鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

ゼロックス・スーパー杯観戦コメント

2011年02月27日 | Weblog
【後藤健生コラム】スーパーカップ、両チームの課題がはっきりしたゲーム
「マルキーニョスの穴」と「ダニルソンの穴」

「FUJI XEROX SUPER CUP」は、PK戦を3-1で制した名古屋グランパスが勝利を飾った。差がついたのは、名古屋のGK楢崎正剛の超人的なPKストップによるものだ。普通、PK戦でGKがキックを防ぐというのは、ただ単にボールを弾けばいいわけである。手に当たったボールが直接ゴールに入れば「PK成功」となるが、たとえ真正面に弾いたとしても、そこに細貝萌が走りこんでくるわけではないから「PKストップ」は成功ということになる。

ところが、この試合の楢崎は「ブロックした」というよりも、完全に「ストップして」しまったのだ。1本目の岩政のキックは脚で防いだが、弾き返されたボールははるかハーフラインのあたりまで飛んでいったし、3本目のアレックスのキックは(GKの側から見て)左に跳んだ楢崎は、なんと両手でがっちりとキャッチしてしまったのだ。こんなPKストップは見たこともない。

試合自体は、甲乙つけがたい展開だった。両チームの監督は「うちが支配していた」と言っていたが、まあ同点で終了したのは順当なところだろう。正直に言えば、ストイコビッチ監督が漏らしたように「けが人が出ないでよかった」といった試合だ。なにしろ、1週間後にはJリーグが開幕することになっているし、両チームともミッドウィークには中国に遠征してACLの第1節の試合を戦わなければならず、中国のチームとのアウェイとなれば、ラフプレーも覚悟しなければならないのだから……。そんな中で、どちらも「それぞれの課題がはっきりした」という意味で、両監督にとって有意義な戦いとなったことだろう。鹿島アントラーズの課題は、先週の「いばらきサッカーフェスティバル」についてのコラムにも書いたように、「マルキーニョスの穴」をどう埋めるか、である。

マルキーニョスの後継者と目されるカルロンは、この日はベンチスタート。大迫勇也に代って登場したのが81分だったから、わずか10分間のプレーに終わった。ちょうど1週間前の水戸ホーリーホックとの試合のときに比べれば、体も絞れてきており、かなり動けるようにはなっていた(といっても、10分間だったのだが……)。しかし、だからこそ感じるのは、この選手はマルキーニョスのような前で献身的に動くタイプではないということだ。動かないのはコンディションが悪いからではなく、そういうプレースタイルだからなのだということがはっきりした。

オリヴェイラ監督は、「だから、去年までのような個人の力を生かしたカウンターではなく、集団的なカウンターの形を作っていくのだ」と言う。カルロンのようなタイプの選手を入団させたというのは、もちろん初めからそういう考え方だったのだろう。だが、それには時間がかかる。そのためには、スーパーカップのような試合でも長い時間プレーさせたいところだったはずだが、コンディション的にわずか10分のプレーに終わってしまった。

先週に続いて言おう。

マルキーニョスの穴は容易には埋まらない。少なくともカルロンがコンディションを回復し、そしてチームとして新しい形を構築するまでの間は、昨年の戦力からマルキーニョスを差し引いた戦力で戦わざるを得ないのだろう。一方、名古屋グランパスは、昨年の戦力に藤本淳吾と永井謙祐を加えて、一段と戦力アップが図れているはずだ。だが、こちらが悩んでいるのは、負傷で長期離脱となった「ダニルソンの穴」である。中盤の底で安定した守備力を見せ、そこから攻めに出ても強さを無類の発揮するダニルソンは、じつは昨年のリーグ初優勝に向けての重要なポイントの一つだった。そのダニルソンがいない中盤をどうするのか……。それが、名古屋の当面の課題である。

スーパーカップの鹿島戦、ストイコビッチ監督は中村直志をアンカーの位置に置いて戦うことを選択した。中盤は中村の前に小川佳純と藤本を置き、左に玉田圭司、右に金崎夢生。そして、トップにケネディである。小川は、守備の局面では下がってプレーするが、他のMFはいずれも攻撃的な選手であって、小川が攻めに上がった後は中村が1人で中盤の守備を担う。そして、その、中村の周囲にできるスペースを鹿島に狙われてしまったのだ。鹿島が、事前のスカウティングで名古屋のこの弱点を知って狙ってきたのか、あるいは、ゲームの流れの中で相手の弱点を見つけたのかはわからないが、鹿島が意図的に中村の周囲でプレーを作っていたのは偶然ではない。それが、どちらかと言うと鹿島にビッグチャンスが多かった理由である。

