tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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裁量労働:「無理」が通らなくてよかったですね

2018年03月01日 12時06分23秒 | 労働
裁量労働:「無理」が通らなくてよかったですね
 安倍総理が、働き方改革関連法案で、裁量労働制の適用業務拡大の所の全面削除を指示したようです。
 普段から、「丁寧に」「真摯に」と繰り返している総理ですから、ここまで準備の杜撰さが知られてしまえば、矢張り撤回を選択しなければならないと考えられたのでしょう。

 厚労省にも当然統計の専門家はいるわけで、いかなる統計がいかなる用途に活用できるかなどは良く解っているはずですが、目的の違う業務統計を法律作りに生かせるなどという考えが、大臣にまで上がって行って、それを総理が鵜呑みにする、といったことが昨日まで、残念ながら罷り通っていたようです。

 国会論議でも、労働基準監督官が労基法などに照らして問題がないかを立ち入り検査するときに、確か裁量労働制で働いている者(シャ:従業員)で、労働時間の平均的な人短い人、長い人などの時間を聞くので、それを集計したという説明がありました。

 聞き取りや集計に間違いがあって、最終的に辻褄が合わない件数が多すぎ、問題になったようですが、本来統計を利用する趣旨からいえば、裁量労働が適用される全国の従業員の母集団を確定し、そこから、統計調査の手続きに従ってサンプリングが行われ、統計誤差が最小になるよう設計されて初めて信憑性のある統計になるはずです。

 そういったことを熟知している人がいながら、全く信憑性に欠ける数字を「なぜ出してしまったか」に問題の本質があるような気がします。
 推量すれば、「総理はこういう数字を望んでいる」という事を理解した途端、いわゆる「忖度」が発生するのでしょう。
 私の推量では、国会で問題になっているほとんど問題において、こうした「忖度の状況が発生する可能性は多分にあると考えられます。

 勿論総理は何も指示していませんし、我が官僚は正しい仕事をしていると信用して、その作成文書をお読みになっておられるのでしょう。

 思い過ごしであれば大変結構ですが、矢張り何が正当か、何が正しいか、労働や生活をよくするためには、いかなるデータを選び、それをどのように説明すれば解り易いか、といった国民の納得できるデータや議論が、国会中継で見られるように願いたいものです。

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