会計スキル・USCPA

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憚りながら 後藤組元組長

2010-10-10 12:02:29 | 生活

ヤクザを報じるアメリカ人の動画で米国人ジャーナリストが触れていた本なんですが、ちょいと買って読んでみました。関係のあった政治家等が名指しで書かれていて、結構売れているにもかかわらず、メディアは全く無視。タブーがあるから、ってなことでした。

私も、確かに、本屋で平積みになっていることは気がついていたし、あの後藤組の元組長が書いた本ということで、買うか買わぬか迷ってたんですな。あまりメディアで取り上げられていないし、そんなに話題になっている感じがない。ランキングにも乗ってこないんで、本としては大したことないかも、と思って買わなかったんですが、早速買って読んでみました。

で、本書なんですが、まず、これをお読みいただきたいんですが、まえがきからです。

『ガキの頃に親兄弟に居直って以来、極道を辞める間際わまで、突っ張りに突っ張って生きてきた。数え切れないほど喧嘩して、つまらん懲役に何度も行って・・・。振り返れば、我ながら、つくづく滑稽な人生だったと思う』

どうでしょうか、この語り。

何回も読んでしまって、覚えてしまいそうですな。

昔のやくざ映画を観ていると、やくざが朗々と口上を述べたり、啖呵を切るシーンがあったり、思わず聞き惚れる掛け合いというのは見どころなんですね。こういう語りに接することは今の映画には期待できないし、落語か歌舞伎か、みたいな古典しかない感じです。

こないだ、テレビを観てたら、元組長(本書の著者ではなく)という人が、引退して渋谷で若者の指導にあたっているとかいうハナシが取材されてましたが、この元組長のハナシ方が、やはり語りになっていて、彼が喋っているのを聞いていることが心地いい。小気味いいというんでしょうか、うまい調子でポンポンと心に響くというんでしょうかね。

やくざは、仕事につけないような若い者を、リクルートして生活の面倒を見て、説き伏せて、親分に一生付いていきます、懲役にも行きます、『身体も懸けます』と決意させて勢力を維持拡大していかねばならないんだとすると、やはり、そこで通用するコトバというのは、内容もハナシ方も半端じゃ済まない、ってことなのかも知れませんな。

わたしゃ、特にやくざ映画が好きなけでも、やくざ肯定論者でもありませんがね。怖いし、いやな感じです。

ただ、本書は、どういう美観で、どういう言葉で来し方や自分を語るか、という観点から読むべきなんでしょうな。


憚(はばか)りながら
後藤 忠政
宝島社


語りは別として、内容はどうなんでしょうかね。

例のジャーナリストが言うような新事実がのってるのかどうか。私はこういうハナシをフォローしているわけじゃないんで、ほとんどが新鮮だったんですが、ネット上では以前からあれこれ言われていたハナシかも知れませんな。

ライブドアに絡んで、別に興味がなくても後藤組の名前も取りざたされてましたが、本書ではホリエモンは金が全てだ、と公言してけしから、思ってても口にするもんじゃないって感じで、直接どう関係があっただのどんな事件に関係しているなんてことは一切書かれてません。なんでもかんでも後藤組が裏で絡んで、裏経済を動かしているようにマスコミに書かれたりしたが、そんな力があるわけないだろ、と突っ込みが入ってます。経済ヤクザとして、どんな風に儲けたか、世の中こんな風に動いてるんだぜ、みたいなハナシはほとんどありません。むしろ極道へのこだわりを説いている。


こうして堂々と本で出版されたんだから、じゃあ、ここで実名が上がっている人達を取材して追いかけまわすのが、他のネタだとフツーじゃないか、ヤッパ、やくざはタブーなんだろう、ということかもしれませんが。

ハナシのスジで気になった点を少々。

著者は、映画監督の伊丹十三氏の襲撃事件について触れていて、あの映画は極道をなめてて、けしからん、やられても同然だ、と思っていたら案の定やられた。ただ、自分の組の者がやったとは知らず後で聞いてびっくりした、ってな感じでご自身の関与は否定していますが襲撃自体は肯定的に語ってます。

本書では、同時に、なんでもかんでもヤクザやヤクザに関係する者たちを目の敵にして、と世相を嘆いているわけですが、

やくざじゃない伊丹十三氏を襲ったことは、世論の反発を招いて確実にやくざの肩身をせまくしたことを考えると、この襲撃を肯定しておいて、やくざに厳しい世相を嘆くというのは、同時には成立する立場ではない、って感じです。どっちかじゃないかと。


直接インタビューされた動画も出てたんで貼っときます。

後藤忠政 インタビュー >>



こちらは、平成10年に行われた新築祝いと誕生パーティを兼ねた催しのようですが、こういうものまで、ネットに出てるんですな。武闘派の親分が、身内の会ではどんな感じか、というのがよくわかります。奥さん紹介みたいなシーンもあります。



小林旭やきみまろも出てますな。K-1のアンディフグも居たりして、まだ生きてた頃なんですね、ちょっと懐かしい感じです。小林旭は、親分の前でも脚をがばっと開いてどうどうと座ってて、大スターとして別格扱いなんだなって感じです。