鹿島アントラーズ原理主義

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ナビスコ決勝・清水エスパルス戦レビュー

2012年11月04日 | Weblog
【ヤマザキナビスコカップ:決勝 清水 vs 鹿島】鹿島側レポート:相手の長所を完全に消した鹿島が連覇達成!ジョルジーニョ監督は史上初めて選手・監督の両方でタイトルを手にする!(12.11.04)
11月3日(土) 2012 ヤマザキナビスコカップ 決勝
清水 1 - 2 鹿島 (13:10/国立/45,228人)
得点者:73' 柴崎岳(鹿島)、77' 大前元紀(清水)、93' 柴崎岳(鹿島)


深紅と橙に二分されたスタンドの上空には青い空が広がる。今年も国立競技場で行われたヤマザキナビスコカップ決勝は晴天に恵まれた。選手入場前には壮大なコレオグラフィーがスタンドを彩り、ゴスペラーズの国歌斉唱が花を添える。整列していた選手たちがピッチに散らばると、ゴール裏からサポーターの声援があがる。スタジアムのボルテージは最高潮に達した。

ただし、その声には期待と不安が入り交じっていたことだろう。鹿島にとっては8度目となる決勝の舞台だが、今季のリーグ戦では、大事な試合を必ず落とし、一度も1桁まで順位をあげられないまま残り4節まで来てしまった。選手、監督、チームを信じたい気持ちの奥底に、大きな不安を抱えながらホイッスルの笛を聞く。
だが、どうやらそれは選手も同じだったようだ。岩政大樹が正直に明かす。
「思ったよりも緊張してしまって。(大一番には)なかなか慣れないですね」
鹿島のスターティングメンバーを見ると、先週の対戦から3人も選手を入れ替えている。本当にそれでうまくいくのか。うまくいかなかったときの対応は。グルグルと頭を駆け巡る思考。不安を拭うのは簡単なことではなかっただろう。
しかし、そこを乗り越えることができるのは勝った経験だけでなく、敗れたこともあるからこそだ。勝ち方と同時に負けたときの怖さを知っているからこそ、勝つための最善策が取れるのだ。
大迫勇也の一言が、その事実を物語る。
「今日は勝ちに徹するというか、勝つサッカーをした」

それは前回の対戦の反省に基づいた布陣だった。清水の特長であるワイドな攻撃は両ウイングあってこそ。しかし、逆に言えばそこを消すことができれば、勝機は見える。ジョルジーニョ監督は「ウイングを潰せば絶対に勝てる」と選手たちに声をかけ、左サイドバックに昌子源を入れ、柴崎岳を2列目で起用した。
その采配が見事に的中する。前半、攻撃の形をほとんど作れず、シュート1本に終わってしまったが、相手にもシュートを2本しか許さない。
「水を飲みにいった時にも一緒についていくくらいの気持ちでついて行け」
そう指示を受けた昌子は、大前にほとんど仕事をさせなかった。
右サイドバックの西大伍も奮闘。前回は出場しなかった高木俊幸に粘り強く対応し、シュートやクロスを簡単に許さない気迫を見せた。

そして、後半からドゥトラを投入すると、攻め疲れたのか切り替えの遅くなった清水に対して速攻でチャンスを作り始める。そして、71分に相手CKからボールを奪うと、鋭く攻撃に移り、右サイドを抜け出したドゥトラから長い距離を走ってきた柴崎に折り返しが渡ると、たまらず李記帝が柴崎を押し倒してしまう。このPKを柴崎が自ら決め、鹿島が待望の先制点を奪うのだった。
すぐに同点に追い付かれ、勝負は3年連続の延長戦に持ち込まれたが、ボールを保持する割りにチャンスが作れない清水に対し、相手の高いラインを突破すればゴールが見える鹿島のほうが、得点の匂いを感じさせる。
すると延長前半3分、増田誓志の大きなサイドチェンジが西に渡ると、その前に走り込んできたのは、再び柴崎。ちょこんと浮かせたトラップで前に立ちはだかろうとするカルフィン・ヨン・ア・ピンを抜き去り、右足で強烈なシュートを逆サイドに突き刺す。2得点は文句なしのMVP。柴崎の2ゴールで鹿島が5度目の栄冠を掴んだ。

この試合の勝因を小笠原満男が語る。
「賢く頭を使いながら、狙いを持ってやるなかで、うまく試合を運べたんじゃないかと思います」
それは大迫が言う「勝ちに徹する」と同義だろう。試合の得点経過、流れ、交代選手など、さまざまに変わる状況に合わせながら、チームとしての戦い方が120分間ブレることがなかった。試合中、ことある毎に周囲の選手に声を掛け、途中出場でピッチに入ってきた選手には試合に入りやすい状況を整えた小笠原の功績は大きい。
「気になることを言ったり聞いたりしながら意思統一して、バラバラになっちゃいけないんでね。そういう作業はオレらがやらなきゃいけないとこだと思う」
これを「経験」という一言で片付けるのは少し難しい。決勝の舞台を踏んだ回数ではなく、それ以上のもっと大きな存在のように思われた。

試合後、国内3大タイトルを初めて手にするドゥトラやジュニーニョが涙を見せ、左サイドバックとして奮闘した昌子の目にも涙があふれていた。ジョルジーニョ監督は小笠原から優勝カップを渡されたが、それを最初に掲げることは固辞。自分ではなく最後まで選手を立てる姿勢を崩さなかった。そして、「どんな状況でも支えてくれるサポーターに感謝を伝えたいと思います」と、どんな状況でも変わらぬ声援を贈り続けたサポーターに気持ちを伝えた。
岩政や興梠慎三ら、そしてジョルジーニョ監督が、客席まで登り、喜びを分かちあう。何度味わっても変わらぬ歓喜の喜び。選手としてだけでなく、監督としてもヤマザキナビスコカップのタイトルを獲得したジョルジーニョ監督が、鹿島に新たな1ページを加えた。


以上
2012.11.04 Reported by 田中滋


「勝ちに徹し」「巧い試合運びをした」
まさに鹿島らしい試合で優勝を勝ち得た。
この優勝で経験の鹿島が更に経験を積むこととなった。
MVPを受賞した岳を始め、源や大伍、ヤスら若き選手が鹿島の伝統を受け継いでいく様を体感できることは誠に持って嬉しいこと。
そしてまた歴史を積み重ねられたことを喜びたい。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-11-04 16:59:40
ジュニーニョに優勝を経験させることができてよかった!
天皇杯ではピッチの上で優勝を味わってほしいU+203C
ジュニーニョの表情が印象的でした!
今後の活躍に期待!
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