Jリーグのレベル低下と日本サッカーの強化について
Jリーグのレベルは低下しているのではないか
2014年のJ1リーグは、最終節に優勝が決まるドラマティックなフィナーレとなりました。J1復帰初年度でリーグを制覇したガンバ大阪には、心から拍手を贈りたいと思います。
しかしながら、日本サッカーに関わる者のひとりとして、見逃せない現実があります。
優勝したガンバ大阪の勝点は63でした。J1リーグと同じ18チームの2回戦総当たりで行われるドイツ・ブンデスリーガの13-14シーズンに当てはめると、勝点63は4位です。同じシーズンのオランダ・エールディビジでも、優勝には届きません。3位タイです。
リーグ戦の優勝の目安は、試合数の2倍と言われます。34試合なら68です。J1リーグの優勝争いは最終節までもつれましたが、ハイレベルの競争が繰り広げられたとは言えないでしょう。
ガンバ大阪の得点源を担ったのは、ブラジル人フォワードのパトリックでした。シーズン途中の7月に加入した彼は、宇佐美貴史に次いでチームで2番目に多い9得点をマークしました。ナビスコカップ決勝でも2ゴールを叩き出し、MVPに輝いているし、Jリーグのベストイレブンにも選出されています。
では、2014年のJリーグで主役級の活躍を見せた彼は、ブラジルでどれほどの実績を残してきたのか---。母国ではほぼ無印の存在です。名門クラブでキャリアを積んできたわけではありません。超一流とは言えない外国人選手が優勝の原動力となったところに、私は危うさを感じます。Jリーグのレベルが低下しているのではないか、との疑念を抱かずにはいられません。
アジアのクラブチームが覇を競うAFCチャンピオンズリーグで、Jリーグ勢はベスト8に1チームも勝ち残ることができませんでした。横浜F・マリノスがグループステージで敗退し、セレッソ大阪、サンフレッチェ広島、川崎フロンターレはラウンド16で姿を消しました。
ラウンド16まではアジアを東西に分けて戦うため、実質的に日本、韓国、中国、オーストラリアによる争いです。そのなかで、Jリーグのクラブはベスト8に1チームも送り込むことができなかった。ライバル3ヵ国の後塵を拝した。Jリーグの質の低下を、ここでも読み取ることができます。
2ステージ制は日本サッカーの強化につながるか
Jリーグのゲームを観ていると、「日本全国総ボランチ化」と言うフレーズが思い浮かびます。
ボールをつなぐ。ボールを下げる。横に展開する。ボールを保持するポゼッションを大切にすると言えば耳触りはいいけれど、実際はボールをまわしているだけで、対戦相手に脅威を与えるには至っていない。フィールドプレーヤー全員が、ボールをつなぐだけのボランチになってしまっている印象を受けます。
柴崎岳 〔PHOTO〕gettyimages
そうした傾向が強いなかで、鹿島アントラーズとサガン鳥栖は希望を抱かせてくれました。どちらのチームも、相手のペナルティエリア内に意欲的にボールを運んでいました。タテに速いサッカーが特徴です。
鹿島は新旧の日本代表が眼を引きます。ベテランの小笠原満男と、22歳の柴崎岳です。ハビエル・アギーレ監督のもとで日本代表に招集されている柴崎は、タテパスの質が際立っている。仕掛ける意識をはっきりと感じさせる姿勢は、頼もしい限りです。
鳥栖もタテへの意識は高い。技術力を特徴としたチームではありませんが、最前線に豊田陽平がいます。日本代表にも選出されている彼は、少しぐらいアバウトなボールでも何とかしてキープしたり、シュートにつなげたりすることができる。ヘディングに強い豊田がいることで、鳥栖はペナルティエリアで積極的に勝負を挑んでいるのです。
鳥栖のサッカーを支えるもうひとつの特徴はハードワークです。豊田へロングボールを入れたら、全員が長い距離を走って彼をサポートする。中盤をある程度省略する代わりに走力を高め、ロングボールを攻撃の有効な手段にしているのです。
J1は来シーズンから2ステージ制に変更されます。プロ野球のポストシーズンのように、各ステージの優勝チームなどが年間チャンピオンを争う戦いも開催されます。盛り上がりを作ることで注目度アップをはかりたいのでしょうが、日本サッカーの強化につながるのでしょうか。
