アメリカの雇用統計とアメリカ経済
前々回まで2回、雇用の発生について見ましたが、今回はアメリカの雇用統計です。
国際経済の場でみると、今最も注目されているのはアメリカの雇用指標でしょう。アメリカの雇用統計は毎月最初の金曜日に発表されますが、世界中のトレーダーやギャンブラー(失礼)が、挙ってそれに注目しています。
アメリカの雇用統計は、アメリカ経済の動きを端的に反映するのという事で、重要なのは、その数字いかんに、世界の為替レートも株価も敏感に反応するからです。
本来雇用指標というのは景気の遅行指標で、経済が順調であれば雇用が増え、不調なら増えない(減る)という事で、景気の動きを検証できるという事なのですが、最近のアメリカ雇用の見方はそうした伝統的なものとは大分違います。
今のアメリカ経済の見方は「消費中心」ですから、雇用が増えれば消費が増える、消費が増えればアメリカのGDPが増える、景気が順調に回復、となるわけです。
そうなると、それに真っ先に反応するのがマネーマーケットです。まず為替レート、FXではpips単位(ドル・円なら1銭単位)の動きでもレバレッジを利かせた架空市場が動きます。当然株価も動きます。
こういう取引はコンピュータがプログラム通りに、その瞬間に最も利益が出るように通貨や株や関連デリバティブを売買するのですから、実体経済とは無縁です。サイコロの目の代わりに、雇用指標という予測しやすい数字を利用する(ギャンブルは賭博場で1-3)だけです。
これは、繰り返し書いて来ましたように、マネー資本主義の生んだ鬼子で、リーマンショックやヨーロッパ金融危機を演出し、批判は多いのですが、規制は難しいようです。
株価を上げて第3の矢の足しにしたい安倍政権は、これを巧く利用したいと思っているようですが、提灯をつけるのでは、本体(米系資本)にはとても敵いません。
鬼子の跳梁は別として、雇用が消費に繋がり、アメリカ経済の回復に繋がるというのは、それなりの経済論、経済予測でもあります。しかしここにも落し穴があります。
金融取引ほどではありませんが、今日のアメリカ流経済論は、矢張り短期的視点が特徴です。当面良ければ、そのあとはまた考えよう。という事でしょうか。
アメリカはテーパリング(信用拡大の抑制)をやって、それでも景気が落ち込ませないという難路を歩きつつ、何とかうまくいって、ゼロ金利政策脱出も可能と言っています。
それが巧く行けば、短期的には、それも結構でしょう、しかし、そうした消費拡大、経済拡大の背後で、拡大に追いつかないのが生産力、競争力です。
その結果は経常収支の赤字の拡大です。シェールガスも出て助かっているはずですが、IMFの予想によれば、今年のアメリカの経常赤字は、昨年の3,793億ドルから3,911億ドルに増加するそうです。
赤字は毎年外国からのファイナンスで埋めなければなりません。もうそんなに簡単にアメリカに金を貸す国もないでしょう。
こう見て来ると、アメリカがTPPでガムシャラに押してくるのも解る気がします。
前々回まで2回、雇用の発生について見ましたが、今回はアメリカの雇用統計です。
国際経済の場でみると、今最も注目されているのはアメリカの雇用指標でしょう。アメリカの雇用統計は毎月最初の金曜日に発表されますが、世界中のトレーダーやギャンブラー(失礼)が、挙ってそれに注目しています。
アメリカの雇用統計は、アメリカ経済の動きを端的に反映するのという事で、重要なのは、その数字いかんに、世界の為替レートも株価も敏感に反応するからです。
本来雇用指標というのは景気の遅行指標で、経済が順調であれば雇用が増え、不調なら増えない(減る)という事で、景気の動きを検証できるという事なのですが、最近のアメリカ雇用の見方はそうした伝統的なものとは大分違います。
今のアメリカ経済の見方は「消費中心」ですから、雇用が増えれば消費が増える、消費が増えればアメリカのGDPが増える、景気が順調に回復、となるわけです。
そうなると、それに真っ先に反応するのがマネーマーケットです。まず為替レート、FXではpips単位(ドル・円なら1銭単位)の動きでもレバレッジを利かせた架空市場が動きます。当然株価も動きます。
こういう取引はコンピュータがプログラム通りに、その瞬間に最も利益が出るように通貨や株や関連デリバティブを売買するのですから、実体経済とは無縁です。サイコロの目の代わりに、雇用指標という予測しやすい数字を利用する(ギャンブルは賭博場で1-3)だけです。
これは、繰り返し書いて来ましたように、マネー資本主義の生んだ鬼子で、リーマンショックやヨーロッパ金融危機を演出し、批判は多いのですが、規制は難しいようです。
株価を上げて第3の矢の足しにしたい安倍政権は、これを巧く利用したいと思っているようですが、提灯をつけるのでは、本体(米系資本)にはとても敵いません。
鬼子の跳梁は別として、雇用が消費に繋がり、アメリカ経済の回復に繋がるというのは、それなりの経済論、経済予測でもあります。しかしここにも落し穴があります。
金融取引ほどではありませんが、今日のアメリカ流経済論は、矢張り短期的視点が特徴です。当面良ければ、そのあとはまた考えよう。という事でしょうか。
アメリカはテーパリング(信用拡大の抑制)をやって、それでも景気が落ち込ませないという難路を歩きつつ、何とかうまくいって、ゼロ金利政策脱出も可能と言っています。
それが巧く行けば、短期的には、それも結構でしょう、しかし、そうした消費拡大、経済拡大の背後で、拡大に追いつかないのが生産力、競争力です。
その結果は経常収支の赤字の拡大です。シェールガスも出て助かっているはずですが、IMFの予想によれば、今年のアメリカの経常赤字は、昨年の3,793億ドルから3,911億ドルに増加するそうです。
赤字は毎年外国からのファイナンスで埋めなければなりません。もうそんなに簡単にアメリカに金を貸す国もないでしょう。
こう見て来ると、アメリカがTPPでガムシャラに押してくるのも解る気がします。