ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

The Deal (取引)

2018-01-03 22:50:36 | 芝居
11月13日シアター711で、マシュー・ウィッテン作「The Deal 取引」を見た(演出:松本祐子)。

オフィス コットーネ プロデュース。

1987年アメリカ。小さな田舎町に左遷された崖っぷちFBI捜査官ピーター(田中壮太郎)とアレックス(小須田康人)は手柄を上げようと、
お得意の「おとり捜査」でターゲットに罠を仕掛ける。FBI本部の情報は硬い。後はターゲットを「取引」に陥れればいい。
交錯する嘘、駆け引き、はかりごと。The Deal 。たった一度の「取引」が男たちの運命を変えてゆく・・・。(チラシより)

ピーターとジミー(福井貴一)が差し向かいでワインを飲みながら話している。奥の暗がりに机があり、アレックスが座っている。
会話の途中でピーターがアレックスの方に走り寄り、ジミーは動きを止める。アレックスはテープで二人の会話を聞いていたのだ。
FBI捜査官の二人は、ジミーの収賄の証拠を押さえようとしている。少し話すとピーターはまたジミーの前に戻り、会話を続行。
芝居は終始このようにして進行する。
ジミーは苦労して育った生い立ちや家族のことを話す。彼とピーターは次第に家族ぐるみで親しくなるが・・・。

ピーター(ピート)役の田中壮太郎が好演。捜査官にしては少々脇が甘いが正義感の強いピートは、そのために落伍してゆく。
ジミー役の福井貴一は、2011年にハーウッド作「コラボレーション」で作家ツヴァイクを演じたのを見た時には発声がよくないという印象
だったが、今回は全く問題なかった。4人の登場人物の中で最も人間味溢れる人物が、この人には似合っていた。
トミー役の金井良信は、いかにも海千山千の政治家らしく人当たりが柔らかでそつがない男を好演。

おとり捜査は米国では違法ではないが、FBI本部の情報も必ずしも正確とは限らない。
彼らの「ターゲット」がもしも今まで一度も法を犯したことがない「ヴァージン」だったらどうなる?
捜査官がうまい話を持ちかけたから、ついその気になって、生まれて初めて話に乗ってきたのであって、誘惑されなければ収賄の罪を犯す
こともなかっただろう。だとしたら、捜査官が罪を作ってしまったことになるではないか。
こうして途中から重苦しい展開になるが、笑える箇所も何箇所かあり、よくできた芝居だ。

とにかくキャスティングがいい。
演出も素晴らしい。

あまり宣伝していなかったのか、直前に知って急に見に行くことにしたが、これが思わぬ拾い物だった。


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