鹿島アントラーズ原理主義

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川崎・西部、レギュラー予想

2013年02月01日 | Weblog
2013シーズンのJリーグを占う。各クラブの戦力補強診断 ~川崎フロンターレ編~
フットボールチャンネルでは、1月下旬から2月上旬にかけて、Jクラブの補強動向を診断していく。今季の目標に向けて、効果的な補強を行うことができたクラブはどこなのか。今回は、昨シーズン途中から風間監督がチームを率い、攻撃的なスタイルを構築途中の川崎フロンターレを占う。

2013年02月01日
text by 森哲也 photo Kenzaburo Matsuoka


即戦力を補強し、上位進出へ本気の川崎フロンターレ

 昨シーズン8位の川崎フロンターレは、大久保嘉人や中澤聡太といった新加入組と期限付き移籍からの復帰組あわせて9名を補強。総勢31名で新シーズンに挑む。庄子春男強化本部長は今季の目標を「てっぺんを目指しながら、最低でも3位以内」と掲げているが、確かに補強の陣容からはその意気込みは感じられる。

IN OUT
新井章太〔完全移籍/東京V〕 黒津勝〔完全移籍/横浜FC〕
大久保嘉人〔完全移籍/神戸〕 小松塁〔完全移籍/大分〕
中澤聡太〔完全移籍/G大阪〕 楠神順平〔完全移籍/C大阪〕
山本真希〔完全移籍/札幌〕 山瀬功治〔完全移籍/京都〕
森谷賢太郎〔完全移籍/横浜FM〕 柴崎晃誠〔完全移籍/徳島〕
パトリック〔期限付き移籍/アトレチコ・ゴイアニエンセ(ブラジル)〕 森下俊〔期限付き移籍/横浜FC〕
薗田淳〔期限付き移籍から復帰/町田〕 田中雄大〔期限付き移籍/鳥取〕
田中雄大〔期限付き移籍から復帰/栃木〕 杉浦恭平〔期限付き移籍/神戸〕
棗佑喜〔期限付き移籍から復帰/栃木〕 安藤駿介〔期限付き移籍/湘南〕
安柄俊〔新加入/中央大学〕 レネサントス〔未定〕

独自の攻撃的なスタイルを築く

「川崎フロンターレの色となる、ここにしかできない攻撃的なスタイルを築いて欲しい」。強い覚悟をもった庄子強化部長から熱烈なオファーを受け、昨シーズン途中の4月から監督に就任した風間八宏。独特の言葉と指導法でまずは選手の意識と発想を変えることに主眼を置き、1人ひとりの技術・戦術の最大値を引き出しながら、最終的にはそれをチームの結果=勝利に結びつけようとしているように見えた昨シーズンは、終盤にチームの形を見出しながらも8位でリーグ戦を終えた。

 とくにチームとしての成長と課題が顕著に見えたのは12月15日に行われた天皇杯4回戦の大宮戦だった。前半はほぼ圧倒して試合を支配し、面白いような崩しで3得点。このままワンサイドゲームかと思われたが、後半は相手の総攻撃をいなしきれず衝撃的な逆転負けを喫した。

 攻撃面では中央、サイドと多彩な崩しが見られ、時折繰り出される流麗なパスワークは観客のため息を誘った。また、攻守両面で同じ絵が描けるようになってきたことで、簡単には負けないチームにはなってきたが、まだ相手ボールになったときに弱みを見せてしまうシーンも散見された。

 中盤の空けてはいけない場所を空けてしまったり、相手のパワーをいなすことができず、サイドからのクロスで崩されたり、というのはシーズンを通して見られた課題で、そこは解消しきれていない。また少し間の空いた実戦で勢いよく攻め過ぎたのか、後半に足が止まる選手がいたようにハードワークを効率的に持続できるかもひとつのポイントになる。

 究極はできるだけ長くゲームを支配し続けることにあると思うが、昨シーズンを見る限り、まだまだ選手たち全員がそこまでの技術・メンタリティを発揮できてはいなかった。

 決めるべきときに決める、というのはもちろん、守勢に回る時間をいかに少なくするか、そして守勢に回ってしまったときに乱れないか、つまりどれだけボールを持ちながらゲームをコントロールできるか、というのは上位を狙う上で積み上げていかないといけない部分のはずだ。

 今季の補強は限られた予算の中でそうした弱点を補いつつ上積みを狙った即戦力を効果的に揃えているようには見える。補強のキーワードのひとつは「戦える選手」ではないだろうか。昨シーズンは高い技術を見せながらも、メンタルが安定せずややナイーブに映る選手もいた。『2012 Jリーグアウォーズ』でフェアプレー賞を受賞した川崎フロンターレだが、球際などでクリーンにファイトする部分がもっとあってもいいはずだ。

