ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

猛烈な残暑の中でも秋の気配

2018年09月17日 | 文化・芸術

        シャンペトル・リース。久しぶりにフルールで習ってきました


関西、四国方面の台風被害、北海道の地震と9月に入って国難とも言うべき災害にみまわれて、内省してます。仕事も溜まってるし。ふさぎ込んで考えてるというより、読書して映画観て勉強してと、ソロ活動が活発で、一見アクティヴなんですけどね。

読書熱に火がついた記事

森美術館館長 南條史生「20代のときは、とにかく書を読み旅に出よ」

Forbesの記事なので無料会員登録しないと読めないけど、私はけっこー面白くて読んでるんです。

 

南條氏が影響を受けたという「火宅の人」と「どくろ杯」は読んだこともないけど「まるで火宅の人状態だね」というように比喩されるほど有名小説だったなーそういえば。読んでみるか

 

と「火宅の人」を読んでみたら、ものすごく面白くて、「どくろ杯」も読んで、今は「ねむれ巴里」を図書館で借りてきたところ。金子光晴は日本語もキレイなので、やっぱり買って手元に持っていたい気もする。

 

Forbesの記事を読まなかったら、絶対に読まなかった本。たまには人の推薦する自分のテイストとは違う本を読むのも面白いなーと思いました。

 

売れっ子作家の壇一雄の右から左へと浪費する実生活と、売れない詩人の金子光晴の綱渡りのような放浪記というのが対照的でありながら、作家の性質と「突き上げて来る男性性に翻弄される様子」がそれぞれに描かれていて感動しました。いやマジで

 

金子光晴の「うんこが太そうな女だ」とか、「接吻をしたら黒糖の味がしそうな唇」だから自分のタイプの女ではない。とか、男同士の会話を聞いてるようで面白かったです

 

壇一雄の「知性と教養のある村西とおる」的な太い生き様も感心しました。本人も自分の元気さを持て余した故の行状の数々と自覚して私小説に昇華させたわけだけど、24時間アルコールが抜けない日々、何本もの連載を書いて、得意の料理を日々作り女にふるまい、愛し合い、子どもとも(たまには)遊びに行くという超人ぶり。アル中でなかったらビッグ・ダディのように子どもが沢山いて、100歳でもシャキシャキと生きてたような気はする。

 

興味深いのは:2人とも「女は分からない」とか「女は気まぐれ」とか、男性が言いがちなことを一切言わず書かず、実に女の気持ちをよく分かっていること。作家だから 洞察力が鋭いのかなー。フェミニズム的にも文句ないんじゃないでしょうか。でも壇一雄に:痔核を目にした時の新鮮な驚き、だったかな?みたいなことまで書かれた女優さんは真っ青になって怒ったんじゃないかとは思うんだけど?細かく観察してても、こんなに細部まで書き込んじゃダメだよね。

いや実に面白い すっかりハマったわ

 

映画は桜坂劇場で公開中のフランソワ・オゾンの最新作

『2重螺旋の恋人』予告編(8/4公開)

 

うーん。「婚約者の友人」もそうだったけど、「危険なプロット」(←今のところヤザワ的に最高傑作)のようなフレンチ・ユーモアが欲しいなー。でも次の新作も楽しみだし絶対観てしまうの

 

そして買ったまま埋もれていたLDも観ましたよ。観てないLDが何枚かあったのでLD機材も持ってるんです。全部DVD化して身軽になります

George Gershwin Remembered

[Import italien]

 
 

DVDではこれだけ。LDでは「想いでのガーシュイン」と日本語字幕のものがあったんです。貴重だわ〜

 

モーツァルトより3年ほど長生きした早逝の音楽家。やはり父親が教育パパゴンでありました。

 

ガーシュイン家は音楽家の家系ではないんですが、父親の教育センスというのが素晴らしく、息子の音楽の才能を目にしてピアノ教師を探してくるんですが、「この人は今ひとつだ」と思うと数ヶ月で首にして、違うタイプの教師を見つけてくるんです。素人とは思えない鼻の効き具合

 

ガーシュインは10歳前後で、オペラ曲ばかりをピアノで弾かせる教師に習い、ヘンだと思った父親(まともな判断ではあるけど、ものすごい英才教育ともいえる)が3ヶ月とかで首にして、今度はスケールとハノンばかり弾かせる教師に何ヶ月か習い、それも父親が首にした後、古典(バッハやらモーツァルトやら)からドビュッシー、シェーンベルク(ガーシュインの時代では現代音楽)まで弾かせる教師に巡り会って15歳まで学んだ後、

 

ここが大事なんだけど:出版社でポピュラー音楽のプロモーション・ピアニストとして働き出し、その出版社のために曲を書くようになってそれがヒットして売れっ子作曲家となって、ミュージカルを作曲し、オペラ(ポーギーとベス)を作曲し、ピアノ・コンチェルト(ラプソディ・イン・ブルー)でアメリカ音楽の巨星となったのでした

 

父親が「無駄。ヘン」と思った、オペラをピアノで弾かせた教師も、ガーシュインのキャリアにとっては重要な要素になっているんですね。そして10歳やそこらでドビュッシーやシェーンベルクなど当時の最先端の現代音楽を弾き、ポピュラー・ミュージック業界でヒットのコツを掴み、それをクラシック音楽に反映させたわけです。実に素晴らしい。

 

