで、システムのバランスは維持してのもの。つまり、スコアの推移としては「睨み合い」のような状況が続き、どちらも迂闊には動けない。そんな膠着した展開が続き、そしてそのままタイムアップの笛を聞くこととなった。

ただし、試合の中身が膠着していたかと言えば、そうではない。
鹿島はドゥトラ、大迫勇也、興梠慎三といったスピードのある選手が高い位置で自由にポジションチェンジをしながら走り回り、それをレナト、小笠原満男、柴崎岳らパス能力のある選手がコントロールする攻撃で攻め立てる。そしてそれを札幌の守備陣が体を張った守備で跳ね返すという、大まかに言えば鹿島が攻めて札幌が守る試合展開となっていたのだ。
「あのくらい相手に引かれてしまうと崩すのは難しい」と鹿島の西大伍は振り返ったが、実際のところは札幌が意図して後方に引いたというよりも、鹿島が勢いのある攻撃をした結果として、札幌が押し込まれてしまったというのが正しい構図だろう。

後半も鹿島は同じように攻め込み、最終的に札幌の5本の対して3倍以上の17本ものシュートを放つことになるのだが、前述した通りゴールネットを揺らすことはできていない。そのことについてジョルジ―ニョ監督はこう話す。「そういう日もあると思います。いろんなチャンスを作っても得点ができない日というのはありますから」「チャンスを作れなかったのならば問題だが、チャンスは作れていましたから」。
なるほど確かにその通りである。サッカーでは神がかったようにシュートがゴールに嫌われてしまう試合はよくあるし、鹿島は攻撃陣のコンビネーションでチャンスを生み出していたのだから、必要以上に悲観する必要もないと言えばない。それに札幌はGK高原寿康が抜群のパフォーマンスを見せていたし、守備陣の粘りも見事だった。だが、現実問題として鹿島は最下位の札幌から得点を奪えなかったことで、試合前に指揮官が選手に話していたという「降格ゾーンから遠のいていこう」というテーマは果たせないままである。やはり、無失点に終わった要因の検証は必要だ。

結論から言ってしまえば、サイドバックの攻撃参加が乏しかったことが、数多くのチャンスをフイにした大きな要因だったと言うしかない。右の西、左の遠藤康は思い切った攻め上がりを見せる場面があまりなく、リスクマネジメントの方に意識が向いていたように見える。もちろんこれにより守備は安定したわけだから、必ずしも不備だとは指摘しきれないが、攻撃の厚みをつけるという部分に関しては物足りなさがあった。
相手ペナルティエリア付近でパス交換をしている際に、どちらかのサイドバックが高いポジションを取っていれば攻撃の選択肢も増やせたし、札幌守備陣も横に広がらざるを得ないため、シュートコースやラストパスを出すためのスペースが見つけやすくなる。しかし、この日の鹿島はそうして横幅を広く使うことができなかったため、札幌のほうは中央さえ固めておけば何とかなっていたわけである。

もし、鹿島がより積極的になれる順位、たとえば1桁のそれも少しでも上に位置する場所にいたならば、おそらくサイドバックの選手も積極的にライン際を駆け上がることができたことだろう。しかし、キックオフ時点の鹿島の順位は13位で、「降格ゾーンから遠のく」ことがひとつのテーマになっている状況。知らずのうちに、ついリスクマネジメントを意識しすぎてしまったのだろう。もちろん、20分過ぎに得たPKを鹿島が問題なく決めていればワンサイドゲームになっていた可能性もあったわけで、同時にそのPKの不成功が札幌にリズムを与えていたとも見れるため、彼らにとってもなかなか難しい試合状況にあったこともふまえておきたいところではある。

あらためて、サッカーの試合というのはその場の90分だけで考えるのが難しいスポーツである。降格の決まってしまったチームがある種、プレッシャーから解き放たれてアグレッシブさ溢れるゲームを見せるときがあれば、守備的に戦うチームが得失点差の関係などで攻撃的な試合運びをせざるを得ない場面があったりもする。いよいよ佳境に差し掛かるシーズン終盤というのは、それぞれのチーム力だけにとどまらず、置かれている状況によっても微妙に、ときには大きくプレー選択の仕方が変わってくるというもの。
リーグ戦も残りわずか5試合。そうした機微も注視して、一喜一憂を楽しみたいところである。この札幌-鹿島戦はゴールネットが揺れることのないスコアレスのゲームだったが、様々な見方のできるゲームだった。


以上
2012.10.21 Reported by 斉藤宏則


サイドバックの攻撃参加不足が無得点の要因と分析する京都番の斉藤氏のレポートである。
果たして、この見解は正論であろうか。
否、そのようなことはない。
SBの上がりというものは闇雲に高いポジションを取れば良いというものではない。
この試合の場合、札幌の3バックのDFとウィングは上がってくるそぶりを見せておらず、スペースはなかった。
そこに上がったところで不用意なボールロストの可能性を上げるだけでチャンスが作れるわけではない。
機を見て上がるところにSBの醍醐味があるのだ。
札幌が攻めるそぶりをも少し見せれば、そして、退場者が出ずに済めば、札幌もリスクを冒した可能性があったようにも思える。
結果的に引き籠もることとなった札幌をこじ開けることが出来ずに終えた試合であった。
それは、SBの攻撃参加ではなく、攻撃のちょっとした精度の不足だったのではなかろうか。
ジュニーニョのシュート二つが良いコースに行っておれば結果は異なっておったであろう。
とはいえ、それもサッカーという球技の面白いところである。
結果には不満はあるが、それも踏まえて楽しむ度量が求められるのである。
気持ちを切り替えて次の試合に挑みたい。
一つ一つ勝利を積み重ねて、少しでも順位を上げてシーズンを終えて欲しい。

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