会計スキル・USCPA

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日本を築いた二人  伊藤博文  マッカーサー

2010-07-20 23:41:27 | 政治

改革だとか、政治主導だとか、いろいろ議論はあるんですが、ショボさがきついです。

改革とか、国造りとかいう場合、どういう次元のことを指すんだろう、という時には、やはり偉大な先人に学ぶべきでしょう。

まずは伊藤博文。

ちょんまげ時代に生まれて、初代首相になって、憲法を制定し、議会を開き、政党政治にも足を突っ込んで、日本に欧米なみのデモクラシーを根付かせるための努力を、明治の終わりごろまでかけて、粘り強く続けています。

ってか、私にそういうことをいう能力も資格もないんですが、本書を読むと、

伊藤が物凄いインテリで、国際派で、知力と策があったか、ということが良くわかるような気がするんですな。

伊藤博文―知の政治家 (中公新書)
瀧井 一博
中央公論新社


国の方向を決めてゆくとき、、その立場にあるとき、伊藤は渡欧して調査に向かいます、成果が出ずに苦悶します。ピッタリくるような概念、学問に出あわない。これだ、と納得するまで、散々苦労します。

こういう作業って、今の日本、どこで、誰にやっていただいているんでしょうか、ってのが読んでてとっても気になりました。政治家の信念て、コクミンセーカツガーッ、みたいなハナシとはもうちょっと次元の違う問題を含んでいるはずでして。

で、まあ、それなりの理念が固まったとして、それをどうやって実行するのか。

またしてもマッカーサーなんですが、下巻では、いよいよ日本の占領統治時代にかんする記述があります。

マッカーサー大戦回顧録〈下〉 (中公文庫BIBLIO20世紀)
ダグラス マッカーサー
中央公論新社




いや、まったく、ついさっきまでフィリピン攻略に全身全霊であたっていたとおもったら、あっという間に日本の統治を任されて、あっと言う間に矢継ぎ早に改革をやってしまう。

彼は既存の日本の官僚機構を使いこなしてます。勿論、日本の政治家を通じてなんですが。

大日本帝国憲法は伊藤が作りましたが、今の憲法はマッカーサーの指導のもとに作られてて、日本側が最初に持ってきた案を不十分としてやりなおさせます。

『この改正案は基本的人権を盛り込む代わりに逆にわずかな既存の権利まで取り上げてしまうものだった。つまり、これらの既存の権利を一般法令に従属させてしまっていたのだ。たとえば、信仰の自由を認めることについても、それは法令により別に規定される場合を除きということになっていた』

ナント、マッカーサーは霞が関文学もお得意で、骨抜きは許さなかったんですな、ってかマッカーサー自身、スーパー軍官僚なわけでしょうがね。

とにかく、日本人でもなく、日本語もできず、占領者として乗り込んできておいて、彼はすばやく日本社会の問題点を把握し、矢継ぎ早に改革を進めていきます。政治のプロでもなんでもない。自分で構想を立てて、かっちょ良い演説をして・・・。スタッフも勿論スーパーだったんでしょうがね。

まあ、いろいろ批判もあるし、米国式の占領統治がそんなに良いのか、アフガン、イラクはどうよ、ってことにつながっちゃいそうですな。

ただ、マッカーサーが偉大だったことは間違いなさそうで、彼の見通しの良さ、深さについては大いに学ぶところあるんでしょうな。