風に吹かれすぎて

今日はどんな風が吹いているのでしょうか

自覚

2012年07月09日 | 

何かを遠くに求めていた。
手の届かないところに求めていた。
遠くに求めろと誰かに言われた気がして求めていた。
その誰かとは誰なのかと見渡してみれば、誰もいなかった。

いま、思う。
陽の光の下で両手を伸ばし空を見上げる。
この手が触れるものを大事にしようと。
誰かの囁きに耳を傾けず、森を抜けてくる風の音に耳を澄まそうと。

折しも月は中天にラグビーボールの形で浮かんでいる。
いつもながらそのメッセージはぼくには伝わらない。
伝わらないメッセージだらけのこの世界。
自分の発するメッセージくらいは明確にしていこう。

上昇する快楽もあれば、堕落する快楽もある。
快楽は神々の支配下にはなく、邪神のコントロール下にある。
神々のいる場所は「至福」だ。
あれやこれやで七転八倒する快楽の出番はない。

快楽。
人はこのくびきからは離脱できない。
ならばそれを嫌悪することなく大急ぎで渡ってしまえ。
そしてヒヤリとした月の光の下に自分の裸身を晒すのだ。

人々のうるさい思い煩いが消えたとき、万物は鳴り止む。
万物が鳴り止むとき、天空の星々が控えめに自分のパートの楽曲を奏で始める。
そして天空に一筋の閃光が走る。
「人に語らせよ」と。

そして、人々はめいめいの快楽を追い始める。
お金、名声、女と男。
神々は求める。
自覚せよと。