鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

富山戦レポート

2011年11月17日 | Weblog
【第91回天皇杯 3回戦 鹿島 vs 富山】レポート:またも延長での決着。粘る富山をなんとか寄り切った鹿島が4回戦への進出を決める(11.11.17)
11月16日(水) 第91回天皇杯 3回戦
鹿島 2 - 1 富山 (19:00/カシマ/3,465人)
得点者:28' 興梠 慎三(鹿島)、42' 福田 俊介(富山)、101' 野沢 拓也(鹿島)


「やりにくかった」と興梠慎三がふり返り、「途中で落ちるかと思ったんですけど、最後まで走りきっていた」と曽ヶ端準が賛辞を贈る。ACLへの出場権を得るためには、この大会を2連覇するしかない鹿島だったが、チームとして統一感のある戦いをしたのは富山。延長戦の末、なんとか勝利を手にしたが最後まで苦しめられた。

いま思えば、試合開始直後の数分間がこの試合を象徴していた。ホイッスル直前、富山の池端陽介がアクシデントによりベンチへ下がってしまう。そのしばらくの間、富山は10人でのプレーを余儀なくされたわけだが、一人足りないことを全く感じさせない。池端のポジションである3バックの左には谷田悠介が下がり、空いたボランチに舩津徹也が入ると、ピッチには穴が空かなかった。
というのも富山の3バックは独特のシステム。本来、サイドにスペースができやすい3バックが相手の時は、興梠が裏に抜け出す速さで躍動するが、この日の富山の3バックは横に広がることを厭わずにFWをマークしてくる。その分、CBの間にスペースは生まれたが、そこはボランチが下がって対応。がっちり守られた印象も無かったが、つかみ所のない守備に鹿島の選手たちは突破口を掴めず戸惑っていた。

すると、今度は鹿島がアクシデントに見舞われる。中田浩二がセットプレーの競り合いで左大腿部を負傷。立ち上がることができず、そのまま担架で運ばれ交代を余儀なくされてしまう。急遽、昌子源が出場する事態となってしまった。
しかし、そこで慌てず、相手の隙を突いて先制点を奪ってしまうところはさすが鹿島という展開だった。28分、敵陣の左サイドでスローインを得ると、フェリペ ガブリエルが素速くプレーを再開。大迫勇也からパスを受けた興梠が、落ち着いてファーサイドへシュートを流し込み、鹿島が先制する。
これで一気に鹿島へ試合が傾くかと思われたが、富山のモチベーションの高さは1失点くらいで途切れるものではなかった。42分、敵陣でFKを得ると鹿島のお株を奪うかのようにすばやくリスタート。そこに福田俊介が頭で合わせ、同点に追い付いてみせた。

後半になると、さらに鹿島が支配率を高めるが富山の集中も途切れない。速攻から興梠、大迫と流れるようにパスを繋ぎ、最後は野沢拓也が決定機を迎えるチャンスもあったがゴールを奪えない。結局、延長戦までもつれ、決勝ゴールが決まったのは101分。右SBに移った柴崎岳の楔のパスを興梠が落とし、それを受けた野沢が富山のディフェンスの間を縫うシュートを放つと、GKの鶴田達也も反応できず、ゴール左へ吸い込まれていった。

「最後の汗あるいは血を流すくらいまでの気持ちで戦って来ました」
試合後、オリヴェイラ監督が讃えたとおり、富山の見事な戦いぶりは好印象を与えるものだった。ただ、安間貴義監督は「本当に勝つためにやってきました」と話し、全力を傾けながらも勝てなかったことを悔やんでいた。しかし、「やっぱり技術が欲しいということは、やってみてわかったと思います」と言う通り、次への課題がはっきり見えた試合でもあった。得るものは大きかったことだろう。
それに対して鹿島は失うものの方が多かったかもしれない。中田だけでなく途中出場した田代有三も左足首を負傷。「残り(試合)は全部ダメかも」とコメントして帰っていっただけに不安は募る。残りのリーグ戦、そして天皇杯連覇のためにも中田と田代の怪我が大きなものでないことを願いたい。


以上
2011.11.17 Reported by 田中滋


田中氏渾身の筆である。
この寒い試合を劇的に描写しており、感心せざるを得ない。
そんな文章の締めくくりに、田代が今季絶望を示唆しておる。
これが、もし本当であるならば、我らは大いなる痛手を受けたことになろう。
田代の左足首の続報を待ちたい。

最新の画像もっと見る