「攻撃的なプレーをしたかった」のだと、ストイコビッチ監督は言う。だが、中盤で相手ペースでの試合が続くため、本来は攻撃に徹したい藤本や玉田、金崎も守備に気を使わなければならない分、攻撃力にも影響が出てしまう。もちろん、そうした試合の流れはストイコビッチ監督も気がついていたはず。というよりも、事前に予想できていたはずである。名古屋は、54分に増川隆洋のヘディングで先制し、66分に野沢拓也のFKで同点とされた後、71分には金崎に代えて吉村圭司を入れ、中村と吉村をボランチの位置に並べて、守備を安定させた。「攻撃的にいきたかった」のは本当のことだろうが、あの攻撃的なフォーメーションでスタートしたのは、ストイコビッチ監督にとって、ある意味でのテストだったのだろう。鹿島という強いチーム相手に、中村のワンボランチでどこまでプレーできるのか……。

ラストの20分のように2枚のボランチを並べる形とどちらを選択すべきなのか……。おそらく、Jリーグでの実戦が始まったら、相手との力関係やゲームの流れなどを勘案しながら2つの守り方を併用して、ダニルソンのいない春先を戦っていくことになるだろう。

「マルキーニョスの穴」も、「ダニルソンの穴」も、どちらも容易に埋まるものではない。

だが、ダニルソンはいずれ戻ってくるが、マルキーニョスは(たぶん)戻ってこない。鹿島がマルキーニョスなしに、戦う形を身につけることの方が難しく、また時間もかかるような気がする。


後藤 健生 02月27日02:48

マルキーニョスの穴は埋まらないと評する後藤氏である。
それはそれで真理であろう。
JリーグのMVPを獲るような選手に容易に替えが効くわけもない。
しかしながら、同じ選手で、または同じタイプの選手で、同じサッカーを続けることが全てに於いて正しいわけではない。
鹿島はかつてジョルジーニョと契約更新することが叶わず、苦労した経験がある。
今回もまた、同様に苦労はするであろうが、必ずやチームとして進化して行くに違いない。
後藤氏の意見が杞憂に終わるよう、我等もまた努力していくのだ。

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5 コメント

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Unknown (ゆかずし)
2011-02-27 22:05:21
もういないのにマルキマルキうるせんだよ、わかっとるわ(`Δ´)

…ってのがコラムニストに対する本音ですね。
まだ仙台マルキが切ない人間ですが、でももういないしチームはまた新たに生まれ変わるんです。大丈夫だもん!田代だっているもん!田代~がんばれ~(;_;)
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Unknown (シゲッティ。)
2011-02-27 22:20:46
鹿島の問題はその通りですが
後藤氏は名古屋の問題点を見逃しています。
今年の名古屋にはACLという目に見えない蓄積疲労が加わります。
名古屋は核になる選手数人は替えがきかない選手には無理させても出場させるチームです。
去年みたいに夏場に連勝できるでしょうか?
さてその選手がコンディション不良になったときに1年戦えるかな?

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Unknown (鹿組)
2011-02-28 01:04:36
マルキの穴ねぇ。
ま、サッカーは11人でやるものですから、厳密に言うと試合の中では必ず誰かしらがマルキの代わりをするわけで。
攻撃面・守備面を一人で丸々埋められなくてもある程度は埋まる。
それに加え、出戻りと新加入で選手層が質・量ともに上がってることを考えると、マルキの抜けた穴ばかりを強調して不安視するのは極端だと思う。
自分としては若手(大迫や遠藤など)の更なる成長が期待出来ると思っているので、今後にも影響のある非常に意義深いシーズンになると思う。
名古屋は、昨年はカップ戦は捨ててたと思うし、ACLもなかった。
さらにJ王者ともなると、他チームも今年はしっかり名古屋対策をしてくるでしょう。
鹿島の他にも良い補強が出来ているチームがあるので、昨年のような成績を残すのは簡単ではないと思いますね。
ま、鹿島は鹿島で戦術の浸透と熟成を確実に行なってくれれば自ずと結果が出ると思います。
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もう一つ (かしょ)
2011-02-28 08:57:32
もう一つ名古屋の問題点!ケネディが万が一怪我で離脱したら違うチームになってしまう!!!

選手層が薄いのは致命的ですね!(b^°)

マルキの穴って言うけど…いつまでも頼っていられないし今年は若手の台頭で乗り切って欲しい”(ノ><)ノ
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Unknown (Unknown)
2011-02-28 16:09:16
このコラムを読んで思うのは、怪我で離脱した選手に関しては「穴」と表現するのはわかりますが、入れ替えた選手に関して「穴」という表現は如何なものかということです。
そもそも、「マルキの穴」ということで言えば、マルキのピークは2008年であり、昨年はマルキ自身がマルキの穴を埋め得なかったと思います。
監督の言う「新しいサイクル」な訳です。

あと、同様の質問を去年末の天皇杯の試合後に湯浅氏が監督に訊いていましたね。
監督は「選手が変わればサッカーも変わるのは当然なわけで、マルキと全く同じプレーをさせようと大迫に求めているわけではない」というたしなめ方をしていました。
その通りだと思います。
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