tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

必要なのは需要サイドへの政策

2018年05月29日 22時24分19秒 | 経済
必要なのは需要サイドへの政策
 昨5月28日、経済財政諮問会議があって、PB(プライマリー・バランス)の目標年次や、来年10月の消費増税(8%→10%)などが議論され、総理のまとめの発言があったと茂木内閣府特命担当大臣が記者会見で述べています。

 茂木大臣によれば、PBの達成は2025年を「目指すべき」と、何となく及び腰で、消費増税もあり、中間目標も目標より指標だそうです。
総理から「団塊の世代が75歳以上に入り始める2022年度の前までの3年間で、持続可能な経済財政の基盤を固めていく必要がある。本日の議論を踏まえ、私に、来月、骨太方針を取りまとめられるよう、具体案を作成してほしいと指示があったとのことです。

 記者との質疑応答では、消費増税前後の「駆け込み需要」と「その反動減」の問題や、PB達成の中間目標などのやり取りがあったようで、民間議員からは、経団連の首脳企業からが3%以上の賃上げをおこなったとの回答があったが、これが消費の活性化につがることを期待する、また安倍政権の経済運営は需要面では大きな成果を上げてきたが、これからはサプライサイドの強化成長していくビジョンが必要などの意見があったとのとことです。

 政府は、今国会で、「働き方改革」が最重要法案と言っているようですが、これもより効率的な働き方をしようということで、サプライサイドの注目した政策でしょう。
 この重要な会議で何故サプライサイドの話ばかり出るのでしょうか。

 今、日本経済で問題なのは、消費不足だということは明らかでしょう。賃金が上がっても、その割に消費は伸びず、貯蓄が増えるのです。そのトータルの結果は「経常収支の黒字」で示されます。経常黒字は20兆円を超え、じりじり増え続けているのです。

 そして、消費が伸びない、家計は消費を抑えて貯蓄する理由はと言えば、国民の「将来不安が原因」と誰もが考えています。
 老後の安定した生活のためにはには3000万円必要と言われ、最近ではそれでは足りないという意見も多いようです。結果は消費を切り詰め貯蓄、貯蓄です。

 現在50歳前後のサラリーマンは誰しも公的年金は減額される、私的年金は確定拠出で、給付はいくらになるかわからない、社会保障関連の料率は確実に上がるし、医療費の自己負担率は上がりそう、将来不安は根強く、家計は貯蓄に励むが、ゼロ金利なので物価上昇で目減りするばかり、政府はもっと物価を上げようという、どう考えても、老後生活には自信が持てない・・・、といった所が本音でしょう。

 経済財政諮問会議のメンバーは政治家、経済人、経済学者(1人)で消費者、生活者の代表はいません。メンバーがサプライサイドの人ばかりだからでしょうか、GDPを増やせばいい、多少インフレでもいい、人手不足だから、「働き方改革」で生産性を上げればGDPが増える、賃金も上げられる、そこまでで思考ストップのようです。

 家計がカネを使って、国内で物が売れなければ、供給が増えても、また輸出が増えるだけで、トランプさんに文句を言われるのが落ちでしょう。
 1800兆円を超える個人貯蓄を持つ国民の将来を安心できるものにして、 現在の消費を増やさない限り、GDPは増えません。

 そこを忘れて、また来年の消費増税もやめ、財政赤字を増やして、国民の将来不安をさらに深刻にするような愚策はもうやめてほしいものです。

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