鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

霧多布沖の海鳥・海獣⑫ ツノメドリ(7月8日)

2013-04-07 23:26:40 | ゼニガタアザラシ・海獣
Img_9887
All Photos by Chishima,J.
ツノメドリ若鳥 以下すべて 2012年7月 北海道厚岸郡浜中町)


NPO法人エトピリカ基金会報「うみどり通信」第5号(2012年10月発行)掲載の「2012年度霧多布沖合調査(その1)」を分割して掲載、写真を追加 一部を加筆・訂正)


 曇りながら霧や波は無く、快適な航海でした。沖合では普段手足を出して休んでいるだけのキタオットセイが小群で、イルカのように豪快なジャンプを繰り返していたのが印象的でした。
 この日最大のトピックは、やはりツノメドリでしょう。オホーツク海北部やベーリング海等、ずっと北の海で繁殖する本種は、北海道に住んでいても滅多に会うことができません。そんな鳥が次から次に、全部で9羽現れました。一日の確認数としては、国内最高ではないでしょうか。嘴の地味な若鳥ばかりでしたが、見慣れてくると体下面の純白さで、ウトウやエトピリカとは容易に区別できました。同時期に十勝や根室の海上でも確認され、本州でも観察情報がある(未確認)ことから、この7月の北日本海上には相当数の本種が来ていたと考えられます。何故かはわかりません。7月初めまで例年より低めだった海水温の影響でしょうか?海鳥をやっていると、わからないことのあまりの多さに驚くと同時に、それらに切り込んでゆく興奮を覚えることがありますが、まさにそんな日でした。ツノメドリは6月と7月2回目の調査でも各1羽が確認されています。また、エトピリカは若鳥が7羽観察され、昨年ほどの数ではないにしろ、沖合に若鳥が飛来している状況が明らかになって来ました。


キタオットセイ
Img_9412


エトピリカ若鳥
Img_9515


(2012年8月30日   千嶋 淳)

*本調査は地球環境基金の助成を得て、NPO法人エトピリカ基金が実施しているもの