雫石鉄也の
とつぜんブログ
男はつらいよ 噂の寅次郎
監督 山田洋次
出演 渥美清、大原麗子、志村喬、倍賞千恵子、室田日出男
シリーズ22作目。このシリーズの定番パターンの一作。この「男はつらいよ」ストーリーはいつも同じで48作もあるのに、それぞれの作品は、それぞれ楽しめる。寅次郎の渥美の話芸が楽しめるし、同じような役だが、演じる俳優が違うので違いが楽しめる。
寅がほれる美女。旅先で出会うエライ人。最初は寅はその存在を知らないが、美女の身近にいる好青年。ま、だいたいこんな人物で構成されるストーリーだ。この「男はつらいよ」は。
寅がほれる美女。いわゆるマドンナ。今回は大原麗子が演じた。亭主と別れようとしているべっぴんさんで、寅屋に店員として就職する。寅屋の店員だから寅に最も接近遭遇したマドンナではないか。今回は寅は柴又でマドンナと出会ったが、旅先でも女性と出会う。演じている女優が泉ピン子だからマドンナというキャラではないが、旅先で出会い寅と仲良くなり、柴又まで訪ねて来るから、マドンナの機能は果たしている。だからこの作品はダブルマドンナ体制の作品といえよう。
旅先で出会うエライ人。嵐寛寿朗、宮口精二、片岡仁左衛門、三船敏郎といった大御所的俳優が演じるが、この作品では志村喬。博の父で学者。で、寅はこれらのエライ人の話に感銘を受けるのだが、今回は今昔物語に感心。柴又に戻って寅屋の面々に今昔物語のいちエピソードを話すのだが、このあたりの渥美の話芸は実に見事。落語でなし漫談でなし、渥美独特の話芸だ。
マドンナの身近な好青年。ま、たいてい映画のオチはマドンナは寅に好意を抱くのだが、最後はくだんの好青年を選ぶ。米倉斉加年などが演じるが、今回は室田日出男。この室田好青年役は、小生は少々違和感を感じた。室田も芸達者な俳優だから、無難にこの役を演じていたが、深作欣二が好きな小生にとって、室田は川谷拓三などとともに東映ピラニア軍団のメンバーで、「仁義なき戦い」シリーズなどで、ヤクザをよくやっていた俳優さん。どうも寅さんの好青年役にはそぐわなかったな。
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