ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

井上ひさし作「化粧二題」

2019-06-17 22:48:46 | 芝居
6月4日紀伊國屋サザンシアターで、井上ひさし作「化粧二題」を見た(こまつ座公演、演出:鵜山仁)。

大衆演劇の先人たちの遺した珠玉の名セリフの数々。
捨てられた息子を演じる内野聖陽。捨てた母を演じる有森也実。
一人芝居×二本の濃密な舞台。19年ぶりに楽屋芝居の名作が蘇る(チラシより)。

第1幕
さびれた芝居小屋の楽屋。客入れの演歌が流れる中、女座長・五月洋子(有森也実)は、座員に檄を飛ばし始める。支度の最中も、口上や十八番「伊三郎別れ旅」の
母と子の再会の場の稽古に余念がない。そこへ突然の来客が・・・。
第2幕
クリスマス間近の芝居小屋の楽屋。座長・市川辰三(内野聖陽)は、夜の部も迫った40分前、切羽詰まった様子で座員に口立て稽古をしている。そこへ孤児院の
恩師が、なにやら大切な話がある様子でやってきた・・・・。

以前テレビで渡辺美佐子の一人芝居「化粧」を見たことあり。
今回の作品は、あれを作者自らが書き直し、女座長の一幕、男座長の二幕という二部構成にしたもの。
破局に至る前作と違って、コミカルな要素も多く、楽しい。
何より後味がいい。

さすが鵜山仁のお眼鏡に叶った二人。有森也実は名前しか知らなかったし、この役には若過ぎるかとも感じたが、なかなかうまい。
内野聖陽は言うに及ばず。この人のコメディセンスは抜群。一人芝居とは言え、特に後半の方は、相手のセリフをオウム返しに言うことの連続で、他の役者ならダレて
しまうところだが、この人がやると、実にチャーミング。持って生まれた愛嬌があって、ずるいくらい可愛い。
孤児院の外国人教師との会話は、(ありがちだが)西洋人の使う典型的なカタコト日本語を、訛りも強く発する設定なのが効果的でおかしい。

一つだけひっかかったのは、男のセリフ「捨てるくらいならどうして殺してくれなかったのか」。
そんな風に考える子供が一人もいないとは断言できないが、実際に子殺しをしてしまう親がいるのだから、これは避けるべきセリフではなかろうか。

座長たちは、これから演じる芝居のセリフ(しかも美しい名セリフの数々!)を始終口にしているので、それが、言わば劇中劇のような効果を与えていて面白い。



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