tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

技能実習制度を生かすには

2017年11月24日 08時49分46秒 | 国際関係
技能実習制度を生かすには 
 最近の我が国の人手不足は、特に生産性の上がりにくい分野、対個人サービスや農林漁業関連、手作業が必要な中小企業などで顕著です。 
 そうした中で、期待されているのが技能実習制度の拡大です。

 勿論この制度は、海外から労働力を受け入れる制度ではありません。日本に来て、日本語や日本の技能を学んでもらい、国に帰って、それをその国の産業の発展に役立ててもらおうという国際貢献を目指したものです。

 現状、在留期間は最長5年で、1年目の初めに講習を受け、現場に入って技能を習得、2、3年目は技能の習熟、4、5年目は技能の熟達の期間という事になっています。
 講習の期間は手当が支給され、実習に入ると賃金が支給されることになっています。
 
 賃金は正式な統計はないようですが、一般的には、月額12~15万円程度のようです。アジア諸国からの希望者は多いのは事実のようです。

 希望者が多いという事は、それだけ人気があるという事でしょうが、往々マスコミでも取り上げられているように、問題もないわけではありません。

 勿論、多くの受け入れ企業は、実習生よし・受け入れ企業よしのwin=winの関係のようですが、日本側にも、時にブラック企業あり、研修生側にも、脱走⇒不法滞在化などがあるようです。
 最近では、国に帰っても習得した技能を使わず、日本語教師などしていて、技能の移転が行われていないことが多いといった指摘もあります。

 ネットでも、随分批判的な意見もありますが、こうした制度を日本が持ち、アジアの若者の可能性を広げていることは、矢張り重要なことではないでしょうか。

 最も残念なのは受け入れ企業の中にブラック企業が存在することでしょう。希望をもって日本に来たアジアの若者に、日本は、日本人は、こんなものだったのかと反日感情を持たせるようなことは、日本人として日本を貶める行為以外の何物でもありません。

 多くの場合、受け入れ企業の経営者や担当者は「お父さん」などと呼ばれ、敬愛の的であるようですが、それでこそ、日本が、草の根でアジアから愛され尊敬される国になる礎ではないでしょうか。

 習熟した技能が伝わらないという問題も、残念ではありますが、最長5年の間に、日本で学ぶことは、技能だけではないでしょう。日本での経験が良いものであれば、そうした広い経験と、日本で学んだいろいろな事は、アジアの若者の自国での生活の中で、その国の社会に伝わっていくはずです。

 技能実習制度は、途上国の発展にとって重要な「技能」をその「コア」に置きながら、本質的には、日本という国の良さをアジア諸国の若者に知ってもらうという意義を持っているのではないでしょうか。

 そのためにも、日本における実習期間があらゆる面で実習生から評価されるようなものになるよう、政府、関係機関、関係者の一層の努力を期待したいと思いますし、多分その結果は、技能実習制度の評価を高め、その拡大の可能性を広げることになるのでしょう。

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