tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

春闘結果と消費者物価の関係

2018年03月16日 09時06分13秒 | 労働
春闘結果と消費者物価の関係
 安倍政権が春闘における賃上げを奨励し、春闘が「官製春闘」などといわれるようになって今年は5年目でしょうか。
 一昨日の集中回答日の状況から判断しますと、今年の賃上げ率は昨年より高くなりそうな気配です。

 トヨタ自動車労使が、ベースアップ額を明示しないで、「昨年を上回る」水準確保などと発表されるオマケも付きましたが、いずれにしても昨年を上回るとことが多くなるでしょう。
 そこで問題になるのが、この結果が企業のコストアップになって、消費者物価を押し上げるかどうかという問題です。

 安倍さんが「賃上げ、賃上げ」というのは、労働者の生活をよくするというより、早くインフレを起こして消費者物価を2%以上に高め、政府の借金(国債発行)を減らして財政再建を楽にしたいというのが本音と理解していますが、そう巧くはいかないでしょう。(政府の財政再建計画が1%インフレでは再建不可能としています)

 春闘の3%賃上げというのは、定期昇給とベアを足した数字で、皆の賃金が3%上がるわけではありません。定年再雇用で下がる人もいたり、従業員の新陳代謝もあり、定期昇給も年代によって大きく違います。

 昨年の春闘賃上げ率は厚労省の発表で2.1%だそうですが、日本の賃金総額である、国民所得統計の雇用者報酬は1.7%増というのが政府経済見通しの数字です。

 しかも日本経済の生産性は同じ経済見通しで0.9%上がっていますから、コストアップは0.8%で、雇用者報酬は国民総所得の7割弱ですから、賃上げのインフレ要因分は0.5~0.6%程度でしょう。(2017年度の消費者物価上昇率は0.7%)

 此の数字は円レートにも影響されますし、資源の値上がりや生鮮食料品価格の影響もうけます。政府日銀の言う2%インフレのためには、もっともっと賃上げが必要ですし。そんなことをして物価を上げてみても、生産性が上がらない限り、物価ばかり上がって、国民生活は苦しくなるばかりです。

 政府・日銀は目標数字だけは言いますが、その根拠は何も説明してくれません。国民をどこに連れて行こうというのでしょうか。

 余計な心配ですが、3%賃上げをした企業には法人税を負けるそうですが、トヨタはどうなるのでしょうか。春闘結果のマスコミ発表は企業や産業ごとの慣例による数字ですみますが、法人税の軽減の条件である3%というのは、税金を使う事です。どんな計算基準、計算根拠で賃上げが3%以上かを決めるのでしょうか。

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