tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2020年12月の日銀短観、回復基調ではあるが

2020年12月15日 00時04分26秒 | 経営
2020年12月の日銀短観、回復基調ではあるが
 今日、標記の「日本銀行短期経済観測」が発表されました

 日本経済も企業活動も家庭の消費行動も、緊急事態宣言で極端なまでに縮小した今年の4,5月の、いわばドン底状態から、コロナ禍の中でも、何とかビジネスを続けようという模索、試行錯誤の中で、業態転換や働き方(リモート方式)の工夫なども含めて次第に回復基調を掴めたかなという状態に入ったようです。

 しかし、些か問題があって、政府のGoToキャンペーンなどで、経済の一部分に重点が傾きすぎ、その結果、コロナの第3波が予想外の厳しさになって、年末年始にかけて、また経済活動を制限しなければならない状況になってしまっています。

 この所の推移を見ますと、企業の景況判断のうち、「良い」と答えた割合から「悪い」と答えた割合を引いた「%差」で企業の感覚とその動きが示されています。
 
 先ずは大企業「製造業」から見ていきますと、今年6月の調査が最大の落ち込みでマイナス35%、次の9月がマイナス27%、そして今回12月がマイナス10%(17ポイント改善)という結果です。
 一応順調に最悪から抜け出すという数字になっていますが、先行き(ほぼ3か月先)の回答はマイナス8%という予想で、あまり改善を期待していない企業が多いようです。

 業種別に見ますと改善していないのは造船重機のみで、改善幅の大きいのは自動車、木材・木製品、鉄鋼、非鉄、生産用機械などで、中国経済回復の影響が大きいようです。

 大企業「非製造業」で見ますと、宿泊・飲食サービスの9月マイナス87%、12月マイナス66%という大幅な落ち込みは別として非製造業全体では9月マイナス12%、12月マイナス5%で製造業に比べれば落ち込みは小さいようです。

 建設、小売り、通信、情報サービスなどは、リモートばやり、巣ごもり需要などでプラス10~30%という活況です 

 注目を集める宿泊・飲食サービスについては、GoToキャンペーンのせいもあってでしょうか、絶対水準は、まだマイナス66%と低いとはいえ21%の回復で、先行きはマイナス62%とゆっくりの回復を見込んでいますが、今日発表の年末年始のGoTo中止の政府決定は入っていないでしょうから、もう少し悪いかもしれません。

 中堅企業、中小企業はどうかと見てみますと、中堅企業製造業は9月のマイナス34%から12月はマイナス17%への回復、中小企業製造業は9月のマイナス44%から12月のマイナス27%に回復という事で、規模が小さいほど落ち込みは大きかったのですが、大企業の回復につれて順調な回復基調で、自動車、鉄鋼、非鉄、機械、電機などが順調です。

 中堅、中小の非製造業では、卸売り、運輸・郵便、対事業所サービス、対個人サービスなど、今後の悪化を予想するところがあり、競争激化予測でしょうか、落ち込みは少なかったが回復がなかなか見通せない所があるようです。
 注目の宿泊・飲食サービスについては、12月にはマイナス50%程度に回復するのですが、先行き悪化を見通している企業が多いようで、コロナ禍に対したは、かなり慎重に長引くことを予想しているようにも感じられます。

マスコミではGoTo関連が賑やかな話題ですが、日本経済としては、中国経済の回復と製造業基幹産業の関係などの行方、アメリカの政権交代、ヨーロッパのコロナ問題などプラス、マイナスの影響が交錯している中で、中国経済の回復が明るい材料なことは明らかでしょう。

 総じてアジアの回復が早いのではないかと思われますが、結局コロナを早く制圧したところが経済の回復を実現しているという事が見えて来ているのではないでしょうか。
 ところで、日本の政権は何をしようとしているのでしょうか。

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