goo

座頭市 血煙り街道


監督 三隅研次
出演 勝新太郎、近衛十四郎、高田美和、小池朝雄

 最近は少なくなってきたが、日本映画の主力は時代劇だった。その時代劇の最も重要な見せ場が、立ち回り、殺陣である。いろんな時代劇俳優がいたが、その中で立ち回りが最も上手いとされているのが、近衛十四郎だ。
 近衛十四郎、松方弘樹のお父さんである。松方も立ち回りが上手いが、近衛の立ち回りはスピードがあり豪快である。
 近衛十四郎というと、小生たちの世代はコメディ時代劇という印象がある。テレビ時代劇「月影兵庫」「花山大吉」など、品川隆二とのかけあいが笑えた。この時代劇シリーズはこのお笑いもさることながら、近衛十四朗の立ち回りも大きな魅力だった。
 座頭市。このシリーズの魅力は、カツシン演じる座頭市のキャラとともに、座頭市の立ち回りであることは多くの人が賛成してくれるだろう。逆手に持った仕込みを凄まじいスピードで振るう。大変にアクロバチックな立ち回りである。この映画ではなかったが、座頭市はいろんな曲斬りを見せてくれる。それもこのシリーズの大きな魅力だ。
 カツシンの立ち回りはアクロバットで変格で異端なもの。それに対して近衛の立ち回りは本格で正統なもの。この二人が、ラスト、雪の中で切り結ぶ。ここの二人の立ち回りは見ものである。腰の座った近衛の剣さばきと、電光石火のカツシンの居合い。短い時間であったが、日本映画時代劇の立ち回りの醍醐味を満喫した。
 この座頭市シリーズで、カツシンの相手役として、三船敏郎、天地茂などいろんな俳優が立ち回りの相手を務めてきたが、この映画の近衛十四郎との立ち回りがシリーズ最高ではないだろうか。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )