精神的自由権と経済的自由権の合憲性審査に関する二重の基準論(考え方)に関しては,行政書士試験の憲法でも十分出題される可能性がありますので,ここは必ずやっておかなければならない論点のひとつだと思います。
「問題」
人権制約立法の合憲性審査に関する次のアからウまでの各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。
ア 判例は、精神的自由に対する制約の合憲性を経済的自由に対する制約の合憲性より厳しく審査すべきであるという二重の基準論を採用し、表現活動に対する制約については、表現内容に基づく制約だけでなく、間接的・付随的制約の合憲性についても厳格な審査を及ぼしている。
イ 二重の基準論の一つの根拠として、精神的自由への制約の場合は、民主政の過程自体がゆがめられるから裁判所の積極的な審査が要請されるが、経済的な自由への制約の場合は、裁判所は、民主的手続の中でなされた立法者の判断の合理性を尊重すべきである、ということが挙げられる。
ウ 裁判所は、合憲性審査に当たり人権制約立法の根拠となる立法事実の存否を審査する必要があるが、その際立法事実についての立法者の判断をどの程度尊重すべきかという問題は、いかなる基準で合憲性を判断するかの問題とは無関係である
(平成25年度司法試験 短答式公法系科目 第19問)