風に吹かれすぎて

今日はどんな風が吹いているのでしょうか

委ねる

2010年05月15日 | 雑感
今朝新聞を見てましたら、日付のところで「ん?」と目が留まりまして、何の日だっけと思い返しましたら、会社の創立記念日でした。
12年前の今日、会社を設立して、一ヵ月後にはアメリカに旅立ちました。
そういうわけで、会社は設立したものの、2年ほどはまったくの休眠状態でした(笑)

それから帰国してさて何をしたものかと思いました。
何をするもしないも、とりあえず自分が作った会社があります。
マンションの一室を借りて事務所としました。
古いお客さんがぽつぽつと連絡をくれて、商売を始めました。
それから最初の店を持つまでには二年ほどかかったような気がします。

商売というのはこちらの都合のいいようには物事が動きません。
お金がないからといって誰かが買ってくれるわけでもありませんし、お金があればいい品物を仕入れられるわけでもありません。
特に、ぼくが扱うようなアンティークのジュエリーやら美術品というものは、まったくの生活非必儒品です。
仕入れたからといって、いつ誰にいくらで売れるのか、計算できるはずもありません。
こつこつ真面目に働けばいいものでもありません。
不真面目に働いたら、実も蓋もありません。
じゃあどういう心構えでいたらいいのか。

もうなんというのか、「委ねる」というしかありません。
信じるというのとはちょっと違います。
ただただ、委ねるだけです。
たまたま手に入ったものを、誰かがいくらかでいつか買う。
そんな感じです。

もちろん、これを誰にいくらで売ろうとするビジネスらしいことができることも年に何回かはあるのですが、
そればかり狙うといろいろな意味でコケます。
前職では、ぼくの役目はそれをひたすらすることでしたから、不得意ではありません。
ただ、それをし続けると、お客さんもぼくも心が疲弊していきます。
お互いの心にゆとりがなければ、アンティークの存在意味さえ失われていきます。

とにかく、資金ゼロどころかマイナスから始めたこの会社ではあります。
多くの方々の支えと援助と叱咤激励があってこそ何とか生き延びてこられました。
ひたすら感謝していればいいものを、調子に乗ったり脇道にそれたりばかりしています。
これからますます状況は厳しさを増すのは分かりきっています。
だからといって、あわてても仕方がありません。
いったん委ねたのなら、最後まで委ねるのが筋というものでしょう。
なにに委ねるのか。
天に、人に、自分の心に委ねるのでしょう。

そんなわけで、土曜日の夜、店で焼酎を飲みながら創立記念日を祝してひとりで乾杯をしています。