ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

映画『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』&『シャトーブリアンからの手紙』

2014年12月04日 | 音楽

観てきました~。いつ観るかということだけで、やはり観ないと。

沖縄でもけっこうな上映期間です。当然・桜坂劇場。グッ・ジョブ しかし・そんなにアルゲリッチ・ファンが居るのか?クラシック音楽ファンがいるのか?は謎

予告編は日本語ですが、映画は字幕でフランス語です。この予告編はアングラ演劇みたいだけど、フツーに観やすいドキュメンタリーでNHKで放映しても不思議じゃない感じ。

映画『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』

 

どうよ今世紀最高のピアニスト」の生活は

 

コレを観てピアニスト志望が減らないかとてーも心配。この予告編でも分かるように、アルゲリッチ様は:ノーブランドの服にそのへんの・おばバッグにアクセサリーといえばビーズ系。3人のお子様もH&M系ぽいファッション(とはいえず・・)で『セレブ』とはほど遠い外見。

付き人もおらず、演奏旅行の移動も電車で駅弁(サンドウィッチだ!日本の駅弁では満面笑顔)。スーツケースも自分で持って、リハの合間にコーヒーもカフェまで自分で買いに行くという

 

ご自宅も・そのへんの日本の銀行の部長とかのがよっぽど豪華。というより・質素。食器も百金で買った?風。音大のピアノ教授の暮らしにも及ばない。分かっちゃいたけど『浄財』で暮らすのは「今世紀最高峰」でも・こういうことなのよね。1回のコンサートのギャラも「みのもんた」とか「タモリ」の1回のTV出演料のほうが・はるかに高額だと思うんだけど?だいたい荷物なんか自分で持たないだろコーヒーも買いに走らないよな暮らしぶりも彼らが「王様」だとしたら「鍵盤の女王」はプチ・トリアノン

 

これがねーテレビのCMとかにでも出てれば全く違う暮らしぶりなんだろうけどさー。アルゲリッチならそんな話もいっぱいあったと思うんだけど。楽器メーカーとか。愛煙家だからタバコ会社とか。出演までしなくても音源提供とか

 

それをしないから「今世紀最高」なのかもしれないけど。なんだかなー・・

この人はずっと癌と闘病中で、確か最初の皮膚癌の時は手術代がなくて、日本のファンが募金を募ってたんですよ

娘がこんな映画を作るというのは、やはり治療費のこともあるんだろうか。とても心配。娘たちも金運・薄そーだし。アルゲリッチは南米インディオと白人の混血なので、やはりユダヤ・ネットワーク(イルミナティ)の音楽家のような暮らし(故カラヤンは自家用飛行機所蔵。ナチスとも懇意で戦後も大活躍)はムリなのね。

 

2歳半からピアノの練習に明け暮れて、多大なストレスと体調管理にキリキリして:「そのへんの(幼少時に)遊び暮らしてぼんやりしてたヤツより将来、贅沢出来ないなんて我慢出来ない しかも!一生、練習に明け暮れるんじゃないのなんでアタシにこんなことさせるのよコレ(ピアノ)で儲かるわけこんなに苦労して」と音校に入ってから、母親を詰ったなじった(笑)。

「みっともないお金のことなんか口にするんじゃないの実力があればお金なんか自然に付いてきます」と・イリュージョン のような答えをオウム返ししてたなー・・バカ母め。あんなウソをこくから罰が当たって早死にしたのだ。

 

と・アルゲリッチも思ってそうだったなー 。「14歳から40歳の男(国際ビジネスマン)のような暮らしをずーっと続けてきた」と回想してたから。アルゲリッチの母はステマネ(ステージマネージャー)的な手腕もあったようなので、そこはさすがに極東の「町のピアノの先生」レベルとはワケが違うけど。

 

モーツァルトといいベートーヴェンといいアルゲリッチといいヤザワといい、全ての音楽家のスタートは:「ウチに天才が生まれた」という母親か父親の思い込みから始まるのだよ

 