 そうした点で、コンサドーレ札幌から加入の山本真希やガンバ大阪から加入の中澤聡太、ヴィッセル神戸から加入の大久保嘉人などは、基本的な技術の高さを備えるだけでなく、闘志を前面に出してチームを鼓舞できそうな選手たちではある。

 また「相手との駆け引き」「素早く的確な判断」が現在のフロンターレでは高いレベルで求められるが、彼ら3人の豊富な経験値はチームの底上げにつながるかもしれない。

得点を期待される大久保とパトリック



川崎フロンターレ・2013シーズン 予想フォーメーション
 最も名前のある選手と言える大久保嘉人は、基本の技術・戦術眼が高く活動量も豊富。問題は得点の部分でどれだけ結果を残せるかだろう。ヴィッセル神戸ではチャンスメーカーとして働くことも多く、リーグ戦で二桁の得点を記録したシーズンは一度もなかった。

 昨シーズンのフロンターレは、チャンスを作りながらも決定機につなげる一歩手前で冷静さや技術を欠いたり、決定機そのものも決めきれない場面が多く見られた。大久保に期待されるのはその部分での質の高い仕事だろう。昨シーズン、矢島卓郎の意識を変えさせた風間監督の指導のもと、大久保がさらなる進化を遂げることができるのか、勝負の一年になるだろう。

 同様に得点を期待されるのはアトレチコ・ゴイアニエンセ(ブラジル)から期限付き移籍で獲得した新外国人のパトリック。ブラジルに渡っていたスカウトが「すごい選手を見つけた」と語っていたようでフロントの期待値は高い。189cmの身長もさることながら、太く短い首、分厚い胸板など、パッと見でゴツいのがわかる。youtubeをくまなくチェックしたが、ゴールシーンの多くは打点の高い強烈なヘディングシュートだった。

 昨シーズンはサイドからの単純なクロスが異常に少なかったフロンターレだが、間違いなくクロスやセットプレーでも脅威になれるだろう。技術やスピードもあると評判で、フロンターレの崩し方にもうまく噛み合うのではないか。裏に抜けだすタイミングも良く、相手DFとの駆け引きがうまそうな雰囲気は感じられる。懸念材料は日本の環境、Jリーグの試合に適応できるかだが、真面目なジェシ、レナト、中山通訳の手助けもあり、日本の言葉や生活に馴染もうという姿勢を見せているようだ。

 いずれにせよ、昨シーズンは怪我人の多さもありFWは明らかに層が薄かった。矢島は覚醒の兆しを見せたが、その後怪我で離脱。小林悠は終盤に輝きを取り戻したが、2011シーズンのような活躍はできなかった。パトリック、大久保の加入でより激しいレギュラー争いが繰り広げられるだろう。

 中盤の守備を引き締められるボランチも補強課題のひとつだった。稲本潤一が出場したときはさすがの安定感を見せたが、シーズンを通しての活躍には不安が残る。

 その点、コンサドーレ札幌から完全移籍で加入した山本真希は、効果的な補強に見える。驚異的な運動量とハードワークを厭わない姿勢は、中盤に安定感をもたらすはずだ。高い技術とセンスを備え、フロンターレのパスサッカーにも充分適応できるだろう。中盤ならどこのポジションでもできるユーティリティ性も武器のひとつだ。

 洗足学園音楽大学で行われた新体制発表会見で彼は、フロンターレに来た理由を「レベルの高いチームで自分もうまくなれると思えたし、タイトルも取れるチームだと思ったから来た」と語っていた。実際、昨シーズンは等々力でフロンターレに負けて札幌の降格が決定してしまったが、対戦したときの印象が強く残っているようで、「攻撃に厚みがあって、対戦してすごくやりづらかった。フロンターレの選手は楽しくやっていたと思う」と述懐している。

積極的な補強を行い、上位を狙える体制を整えた

 横浜F・マリノスから完全移籍で加入した森谷賢太郎は、筑波大学時代に風間監督の薫陶を受けたプレーメーカーだ。現在は清水エスパルスでプレーする八反田康平が筑波大学時代、「将来は日本を背負って立つ人」と言うほど憧れを抱いていた存在で、風間監督がよく言う「止める」「受ける」「外す」「蹴る」といった基本技術は高い。運動量も多いが、単独で突破するというよりはコンビネーションで創造性を発揮するタイプだ。マリノスでは結果を残せず、今シーズンにかける意気込みは相当だろう。