2ステージ制が競技力向上を促すのであれば、先進国がすでに取り入れているはずです、しかし、スペインもイタリアも、ドイツもイングランドも1シーズン制です。
目先の浮揚効果はあるかもしれませんが、果たして2ステージ制が日本サッカーのレベルアップに結びつくのだろうか---。「YES」と即答できる材料が、私には見当たりません。
Jリーグのレベル低下について危惧する山本昌邦氏である。
確かに最終節までもつれ、前半には降格圏に沈んでおったクラブが逆転優勝してしまうリーグは、第三者には面白いように見えるが、無名の助っ人一人の力で、そうさせてしまうことには違和感を感じさせる。
そんな中で、鹿島のサッカーは希望と述べる。
岳と満男のボランチコンビが繰り出すパスは天下一品。
若さが勝ち点を失わせたが、来季はかなりやってくれよう。
他のJクラブとは一線を画した鹿島のサッカーで日本を、アジアを席巻しようではないか。
楽しみである。
Jリーグのレベルは低下しているのではないか
2014年のJ1リーグは、最終節に優勝が決まるドラマティックなフィナーレとなりました。J1復帰初年度でリーグを制覇したガンバ大阪には、心から拍手を贈りたいと思います。
しかしながら、日本サッカーに関わる者のひとりとして、見逃せない現実があります。
優勝したガンバ大阪の勝点は63でした。J1リーグと同じ18チームの2回戦総当たりで行われるドイツ・ブンデスリーガの13-14シーズンに当てはめると、勝点63は4位です。同じシーズンのオランダ・エールディビジでも、優勝には届きません。3位タイです。
リーグ戦の優勝の目安は、試合数の2倍と言われます。34試合なら68です。J1リーグの優勝争いは最終節までもつれましたが、ハイレベルの競争が繰り広げられたとは言えないでしょう。
ガンバ大阪の得点源を担ったのは、ブラジル人フォワードのパトリックでした。シーズン途中の7月に加入した彼は、宇佐美貴史に次いでチームで2番目に多い9得点をマークしました。ナビスコカップ決勝でも2ゴールを叩き出し、MVPに輝いているし、Jリーグのベストイレブンにも選出されています。
では、2014年のJリーグで主役級の活躍を見せた彼は、ブラジルでどれほどの実績を残してきたのか---。母国ではほぼ無印の存在です。名門クラブでキャリアを積んできたわけではありません。超一流とは言えない外国人選手が優勝の原動力となったところに、私は危うさを感じます。Jリーグのレベルが低下しているのではないか、との疑念を抱かずにはいられません。
アジアのクラブチームが覇を競うAFCチャンピオンズリーグで、Jリーグ勢はベスト8に1チームも勝ち残ることができませんでした。横浜F・マリノスがグループステージで敗退し、セレッソ大阪、サンフレッチェ広島、川崎フロンターレはラウンド16で姿を消しました。
ラウンド16まではアジアを東西に分けて戦うため、実質的に日本、韓国、中国、オーストラリアによる争いです。そのなかで、Jリーグのクラブはベスト8に1チームも送り込むことができなかった。ライバル3ヵ国の後塵を拝した。Jリーグの質の低下を、ここでも読み取ることができます。
2ステージ制は日本サッカーの強化につながるか
Jリーグのゲームを観ていると、「日本全国総ボランチ化」と言うフレーズが思い浮かびます。
ボールをつなぐ。ボールを下げる。横に展開する。ボールを保持するポゼッションを大切にすると言えば耳触りはいいけれど、実際はボールをまわしているだけで、対戦相手に脅威を与えるには至っていない。フィールドプレーヤー全員が、ボールをつなぐだけのボランチになってしまっている印象を受けます。
柴崎岳 〔PHOTO〕gettyimages
そうした傾向が強いなかで、鹿島アントラーズとサガン鳥栖は希望を抱かせてくれました。どちらのチームも、相手のペナルティエリア内に意欲的にボールを運んでいました。タテに速いサッカーが特徴です。
鹿島は新旧の日本代表が眼を引きます。ベテランの小笠原満男と、22歳の柴崎岳です。ハビエル・アギーレ監督のもとで日本代表に招集されている柴崎は、タテパスの質が際立っている。仕掛ける意識をはっきりと感じさせる姿勢は、頼もしい限りです。
