All Photos by Chishima,J.
(フルマカモメ白色型 以下すべて 2012年7月 北海道厚岸郡浜中町)
(NPO法人エトピリカ基金会報「うみどり通信」第5号(2012年10月発行)掲載の「2012年度霧多布沖合調査(その1)」を分割して掲載、写真を追加 一部を加筆・訂正)
一部区間で曇っていたものの、大部分で晴れて視界も良好、波も穏やかでした。潮目に沿って多数のヒレアシシギ類が採餌しており、見応えがありました。また、海水温の高い時期に現れるマンボウやカンムリウミスズメの姿も確認され、盛夏の様相を呈してきた霧多布沖でした。
この日も多数観察されたフルマカモメ(カモメの名が付いていますがミズナギドリの仲間です)には、全身灰褐色の暗色型と白っぽい白色型の2つの型があり、北太平洋では南に行くほど暗色型の占める割合が高くなります。分布域の南側にあたる北海道近海では大部分が暗色型で、昨年の調査でも白色型は日によって1~数羽が見られる程度でした。それが今年は、暗色型の割合が高いものの、白色型も6月以降毎回出現し、その数も10~数十羽に上っています。これもツノメドリ同様、今年特有の現象といえそうです。その時々の海の環境に対応じて、ダイナミックに分布を変化させるのが海鳥のようです。ちなみに、暗色型と白色型の分布の傾向は北大西洋では逆転し、英国で撮影された本種に白色型が多いのはそのためです。
フルマカモメ暗色型と白色型(中央)、ハイイロミズナギドリ(最後尾)
ハイイロヒレアシシギとアカエリヒレアシシギ(手前右側)
(2012年8月30日 千嶋 淳)
*本調査は地球環境基金の助成を得て、NPO法人エトピリカ基金が実施しているもの