ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「ピーター・グライムズ」

2012-10-14 00:02:28 | オペラ
10月2日新国立劇場オペラパレスで、ブリテン作曲のオペラ「ピーター・グライムズ」をみた(演出:ウィリー・デッカー、
オケ:東フィル、指揮:R. アームストロング)。

イギリス東部の漁村。徒弟の死亡事件について漁師ピーター・グライムズの裁判が行われている。判定は事故死となるが、
村人達は疑惑の念を持つ。女教師エレンだけは彼の味方をし、新しい徒弟の少年をグライムズの元に連れてくる。やがて
エレンは少年の体に傷があることに気づきグライムズを問いただすが、彼は彼女を殴ってしまう。これを聞いた村人達が
グライムズの小屋に押し寄せたため、彼は少年に海へ崖を降りるように命令、少年は足を滑らせ死ぬ。数日後、少年の
セーターが岸に流れ着く。グライムズが人殺しだという噂が広まり、村人が捜索する中、バルストロード船長は正気を
失ったグライムズに、沖に出て船を沈め自殺するよう勧める。翌朝、沈没船の知らせが村に届くが、人々は関心を持たない。

この作品については、これまで何度かあらすじを読んだが、その都度一体どう解釈したらいいのか訳が分からないでいた。
主人公の悲劇的な人生を扱ったものなのか、それとも児童虐待という犯罪について、限りなくクロに近い容疑者が追い詰め
られてゆく話なのか・・。
だが、今回初めて音楽を聴いたらすぐに分かった。しかも、主人公の最初の歌(セリフ)を聴いただけですぐに、これが
彼の「悲劇」であることが分かった。

教会、信徒である村人たち、それらがこちらを圧するもののように描かれる。パイプオルガンもそう。
作曲家は愛する男性と共に海辺の村に住んでいたという。彼にとって村の普通の人々も、更に言えばキリスト教も、自分たちを
迫害する圧倒的な力だったのだろうか。

主役のスチュアート・スケルトンが、声も演技も素晴らしい。
エレン役のスーザン・グリットンも好演。
演出はすっきりしていて分かり易い。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする