tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済の直面する奇妙なジレンマ

2011年08月26日 12時11分27秒 | 経済
日本経済の直面する奇妙なジレンマ
 ムーディーズが日本の国債のランクを引き下げました。以前も書きましたように、こんなことは本気で騒ぐほどのことではありません。日本経済に対する市場の信認は「円高」が示しています。

 ムーディーズは、財政の大幅赤字、地震、津波、原発事故などの災害復旧の遅れ、加えて、政治の混乱などを挙げ、早くきちんとすべきだといっているようです。
 ムーディーズにいわれなくても、日本では土光さんの昔から、財政再建が大きな課題だと認識していますし、いざとなれば、きちんとやるでしょう。

 やらなければならないことをやるときに、日本人は過激なデモや暴動や破壊、略奪などで、社会を混乱させるようなことは無いと思います。
 日本の財政赤字は、政府の借金ですが、国民にとっては貯金で資産です。満期まで持っていれば、額面で償還される、と信頼するからこそ、国民は、安全な資産として国債を持つのです。

 インフレが来れば、国債は目減りします。しかし、日本人は、インフレを起こさないための方法についても、成功の経験 を持っています。国内の話ですから、為替問題はありません。
 しかも日本国債は95パーセント以上日本人が持っているので、外国に迷惑をかけることもほとんどありません。

 ところで、ムーディーズがアドバイスするように、日本が政治の安定や、増税による財政再建を順調に軌道に乗せたらどうなるでしょうか。多分「円はますます堅実な通貨だ」ということで、更なる円高になるでしょう。$1=¥50 などといいうことになったら、日本産業はどうなるでしょうか。

 堅実な経済運営をすればするほど、円高にさせられて日本経済が苦境に立つことは目に見えています。この奇妙なジレンマを考えるとき、矢張り今のマネーマーケットのシステムは「どう考えてもおかしい」ということになるのではないでしょうか。

 何度も指摘してきていますが、マネーの世界は、変動が大きいほどビジネスチャンスが大きいわけで、自分たちの力で変動を大きくすることも容易に可能です。マネービジネスの巨人たちは、儲かれば「OK」、損すれば政府が救済、に甘えているように見えます。

 日本のようにマネー政策に全く無防備で、真面目に頑張る国は、国際投機資本の格好な餌食です。「がんばろう 日本」のスローガンを見るたび、私も感激します。そして考えるのは、頑張った成果を日本人が、ダイレクトに実感できるような(頑張ればそれ以上の円高になって、自分たちが苦しむようなことにならないための)環境条件(マネー政策)の検討です。


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