tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

格差拡大を防ぐ民間(企業)の知恵

2017年07月05日 10時44分26秒 | 経営
格差拡大を防ぐ民間(企業)の知恵
 前回、かつて日本の政府はレーガン税制を真似て累進税率のフラット化を進めた状況を見ました。アメリカ型の格差社会が似合わない日本では、さすがに最近是正の必要を言う人が多くなっています。

 次に、資本主義が生き延びた理由とされる福祉社会化と経営者革命(資本家の後退)の内の後者、民間企業の取り組みについて見ていきたいと思います。

 J.バーナムの『 経営者革命』については以前触れましたが、この動きは戦後顕著になりました。創業家が株を保有している場合ても、経営は、その専門職に任せるという形です。
 経営者は、企業の成長発展を目標とし、資本、人間、技術、情報などのいわゆる経営資源を最も効率的に活用することを考えるのが役割です。

 そうした経営理念、経営目標の中でも、企業文化に差が出ます。それは国や地域の社会文化的背景や、経営者自身の考え方によります。
 
 これを賃金格差という視点から見てみますと、欧米は出来高給の伝統があるせいか、その時点での仕事と業績(job and performance)によって支払うという傾向が強く、日本は、チームワーク、全員の協力の力を重視して、賃金を決める傾向が強いようです。

 例えば、業績の落ちた会社で、経営者が交代して業績が回復したような場合、欧米では新しい経営者に巨額な報酬が支払われるようですが、日本では増えるのは役員賞与ぐらいで、業績回復は従業員全体の給与改善に使われます。

 これは、社長が交代したことで従業員全体がよく働いてくれたからだという理解によるものでしょう。従業員が動かなければ、社長一人では何もできないというのが日本人の考え方のようです。

 トップと社員の給与の格差は、アメリカ最大、ヨーロッパはより小さく、日本は最小、などと言われますが、民間企業という世界の中でも、格差拡大を放置する考え方と、企業内の協力・協調、融和を重視し、格差拡大に自主的に歯止めをかけるような考え方があるというのが現実のようです。(小池都知事の給与半減などは、後者の文化でしょう)

 こうした日本企業における、格差拡大を抑制する意識、にも拘らず拡大した日本での格差問題、非正規労働と賃金格差、成果・業績重視の動き、さらにマネービジネスなどにおける巨大報酬などについても考えてみたいと思います。

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