鳥栖もタテへの意識は高い。技術力を特徴としたチームではありませんが、最前線に豊田陽平がいます。日本代表にも選出されている彼は、少しぐらいアバウトなボールでも何とかしてキープしたり、シュートにつなげたりすることができる。ヘディングに強い豊田がいることで、鳥栖はペナルティエリアで積極的に勝負を挑んでいるのです。
鳥栖のサッカーを支えるもうひとつの特徴はハードワークです。豊田へロングボールを入れたら、全員が長い距離を走って彼をサポートする。中盤をある程度省略する代わりに走力を高め、ロングボールを攻撃の有効な手段にしているのです。
J1は来シーズンから2ステージ制に変更されます。プロ野球のポストシーズンのように、各ステージの優勝チームなどが年間チャンピオンを争う戦いも開催されます。盛り上がりを作ることで注目度アップをはかりたいのでしょうが、日本サッカーの強化につながるのでしょうか。
2ステージ制が競技力向上を促すのであれば、先進国がすでに取り入れているはずです、しかし、スペインもイタリアも、ドイツもイングランドも1シーズン制です。
目先の浮揚効果はあるかもしれませんが、果たして2ステージ制が日本サッカーのレベルアップに結びつくのだろうか---。「YES」と即答できる材料が、私には見当たりません。
Jリーグのレベル低下について危惧する山本昌邦氏である。
確かに最終節までもつれ、前半には降格圏に沈んでおったクラブが逆転優勝してしまうリーグは、第三者には面白いように見えるが、無名の助っ人一人の力で、そうさせてしまうことには違和感を感じさせる。
そんな中で、鹿島のサッカーは希望と述べる。
岳と満男のボランチコンビが繰り出すパスは天下一品。
若さが勝ち点を失わせたが、来季はかなりやってくれよう。
他のJクラブとは一線を画した鹿島のサッカーで日本を、アジアを席巻しようではないか。
楽しみである。
ACLについては来季鹿島が獲りますから、ご心配なく、と山本氏には伝えたいですね。
山本さんが言うように、横パスが多くなったのは事実。上手い選手が多くなると無駄なシュートが無くなりますね。きれいに崩してから打ちたいようで、その結果横パスが多くなるのではないかと思います。
鹿島もジョルジーニョが来たばかりの頃は不思議とそうなってました。ジョルジとセレーゾの影響でだいぶ変わりましたが…(オリヴェイラが悪いと言うわけでなく、たぶんテクニシャンが多かったからだと思います)
つまり、指導者の意識で変わることなのでレベルの低下ではないと思います。
最後にパトリックの活躍の件ですが、我々から見れば羨ましかった(笑)
リーグのレベルが低いから活躍出来たのではなく、ガンバというチームに上手くフィットしたというほうが正しいと思います。日本のチームも3つ目?でしたし、Jリーグを理解していたのかもしれません。
反対に実績のあったフォルランは馴染めませんでした。山本さんのセオリーならば年間30点とってもおかしくないような選手です。
よってリーグのレベルは低下していないと思います。外国人のスカウトは難しいのでしょう。
山本さんは解説の際、鹿島を褒めてくれることが多いので私は好きです(笑)。
だから批判ではなく、ご心配なくですね。
我々だと、今日はよくないと思う時でも褒める。
そのせいか、山本さん解説の時は、負けが多いように感じる。そう思うのは私だけですかね?
ACLで日本のチームが勝てなくなったのは、他国との外国人の質の差が大きくなってきたことが一つの要因にあります。
中国にお金持ちチームが増えてリーグのレベルが上ったこと、日本が円安だったりゼロ円移籍が相次いで補強がままならないこと、オーストラリアにちゃんとしたリーグが出来て活況を呈していること等も関係していると思います。
ACL自体の質が上がっており、以前我々が出た時よりも難しいものになってきています。
ただ、日本人の質は下がっているわけではないですね。
欧州からの引き合いの多さもあるし、活躍している選手もいる。
志向するサッカーの内容はそれぞれのチームの戦術もあるので何とも言えませんが、自分は昔から鹿島の縦に速い攻撃スタイルは好きですね。
山本さんが誉めてくれているのは嬉しいです。
(磐田出身の方は全般的によく鹿島を誉めてくれますね)