このDVDに若かりし頃のマイケル・ティルソン・トーマスが出ていて、ピアノを弾きながらガーシュインについて語ってるんですが、そのピアノがメチャクチャ上手で、こんなにピアノの上手な指揮者が沼尻竜助氏以外にいたのかと驚いた次第。これまで指揮者で買うオケ作品CDは、ほぼブーレーズだけだったんですが、T.トーマスの振ったものも聞いてみたくなりました。T.トーマスのパパもすごい教育パパだったんじゃないかなー・・

 

日本の音大に男子学生が少ないのは、「音楽で将来食っていけると思っているのか」と(父)親が大反対するからなんですが、「食っていく」以上に成功している音楽家のほとんどは教育パパゴンに押されて音楽家になっているんです。ママゴンだと、どうしても小さくキレイにまとまる傾向で「食うに困らない」レベルでストップしてしまうんです。女の子もだけど。日本の天才タイプが成功しない土壌に、父親の教育の不在を感じます。

 

ちなみにヤザワは自分のことを「天才。すべて」と思ってることが明らかになりました

なんでバレてんだ

 むかーし流行った「脳内メーカー」の結果がブックマークに保存されていて、「ん?」とポチッとしたら、色々あって、またしばらく遊んでしまったのでした

 

実際のところは:ヤザワが天才なら世の中は大天才とか超天才だらけだし、ストーカーのようなママゴンに育てられたので、天才の芽は摘まれてます。せめてヤザワが20歳の時に亡くなっていたら大成してたような気もするなぁ。作曲をしようとすれば「ピアノは中途半端になるじゃない」とか、コンピュータをいじってれば「また遊んでる」と邪魔したり。自分が出来ないことを子ども、特に同性の娘がやることが許せないという複雑な心理。自分の築いたコロニー(家庭)から独立させまいとする毒親の典型でした。いくら便利に下女として使えても、やはり成人式後に親と一緒に住むのは良くないと思います。

成仏してるようなので言いたいホーダイ まだ(あの世でも)会いたくないので長生きしたいんです。

 

まあここまで思われたら、それはそれで子育てとしては大成功なのかもですけどね。独立独歩する子どもに仕上げたということで。そもそも20歳も過ぎたヤザワと暮らして、まだ躾をしようと試みてる時点で、そんな猛獣使いのようなことは無理だと周りは思っていたようです

猛獣時代。この時代はレギンスとは言わずスパッツと言ってたんです。ウエスト・ポーチが懐かすぃ〜 全然流行ってない着方だったんですが、お気に入りで「スパッツ」をミニスカートの下に履いたり、ショートパンツに合わせたりしてました。何十年先取ってんだか。。巴里の水で泳ぎだした頃。これから洗練されていくんです

 

話はガーシュインに戻って・・

ガーシュインはゲイでもなさそうなのに、結婚もせずに亡くなりました。大成功した音楽家だったので、女性出入りは多く、選び切れなかったのかもしれないけど。ただDVDで観る限り、コロニーの絆が強すぎて赤の他人が入り込む余地はなかったような感じ。早世したので、無駄な(結婚生活)時間を費やさず、充実した人生だったのかもしれないけど。

 

なんか音楽家(歌手と管楽器以外)の自伝とか記録は身につまされたり切なくなるものが多いですね。。。

美術や小説とか作家と違って、唯一・英才教育が必要なジャンルなせいなのかもしれません。

あ。バレエもそうか。

 

他、内省的かつ行動的な活動で、バード・ウォッチング(沖縄の野鳥観察@桜坂市民大学)の講座に参加しています。

 

札幌から大阪に帰省中に台風21号に遭い、その後に札幌に戻ってワナワナと電話で災害報告をしていた松永加也子さんに・「アタシ、バード・ウォッチングの講座申し込んだの」と・自分の近況も報告したら、「えぇ〜」と震災級に驚かれたのでした

 

まあヤザワはヴェジになったわけだし畑もやってたし、野鳥観察しても別に不思議じゃないか。とは思い直した様子でしたが、長らく猛獣時代を知ってる人は:「それはヤザワではない」と、背乗りされたかクローン矢沢なのではとも思うようです

 

やってみたいと思ってたワケでもなく、送られて来た映画の予定表と市民大学のパンフを見ていて、この講座を見つけた途端に電話をしてたのでした。突発的。だいたいそうなんだけど。

 

座学も含めて既に2回行ってるんですが、これが思ってたより面白く、しかも「呼ばれて」参加したのではないかとすら思えて。

 

メシアンの「鳥のカタログ」第1巻の3曲目:Le Merle Blue(イソヒヨドリ)が、実は家の周りでさえずっていたというのを知りました。引っ越して来た当初から:「なんてキレイな声の鳥なんだろう。しかも”幸せの青い鳥”みたいで。まるでメシアンの鳥類譜だわ」とは思ってたんですが、特に鳥に興味も無く調べもしなかったんです。

 

へえぇーーーーーLe Merle Blueがウチのベランダに止まって鳴いてたのか

 

ということを知って、楽譜を広げてCDを聞いてみたり。と・松永さんに言ったら、「それは面白そうね」とやはり興味を持ったようなのでした。

 

沖縄にねえ。Le Merle Blueがねえ。しかもウチの周りにねえ。

「さえずりは柔らかな澄んだ声で、かなり美声」ーサントリー愛鳥活動より抜粋

 

弾いてみたくなりましたよ。聞こえたら一緒にさえずるかな?

 

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