 同じく強い覚悟を持って加入したのがガンバ大阪から完全移籍で加入した中澤聡太だ。他クラブからのオファーもあったが、最後はガンバ残留かフロンターレ移籍かで悩んだという中澤。新体制発表会見では、攻撃的なサッカーをやっているというのもフロンターレに来た理由のひとつと語り、「風間さんになって劇的に変わった印象がある。昨シーズンの等々力での試合(川崎vsガンバ大阪)も怪我をしててビデオを見たけど、すごく面白いサッカーをしてた。(中略)。このチームに結果をもたらすのが自分にとっての成長です」と力強く語っていた。

 ガンバ大阪では遠藤保仁と長くプレーしたこともあり、前につけるパスの感覚やタイミングは心得ている。188cmと高さがあり、セットプレーでも武器になるだろう。一方、守備の面では不安も残る。ガンバ大阪の守備のやり方も影響しているのだろうが、やや安定感に欠けるきらいがある。

 以上、注目される新加入選手を簡単にご紹介したが、“補強”というのは何も新戦力だけにとどまらない。軸となる選手をしっかり残せるか、というのも鍵になる。その点、昨シーズン終盤に大車輪の活躍を見せたレナト、守備に力強さをもたらすジェシが契約を更新したのは大きい。

 全体的には穴の少ないバランスのとれた陣容になっていると思うが、右サイドでプレーすることが多かった山瀬功治、楠神順平が移籍したことでそのポジションの層の薄さが不安材料だ。先発候補は大久保、小林、森谷あたりだと思うが、怪我で欠けるようなことがあると苦しくなる。

 またサイドバック(3バックのときはウイングバック的なポジションに)の台所事情も安泰ではない。昨シーズン終盤は左に登里、右に田中裕介が安定したパフォーマンスを見せたが、ここの底上げは怪我で昨シーズンを棒に振った小宮山尊信の復活が鍵を握るだろう。

 小宮山に限らず、昨シーズンのフロンターレは怪我人が非常に多かった。そこで新たにトレーニングコーチとして招聘されたのが西本直(すなお)だ。かなり独特の理論を持ち、選手たちの評判も上々のようだ。チーム始動日から怪我をしない体作り、能力を無駄なく引き出す体の使い方を徹底して指導しており、どこまで怪我人を少なくできるかもタイトルを目指す上で欠かせない要素だろう。

 いずれにせよ、フロントとしては積極的な補強を行い、完璧ではないにせよ上位を狙える可能性を持った体制を整えたと言える。結局、チーム作りは小さなことの積み重ねでしかない。風間監督は「どう勝つかにこだわらなければ、勝つことはできない」という信念を今年も貫くだろう。

 昨シーズンからの確かな成長を継続しつつ、選手たちがつかんだ自信を確信に変えることができるかどうか。そして「1勝ではなく100勝するチーム」になるための勝者のメンタリティを身につけられるか。おそらく今年は「指導者としての風間八宏」だけでなく、「勝負師としての風間八宏」という一面も強く打ち出されるシーズンになるに違いない。

補強面と総合力それぞれの診断結果



 新加入の選手はみな足元の技術があり、川崎フロンターレが志向するサッカーに沿った補強にはなっている。まだまだ伸びる可能性のあった楠神順平の移籍は痛手だが、一方で大久保嘉人、山本真希、中澤聡太は他クラブとの競合を制しての獲得で即戦力として期待ができる。

 各ポジション、バランスよく層の厚みを増しており、選手のユーティリティ性も高い。現状の予算の中では効果的に補強したのではないか。あとは未知数だが「20ゴールはしたい」と言っているパトリックがどこまでフィットするのかで補強の評価は分かれるだろう。一次キャンプの練習試合では早速ゴールを連発しているようだが、はたしてどれだけの逸材なのか…。



 昨シーズンは序盤で監督が代わりながらも明確なコンセプトで継続してトレーニングと試合を重ね、確実に選手たちの力とチームとしての成熟度は上がってきた。終盤はチームとして同じ絵を描けるようになってきたことで、勝てる集団になりつつあった。

 今シーズンは始めから指揮を執る風間監督が心・技・体の「体」の部分にもメスを入れ、よりチームの土台を強固にしようとしている。ここに新戦力がうまくフィットし、怪我人を少なくできれば上位を狙えるチームにはなるだろう。徹底して研究してくるチームも多いはずで、それをはねのける力があるかどうかも問われる一年になるだろう。(※それぞれA~Eランクで診断)

【了】


レギュラーが予想される川崎の西部である。
積極補強でチームは様変わりしたが、最後尾の守護神は実績のある西部が務める模様。
安定したセービングで川崎の守備を支えて欲しいところ。
対戦時には、ダヴィが大迫が、そして中村充孝がゴールマウスに襲いかかるであろう。
西部の鉄壁ディフェンスを打ち崩し、得点を奪いたいところ。
対戦が楽しみである。

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