電子部品業界に関してちょっと気になるレポートです。
リーマンショックで大幅落ちた後、回復してきたのは良いんですが、ショック前より日本メーカーの世界シェアが落ちている。背景に、韓国、台湾の自前への切り替えが進んでいること、ソフト重視で日本製の高付加価値製品へのニーズそのものが減っていることがあることを指摘しています。
電子部品業界の現状と展望:アナリストの眼
業績が急回復し設備投資を再開させる中、
シェアに変動が生じている点は気がかりである。
電子情報技術産業協会によると電子部品の
日系企業世界生産額シェアはリーマ
ン・ショック前の07 年に43%であったも
のが、09 年見込みでは、40%まで低下して
いる(図表3)。
背景として考えられるのは、1 つに中
国・韓国・台湾の部品メーカーの台頭であ
ろう。韓国には成長著しい世界的にも大手
といえる電機メーカーがあり、そのメーカ
ーの戦略転換による影響が考えられる。従
来は日本から素材・部品・製造装置などを
輸入し、韓国内で加工・組み立てを行い世
界に対して販売するビジネスモデルであっ
た。これは、韓国の世界輸出額と日本から
の輸入額に正の相関関係があることからも
示されている(図表4)。しかし、中長期的
に内部に付加価値を蓄積していく観点から、
韓国内の部品メーカーの育成・技術水準の
向上に力点を移しつつある。足りない技術
は、日本を始め世界各国の企業から技術導
入を行いながらも、自国内での生産を重視
している。主要なエレクトロニクス製品で
世界シェア1 位をとるという国家戦略を遂
行するうえでボトルネックとなる可能性がある
部材を自国内に取り込むという動きでもある。
2 つ目に日系企業が得意とする高付加価値部品
(小型・薄型・高品質など)のデジタ
ルコンシューマ機器に搭載される比率が低下し
ていることが考えられる。
アナリストの眼
図表5 に示すように携帯電話最大手メーカーの平均販売単価は09 年までの5 年間で
年平均10%の下落を続けている。最終製品における新興国販売比率が上昇しており、比
較的安価な製品の比率が上がっているためである。
また、多機能情報端末に代表されるように、最終消費者に受け入れられる製品が、必
ずしも高付加価値部品を組み入れた製品でなく、ソフト・サービスまでを含めた総合力
の高い製品へ移行してきていることも背景にあるのではないだろうか。
リーマンショックで大幅落ちた後、回復してきたのは良いんですが、ショック前より日本メーカーの世界シェアが落ちている。背景に、韓国、台湾の自前への切り替えが進んでいること、ソフト重視で日本製の高付加価値製品へのニーズそのものが減っていることがあることを指摘しています。
電子部品業界の現状と展望:アナリストの眼
業績が急回復し設備投資を再開させる中、
シェアに変動が生じている点は気がかりである。
電子情報技術産業協会によると電子部品の
日系企業世界生産額シェアはリーマ
ン・ショック前の07 年に43%であったも
のが、09 年見込みでは、40%まで低下して
いる(図表3)。
背景として考えられるのは、1 つに中
国・韓国・台湾の部品メーカーの台頭であ
ろう。韓国には成長著しい世界的にも大手
といえる電機メーカーがあり、そのメーカ
ーの戦略転換による影響が考えられる。従
来は日本から素材・部品・製造装置などを
輸入し、韓国内で加工・組み立てを行い世
界に対して販売するビジネスモデルであっ
た。これは、韓国の世界輸出額と日本から
の輸入額に正の相関関係があることからも
示されている(図表4)。しかし、中長期的
に内部に付加価値を蓄積していく観点から、
韓国内の部品メーカーの育成・技術水準の
向上に力点を移しつつある。足りない技術
は、日本を始め世界各国の企業から技術導
入を行いながらも、自国内での生産を重視
している。主要なエレクトロニクス製品で
世界シェア1 位をとるという国家戦略を遂
行するうえでボトルネックとなる可能性がある
部材を自国内に取り込むという動きでもある。
2 つ目に日系企業が得意とする高付加価値部品
(小型・薄型・高品質など)のデジタ
ルコンシューマ機器に搭載される比率が低下し
ていることが考えられる。
アナリストの眼
図表5 に示すように携帯電話最大手メーカーの平均販売単価は09 年までの5 年間で
年平均10%の下落を続けている。最終製品における新興国販売比率が上昇しており、比
較的安価な製品の比率が上がっているためである。
また、多機能情報端末に代表されるように、最終消費者に受け入れられる製品が、必
ずしも高付加価値部品を組み入れた製品でなく、ソフト・サービスまでを含めた総合力
の高い製品へ移行してきていることも背景にあるのではないだろうか。