tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

原発冷却と海水温度

2012年09月24日 17時39分20秒 | 環境
原発冷却と海水温度
 ずいぶん前の事ですが、アメリカで書かれた論文で、アメリカのエネルギーを原発で賄おうと思ったら、アメリカ中の川の水が全部干上がるというのを見た記憶があります。
 スリーマイル島の原発ではありませんが、その頃は川の水で冷却するという事を考えていたのでしょうか。

 いまは何処でも、冷却しているのは殆ど海水でしょう。日本などは全部そうだと思います。川の水ではほとんど不足という事でしょか。原子核の崩壊で出す巨大な熱でお湯を沸かして発電するのですが。発電に利用できるのは発生する熱量のほぼ3分の1で、3分の2は、結果的に海水の温暖化になっているというのが現実だと言われています。

 折角得られた熱をもっと利用しなければ勿体ない様な気がしますが、技術的に難しいのでしょう。
 その上、原発は定期点検などで、大まかに言って、半分はいつも停止していたようです。それでも他の発電コストに比べて、格段に安いということで、発電の主力になったのでしょう。

 ところで、地球温暖化が言われて久しいのですが、原発の冷却による海水の温暖化について、それがどのくらいの影響があるのかという研究はあまりないようです。
 最近の異常気象が海水の表面温度の上昇によるらしいとは言われますが、それは主として温室効果ガスの影響という事になって説明されているのが普通です。

 しかし、今日の地球環境の驚くほどの定常状態は基本的には、太陽が無償供与してくれるエネルギーと地球のエネルギー消費がバランスているからという事でしょう。
 化石燃料からのエネルギーと、原発からのエネルギーがプラスされれば、そのバランスは当然崩れるでしょう。その上に温室効果ガスが熱の放散を少なくすれば、地球表面の温暖化は当然進みましょう。

 しかも従来言われていたように太陽光(熱)などをいくら巧く利用しても、せいぜい消費電力の数パーセント(2パーセントと言われていた)にしかならない、という事であれば、原発の発するエネルギーの巨大さは押して知るべしという事になるのではないでしょうか。

 にも拘らず、それが地球表面、特に海水の表面温度の上昇に与える影響について、殆ど関心が持もたれて来なかったのは何故でしょうか。
 原発のごく初期のころの「アメリカ中の川が干上がる」という古い研究が、何となく思い出されたのも、そんなきっかけからです。
 本格的な研究が必要のように思われますが。杞憂であれば有難いと思っています。