tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本は自由市場経済の国、価格機構を大切に

2022年10月11日 17時04分03秒 | 経済
日本は自由主義圏の国で、経済は自由市場経済が原則です。その対極は計画経済、統制経済、指令経済などと呼ばれます。

殆どの日本人は自由経済の方がいいと思っているでしょう。そこでは市場機構、価格機構が機能して人間の行動を合理的に導き、努力を引きだし、より効率的な経済に結び付くと考えているからです。

理由は、市場機構(マーケット・メカニズム)、価格機構(プライス・メカニズム)、つまり取引には対価があり、高ければ売れない安ければ売れるという原則が働くからです。
人は同じものならより安く作ろう、高くても売れるものを創ろうと競争原理が働き社会が進歩すると考えています。

しかし欠点もあって、独占状態が生まれると価格機構が働かなくなります。また優勝劣敗が行き過ぎて格差社会になると市場機構がうまく動かなくなるので注意が必要です。

そこで独占が生まれないように、また、格差社会化が行き過ぎたり、固定化したりしないような法律や制度をつくり、出来るだけ自由経済のメリットを有効に活用することに成功した国が、豊かで快適な国になるということが解ってきました。

これは経済や社会における「自由」と「平等」の問題で最も基本的な課題です。

今の日本経済の問題は、政府が自由経済のメリットを生かそうと考えながら、現実には、国民の人気を取るために指令経済の様なことをやってしまって、失敗が多いという事がいろいろと目につくという問題ではないでしょうか。

というのも、これは一例ですが、先日クローズアップ現代で、政府の中小企業向け「ゼロゼロ融資」が3年の期限を迎えて、返済しないと金利がかかるようになるが、返済できない所が相当出るのではないかと問題になっている事を取り上げていました。

ゼロゼロというのは「担保なしOK,金利なし」という事で金利は来年3月まで地方自治体負担です。政府はコロナ禍の中小企業の「正義の味方」の顔で、人気取りです。
つまりカネを借りるための自由経済の常識、価格機構の働き、対価の支払い(金利)を無視し、困っていれば金を貸すという「指令経済」を中小企業救済の名目でやったのです。

しかも総額42兆円(GDPの2%)、カネのない政府ですから当然借金です。
借り手は、相手が政府ですから喜んで、返す宛てがない所まで競って借りた事でしょう。当然返せなくなります。

価格機構を生かせば、融資は銀行が、返せる見通しのあるところに、金利(貸金の対価)を取って貸し、見込みのない所には貸しません。
政府はそういう中小企業の人に「働き方改革」で言っているように再訓練の機会を準備し、生産性の高いビジネスに転換させるのが本業でしょう。

結局ただでカネを貸して倒産、廃業の時期を少し伸ばしただけで巨大なカネを使い、再訓練の機会は増えない、「働き方改革」の目標に逆行という結果です。

価格機構は人間に努力を強います。それが人類社会の進歩の原動力です。人気取りは人間を安逸に流し、人類社会の進歩を遅らせます。

自由主義経済の大御所、M.フリードマンは、アダム・スミスの「神の見えざる手」に対置して「政府が国民を喜ばそうとして色々やればやるほど国民は貧しくなる」という「政府の見える手」の概念を提示しています。


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