実際には:アルゲリッチは天才以上の存在。まず生まれながらにして身体が頑健で精神的にもタフ。それでいて(若かりし時は)スレンダーで美人。70歳でもツアーで稼いで、2人の娘を養って、タバコも吸ってお酒も飲んでるのに声もしゃがれてないし肌も愛煙家とは思えない。何度か手術もしてるはずなのに、まだ現役で弾いてるというのもターミネーター的。しかも肺ガンなのにタバコも吸ってるし食事制限もしてなさそう。それに駅弁じゃ食事制限はムリ。こんな暮らしはフツー30代中盤からもう出来ないですよ。ムリに続けてたら数住岸子さんみたく40代で亡くなります。それに14歳から演奏活動をしていたらマイケル・ジャクソンのように精神疾患も抱えるはずなんだけど?ちょっとした鬱状態ではあるけど、演奏家なんてみんなこんなもんだし。しかも闘病中なんだからね。

 

器が違う とはこういう人のことを言うんでしょね。

 

レパートリーは:ポリーニのようにコンセプチュアルに幅広く網羅するタイプではないので、若い頃から弾いている曲で「肉体的な老い」を感じるというのは当然だろうけど、本番前のアガりぶりを見て:「こんな巨匠になってもまだアガるのか」と驚きました。救われないわー(ヤザワ的に)

 

演奏家という職業は、儲かって、遊んで、モテて、贅沢してるに違いないという幻想を吹き飛ばすこれぞドキュメンタリー 。アルゲリッチはモテただろうけどね

 

じゃ:幼少時からの夢「贅沢に遊び暮らす」ことができないヤザワは不幸せなのかというと、結局・乗り物酔い体質なので:飛行機もクルーザーも苦手だし、ヴェジになっちゃったので植物しか食べないし、肩こりもヒドいので重たい宝石はムリだし、趣味は読書にお絵描きにシュノーケルとさほどお金もかからないし(沖縄だからね )、畑と合気道もゴルフ代 とは比較にならない。犬猫の養育費もさほどかからないし。犬猫は「シャネルの首輪買って~ 」とかゆわないですから!

 

そもそもが質素な体質だったんですね。

 

かつて「働きマン」のように仕事した時期もありました。全身、筋肉痛なのでサロンパスを貼って、スースーして眠れないから睡眠薬を飲んで寝て、起床時は副作用で鬱なので濃いコーヒーを飲んで、考えてることは「あそこはどういう指使いにしたら弾けるか」とかで、読む本はコンピュータのマニュアルや語学の下調べばかり。さほど頑健な身体でもなかったので、そんな暮らしが続くと具合が悪くなって点滴を受けたり注射だったり。趣味の時間なんて当然ないし、マッサージと整体か病院で終わり。重圧の中、弾けば弾いたで評論家になんか書かれるし。唯一の娯楽のショッピングも「好きな服」より「旅行に便利なシワにならない汚れが目立たない(泥棒に)狙われない服」ばかり。だいたい音楽家なんてこんなものでしょうから、鬱気味で当たり前。売れっ子ならほぼ鬱なんじゃないだろうか。それでも自殺に至らないのは、クラシック音楽自体に癒し効果があるから。まず周波数がポップスとは違う。だから弾く事でも癒される。長年ピアノに費やしてきたのは、自分をも癒す技術の習得だったのかと、余裕ができた今は分かる。ピアノが弾ける人生は素晴らしいと、ようやく思えるようになりました。

 

アルゲリッチに娘がいて、付き人もしてくれてるようだし、話し相手にもなってるし、良かったな~と思います。これだけ忙しいとペットもそうそう飼えないし連れ歩けないしね

 

 

他、『ブリキの太鼓』の監督の映画も観ましたよ~。ヨーロッパの名匠と言われる監督は、やはり死ぬまでに第2次大戦のことを撮りたいのだなと分かりました。ルイ・マル監督の「さようなら子どもたち(Au revoir les enfants)」を彷彿とさせる静かなトーンの映画でした。銃殺シーンもありましたが、淡々としていてドキュメンタリーのよう。戦争になったら、こういう風に淡々と日々、人が殺されていくのが日常になるんでしょうね。ちなみに監督が気に入った!という書き下ろし音楽はヤザワの耳には3流の表現主義に聞こえました。フツーにシェーンベルグとか使えばいいのに。その点、ルイ・マルは音楽の趣味も良かったですね~。『死刑台のエレベーター』とか。

ところで当時のドイツはナチスを熱狂的に支持する国民が大勢いたのではなく、無関心な無投票によってナチスが政権に就いたのだそう。

色々、陰謀やら策略もあって分からないことも多いけど、よく調べて考えて14日の投票には行くつもりです

 

『シャトーブリアンからの手紙』予告編

 

 

 

 

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