料理とナレーション

2016年09月21日 10時52分44秒 | 業界のかけら
日本語には「味」を表現する言葉が少ないと、
筒井康隆がエッセイで書いていた。

とはいえ、
ある番組のディレクターが作成した仮ナレ(下書き)には困った。

「旬の食材と味にこだわった選りすぐりの7種類の前菜です!」
「あっさりとして独特の風味が特徴の白身魚です」

ほぼこんな感じ。

もちろんこれを直すのが僕の仕事なわけだが、
冒頭のような理由で直すにしてもいつもより時間がかかる。

かと思ったら調理のところの突然、

「最後にルイユをかけて出来上がり」

ルイユ?
僕も知らない言葉だ。
検索してようやくわかる。

そんな言葉を使っちゃダメだろ。
おそらくディレクターもよくわからぬまま、
シェフの言葉を丸写ししただけに違いない。

それにしても独創性がウリの料理の味を食べてもいないのに、
ナレーションで説明しろって言われてもなあ・・・無理だよ。

だったら食わせろ。


しかしながらよくよく考えれば、
小説と違ってテレビには料理の映像がある。
だから無理に味の描写はせず、
ナレーションでは素材や調理方法について説明すればいいんだと思うし、
そうするように心がけている。

まあ、そのためには素材や調理方法に関する情報が必要で、
それをわかって取材しているディレクターならいいんだけど、
そうじゃない人だと、これまた苦労する。

だから…

やっぱり食わせろ!


 
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