行きつけの近所の店の常連に、目の不自由な方がいる。
初めて店で会った時には、正直ちょっとビックリした。
酒を飲んだ後、一人で帰って大丈夫なのかと心配になったからである。
先日、その方とひさびさに遭遇した。
すでにどこかで飲んできたらしく赤い顔をしているその人に、店主が言った。
「今日はこの前みたいなことがないよう気をつけてくださいね」
いったい、何があったのだ?
詳しく話を聞くと・・・
前回来た時、飲み過ぎてしまい、帰り道で杖を落としてしまったのだという。
盲人が杖を落とす?
どういう状況なのだ?
ひょっとして道端で寝てしまったのか。
「あの時は通りかかった知り合いが、家まで送ってくれたんで助かりました」
そう言うと、その人は真っ赤な顔で、生ビールを大ジョッキで頼んだのだ。