tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アベノミクスの基本的な勘違い

2016年06月04日 10時07分02秒 | 政治
アベノミクスの基本的な勘違い
 世間一般では、アベノミクスは失敗したという意見が多いようです。
 確かに消費税の2パーセント増税が出来る経済状態を実現すると確約して、それが出来なかったのですから「失敗」と言われても仕方ないでしょう。

 しかしアベノミクスにも成功した部分もあることは否定できません。黒田日銀がやった2度の異次元金融緩和による40円幅の円安です。これで日本の デフレ時代は終わったのです。
 その後の財政や構造改革が 巧くいけばよかったのですが、これが駄目でした。

 原因を究明すれば、いろいろなものが出てくるでしょう。高齢化で介護問題、出生率が上がれば保育問題、自然災害、アメリカの政策転換、中国経済の減速、一流企業の蹉跌、などなどです。

 しかし本当の原因は些か違うところにあるように思います。
 為替(円安)は、国際投機資本を巧く脅かせば実現するようです(最近は逆襲されていますが)。しかし、国民相手の国内政治になりますと国民が理解し納得しないと進みません。

 ですから国内問題は思うようにいきません。安倍さんが賃上げしようといっても肝心の 労働組合が動きません 経営者も半身です。
 求人倍率は上昇しましたが、 非正規ばかり増え、そのため平均賃金はあがらず、格差社会化が顕著で、安倍さんの言う 介護や保育の職場の改善は容易ではありません。

 一億総活躍のスローガンは聞かれますが、いくら政府が旗を振っても、一億がその気にならないと「どう活躍するの」などとシラケて、世の中は動きません。
 これは企業と同じでしょう。トップが号令をかけても、従業員がその気にならないと何も動かないというのが現実です。

 ですから、問題はスローガンや号令、政策目標の当否ではなく、「いかに人を動かすか」、「如何に人々にやる気になってもらうか」のやり方にあると考えるのが妥当でしょう。

 そのためにはデール・カーネギーの『人を動かす』のような心理学的なアプローチも大事でしょう。しかし日本ではすでに書きましたように「みんなと相談する」つまり「組織のメンバーが意思決定に参画する」というアプローチが 聖徳太子の十七条の憲法の時代、さらに遡れば縄文時代からの伝統的な作法なのです。

 こうした視点から見れば、安倍政権の決定的な誤りは、「三本の矢も、一億層活躍も素晴らしいでしょう、だから国民はついてくるはずだ」とトップが一人で決めて「決める政治」を実行したことにあるといえるでしょう(ここでは敢て憲法問題には触れませんが)。
 政策の中身は兎も角、そのアプローチが日本社会に合っていないのです。

 素直に言い換えれば、日本という「コンセンサス社会」でトップダウンが通用すると思い込んでいることが決定的な誤りなのです。

 問題は政策の当否よりも「アプローチの在り方」ですから、いくら安倍さんがこれがいいと思っても、ついてくるのは仲間内だけで、日本全体ではどうにも進まないという現状になっているのです。

 おそらく安倍さんには「コンセンサス社会の作法を理解すること」は性格上難しいようです。そうなると、どんな立派なスローガンを掲げても、国民は思うようには動かないのではないでしょうか。
 
 安倍さんも心の中では、なんでこんなにうまくいかないのだろうと思っているのではないかと拝察しています。

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