tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

賃金雑感-労働とおカネの接点- 

2023年12月28日 17時41分50秒 | 労働問題

今年から来年にかけて、来春闘と中心に、賃金に関わる議論が活発になりそうです。

普通なら、金融政策で金利水準や金利や通貨の量的調節、それに絡んで国債発行の問題などが専門の日本銀行さえも、来年の賃上げがどうなるかに強い関心を持っているのです。

このブログは、実は賃金というのは大変大事で、経済社会の安定的な発展の基本的部分に深く関係していると考えています。

経済社会は基本的に、人間とカネの関係、そのバランスで動いているというのは、昔から経済学者の研究のベースになっていたようです。

経済原論では、生産の3要素として、土地、労働、資本と教えてくれましたが、今は土地は資本の中に含まれ、産業活動は「人間と資本」で成り立っていると言われます。

このブログでは企業というのは「人間が資本を使って付加価値の生産をするシステム」と定義しています。

そして企業などが作った付加価値の総合計がGDPで、国民経済はその付加価値を生産要素である人間(労働)と資本に分配し、翌年の生産の準備をするという事になっているのです。

付加価値が順調に増えれば労働に分配される分も順調に増えて行くわけです。

付加価値が労働に分配される具体的な形が「賃金」ですから、「賃金」は「おカネと労働の接点」なのです。

2つある生産要素の接点が賃金なのですから、こんな重要なポイントはありません。つまり賃金決定の在り方を見ていれば、生産活動、経済活動がどうなるかという事は一番よくわかるという事になります。

先ず、分配が賃金の方に寄りすぎると資本が不足して生産が増えない。資本により過ぎると生産は増えても需要が無いから生産物が売れない。インフレとデフレの原因です。

賃金の配分が不公平になりますと、格差社会になって社会に不満が生まれ、社会が混乱したり劣化したりします。

では、政府は何をするのかと言いますと、人間への分配と資本への分配の夫々から税金を取って、政府への分配とし、それを使って、その国の経済活動が順調にいくように、適切なルールを作って、国全体としての調節をするのが役割でしょう。

大方の経済問題は、これらのプレーヤー(政・労・使)の行動が自分の利害を優先して、全体の調和に失敗するのが原因です。

複数の失敗が重複すると、解決はなかなか難しいことになります。日本経済の現状は、政府、労働、使用者の3者がそれぞれ失敗したことによるように思われますが、政府の失敗が最も大きいようです。

問題解決のために、金融専門の日銀が、学者の総裁を迎え、客観的な目で見て頂こうという事のようですが、今回は日銀が「賃金」に注目している事が示しますように、「賃金決定」がやっぱり重要な日本経済復活の鍵という事になるのでしょう。


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