ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「ウェルテル」

2009-11-09 20:22:42 | オペラ
11月3日オーチャードホールで、マスネ作曲のオペラ「ウェルテル」を観た(大野和士指揮、フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団)。

聴くのも観るのも初めてのオペラ。日本ではこれまで音大でフランス語をあまり教えてこなかったので、日本でのオペラ公演はドイツ物とイタリア物に偏っていたのだそうだ。
原作はもちろんゲーテの「若きウェルテルの悩み」。

前奏曲から既に甘美。マスネの作品を形容するのにこの甘美という言葉を使わないのは難しい。

脇役がほぼ出揃った後、チェロのソロ、そしてバイオリンのソロに誘われて主役ウェルテル登場。旋律は繊細で傷つき易い夢想家にふさわしい。コンマスのバイオリンが素晴しい。

と、そこにヒロイン、シャルロット登場。肩の開いた真紅のドレス。美しいが、違和感は否めない。そう言えば、ソフィーは黄色いドレスだし、男たちは皆礼服、つまり演奏会の格好。いくら「演奏会形式」だからといって、衣裳までそうしなくてもいいだろうに。やはりシャルロットには、まず「母亡き後、主婦代わりを上手に務め、弟妹に慕われるいいお姉さん」の雰囲気を出してほしい。そして第2幕では既婚夫人(若妻)振りを表してもらいたいものだ。

第2幕に入ると、驚いたことにウェルテル役のジェイムズ・ヴァレンティとアルベール(ロッテの夫)役のリオネル・ロートの二人は楽譜を見て歌う。これは興ざめだった。他の歌手たちは暗譜だったのに。この二人は代役だったのだろうか。

休憩後、第3幕ではシャルロットは白、ソフィーは青のドレス。第3幕冒頭はブラームスのような暗くて重厚な音。そう、シャルロットは婚約者と結婚してしまい、ウェルテルにはもはや希望のかけらも残されていないのだ。

愛のゆえに死を選ぶウェルテルと、瀕死の彼を前にして、ようやく彼への愛を告白するシャルロット。この後彼女はどうなるのだろうか。とてもこのまま夫の元に帰ることなどできないようにも思えるが。いろいろ考えさせられる。
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